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六話

 マリー、レオンと別れたルイはあらかじめ目をつけていた場所へ静かに急ぐ。


 ついた場所は王城東側にある避難用の扉である。


 普段は締められていて、開けるには魔力を流す必要がある。


 しかし、その扉は開いていた。


 この扉を開くとけたたましい音が魔法によって王城内に鳴り響くため開けばすぐにわかるはず。


 相手は卓越した変装技術に加え、魔法を無効化する技術を持っていることにルイは驚きを隠せなかった。


「……様……ですか?」


「……少し……」


 ルイの耳に話し声が聞こえた。


 まだ遠いがこちらに向かっている気配がする。


 ルイは隠れられる場所を探すため辺りを見渡した。


 あそこがいい、ルイはそう思い扉近くにある5mほどの高さの木の枝に飛び乗った。


 話し声の主達はすぐにルイの視界に収まった。


 話し声の主はマリーと青い髪が特徴の青年だった。


 ルイは耳を澄ませて会話を盗み聞く。


「ここならちょうどいいだろう」


「ニコラ様、ここは? 」


 マリーはキョロキョロしながらニコラに聞いた。


「王城内にある避難経路だよ。有事の際にしか使わないから基本人はいないんだ」


「へぇ。それじゃあゆっくり話ができそうね」


 マリーはそういうと、風の魔法ををニコラに向けて放った。


「ぐはっ」


 ニコラは、後方に10mほど飛ばされた。


 ニコラはゴロゴロと地面を転がる。


 綺麗な服が土まみれになった。


 ルイは見ている場合ではないとマリーの元へ飛んだ。


「マリー様、あいつで間違いないのですか? 」


「ええ、間違いないわ」

 

 ルイは心配げにマリーを見る。


 マリーはその視線が気に入らないのかルイを軽く睨む。


「何よ。私がいうんだから間違いないわよ」

 

「いえ、いきなり魔法攻撃はやりすぎかと思いまして」


 ルイは淡々と答えた。


「しょうがないでしょ。相手の手の内がわからないんだから先手必勝よ」


 とマリーは頬を膨らませながら言った。


「いてて……いきなり何するですか!? 」


 ニコラは攻撃を受けた腹の部分を押さえながら叫んだ。


「あら、意外と元気じゃない」


 マリーはすぐさま次の魔法の用意をした。


 ルイはマリーの前に立ち構えをとる。


「待ってください! 私には攻撃される理由がわかりません!」


 ニコラは困惑の表情を浮かべている。

 

「あんた気づいていないようだけど、私の攻撃を受けた時ほんの一瞬変装が解けていたわよ」


「何をおっしゃっているのかわかりません! 」


「そう? ならもう一度攻撃を叩き込んであげようかしら」


 マリーは先ほどの風の魔法をニコラに向けて放つ。


 ニコラはその攻撃を受けない為、左へ走る。


 追随する様にマリーは魔法を放つ。


 ニコラは真っ直ぐ避難用扉へ向かったが、その前にルイが現れる。


 いきなり現れたルイに驚くニコラ。


 しかし、後ろにはマリー、前方にはルイと囲まれてしまったニコラはルイを制圧し、避難扉から逃げる決意をした。


 ルイに対して火の魔法を放つ為、呪文を唱えるニコラ。


「フォーごぉ……」


 しかし、途中でルイに顔面を殴られる。


 ニコラは踏ん張って反撃しようとするも、もう一発ルイに殴られる。


 今度は顎にくらい、立っていられず倒れ込む。


 ニコラは気絶した。


 その際、変装が解けたようで顔を月明かりの下に晒した。


 優しい顔立ちのニコラとは違い、凶暴な顔をした男だった。


「どういたしますか? 」


 ルイはマリーに今後の対応を聞いた。


「そうね。とりあえず、レオンに報告かしら。あとはこのパーティーの主催であるタリアの王族にも報告したほうがよさそうね。ただそれをすると私達が後々介入できなさそうだから、この男から情報聞き出しときましょうか。ルイ、お願いできる」


「承知しました」


 ルイは恭しく頭を下げた。


「じゃ、よろしくね。私はレオンに会ってくるわ」


 マリーは手をひらひらと振りながら、王城へ戻っていった。

 

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