38話『お父様は勘違いをしている』
※レファニー視点です。
珍しく夜更かしした私は廊下でお父様に会った。
お父様が家に帰っているなんて珍しいと思いながら私はお父様を見上げた。
彼は驚いた顔をしてから私を持ち上げた。
「こんな夜更けに何をしているんだ?子供は寝る時間だ」
そういいながらお父様は厳しい言葉で私を諭した。
私はお父様を見上げてしっかりと目を見た、私と同じ蜂蜜色の瞳がこちらを見ていた。
「お父様、すこし話をしませんか?」
私がそう言うとお父様は眉間にしわを寄せてから答えた。
「わかった。だが、レファニーが寝るまでだ。わかったな?」
私は頷いた。
私はお父様に運ばれながら話をきりだした。
「お母様のことで、お話があるのです」
『お母様』という言葉を出した瞬間、お父様はピクリと一瞬動きを止めた。
どうやら、お母様のことを気にしていないわけではないらしい。
「...それで、お母様がどうしたんだ?」
お父様は少し黙ってからそう言った。
私は続けてお母様の話をする。
「お母様とおととい、お話をしたんです」
「....ドーラニアとレファニーが?」
お父様は信じられないという顔をしながらそう聞いてきた。
「ええ、お母様は本が好きなようです。私も本は好きです」
「...そうなんだな、それで?」
「今度お母様とお茶をすることになったのです。じつはそれが明日で....楽しみで、楽しみでなかなかねられなかったのです」
「...お茶会」
お父様はさらに驚いてポツリと言葉を漏らした。
私はお父様の腕をクイっと掴んだ。
「お父様、私からのお願い...聞いてくださいますか?」
私がなかなかお父様達と喋れないことをセレナに相談したら彼女は『一回話しかけてみたらどうでしょうか?きっとレファのことを嫌っているわけわではないと思いますから』と言っていたので私はお父様達に話しかけようと思ったのだ・
きっとセレナに言われていなければ一生会話を交わすこともなかったかもしれない、私達家族は少しずつ温かい家庭を築きつつある気がして私は嬉しい。
お父様は黙りながらも頷いてくれた。
「一回、一回だけでいいので...私とお母様とお父様、3人で夜ご飯を食べませんか?」
「....っ.....それは...」
お父様はすぐに無理だと言いそうになる。
私はその言葉を遮るように少し言葉に力を込めて言う。
「むりではありません!私は一回でもいいので一緒に食べたいのです!」
「なぜ、それにこだわるのだ...」
「...私、本当はもっとお母様とお父様とおしゃべりしたかったのです!ずっと、ずっと...ずっと!がまんしてきました!」
「そ、そうか...」
「はい!だから...だから!おねがいです!一回だけ夜ご飯をいっしょに食べましょう?」
お父様は難しい顔をしながら無言で私を抱えて歩く。
私の部屋について私をベッドの上に降ろすとやっと口を開いた。
「...わかった、今度夜ご飯を食べよう」
そう言ってお父様はすぐに後ろを向いて「おやすみ」と言って部屋を出ていった。
私はベッド脇のテディベアを抱えながらシーツの中に入った。
心なしか私の口元が笑っている気がする。
そして、深い深い眠りについた。
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