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23話『友人に友人を紹介しようと思います』

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私とヨルとドーラが出会ってから2か月が経った。

最近では毎日のように3人で話して遊んでいる。



それと、ドーラにも私の元の口調で話すようになった。

元々ヨルは私の口調を知っているので驚かなかったが私が初めてドーラの前で元の口調で喋ったらかなり驚かれたがいつの間にか慣れたらしく最近は普通に接してくれるようになった。



今日もいつものように私の屋敷で2人を招いて園庭でお茶会をすることになっている。

その前に家庭教師の授業があるのでその授業を今受けている所だ。



水の月に帰ってきたリース先生は1年前と同じように授業をしてくれている。

外交官をしている人なので忙しそうだと思い私は先生に時間は大丈夫なのかと聞いたことがあったが「そうだね、仕事は1時間ほどで終わるから気にしないでいいよ」と言われたので気にしないことにしたのだ。






先生が帰ってきてからはこの世界の世界史、魔術、魔法、医学、哲学、心理学、工学、考古学...など、と割と前世の大学で習うようなことを教えてもらっている。

リース先生は本当に頭の回転が速く、何を聞いてもすぐに答えを返してくれるので本当に助かっている。



今は『人間と生き物の共存について』という論文を読んで思ったこと、自分が考える考察をお互いに話し合っていた。

家庭教師の時間は本当は毎日6時間ほどあるのだが最近は友達が来るから、という理由で2時間にしてもらっている。






一応毎日家庭教師の授業はあるのでその日できなかった分を他の日に変更したりしている。

つまりは他の日に振り返るとその振り替えた日の授業時間数が12時間になることもあるということだ。



まあ、先生の話は面白いのでいくらでも聞いていられるから12時間の授業も割と苦ではない。

大体は論文または教材を使って今わかっていることを学んで、これからどんなことができるか、私達には何ができるかを2人で意見交換をしている。




それが私達流の勉強の仕方なのだが、この前ディオお兄様にそれを言ったら「セレナ、お前は何を倒すつもりなんだ...末恐ろしいよ」と言われた。

私は首を傾げて「なぜそう思ったのですか?」と聞いたがディオお兄様はどこか呆れた顔で「いや、いい」と言って自分の部屋に帰っていったのだ。







今日の授業はもちろん2時間にしているのですぐに終わった。

私はお茶会の準備と言う名のメイドの着せ替え人形になるために部屋に向かった。



そして数年後、と言いたいところだが正確な時間で言うと約1時間ほど経過すると長い長い着替えが終わった。

もちろんモカが張り切ったせいで着替えてからの時間もメイクのセットに30分もかけたのだ。




鏡をみるとこの世界に生まれた私の姿が映った。




私は鏡に手を当てて独り言をこぼす。



「まるで、他人を見ているようだね。...いや、そうでもないか。これでも4年と半年ほどをこの世界で過ごしたんだからね」



前世とは違う姿の自分を見て改めてこの世界は元居た世界ではない事実が突き付けられた気がした。

そして私よりも早くに命を落としたソウルメイトを思い出す。



私が見てきた中で2番目に可愛い容姿に、愛らしい声、全てが可愛いと愛らしいで埋め尽くされた彼女は女性の象徴のように思えた。

初めて会った時は何となく何をしているのかが気になって声をかけた、次に話しかけた時は自分の趣味の話に花を咲かせた、その次に会った時には...



昔を思い出して懐かしく思っていると2人が家に着いたと連絡が来た。

私はすぐに園庭のほうへと向かった。






園庭に着くと2人の姿、と精霊王2人の姿があった。



ルーシエとウェルがなぜか私の屋敷の庭にいるのだ。



私は周りを見回して確認した。

どうやら結界はしっかりと張っているらしい。



ルーシエが一方的に話しかけていて2人は目の前のよくわからない存在に驚いている。



「ルーシエ、どうしてここにいるんだい?」



とりあえず私はルーシエに話しかけてみた。



『あら、セレナ!来たのね!私を早く紹介してくれない?どうやら私の話は信じられないらしいの...』



後半の方になるにつれてルーシエの顔がしょんぼりとしていった。



「ああ、そういうことか」



私は2人に向き直ってルーシエとウェルの説明をする。

説明をし終わるとヨルは呆れ顔、ドーラは半分理解できていない顔をしていた。



「まあ、とりあえず握手でもしたらどうだい?」



そう言って私は半ば強引に2人の手をつかんでルーシエとウェルの前に持って行った。

ルーシエは何のためらいもなくその手を握り返して、ウェルは苦笑しながら仕方ないといったように手をゆっくりと握った。






すると2人が握手した手が一瞬光った。



「「え?」」




2人の声が完全に重なった。



ルーシエがふふっと笑いながら言った。



『セレナの友達なら私の友達でしょ?...神様よりもすごいものではないけど、一応精霊の加護よ。受け取って、というかもうあげっちゃったから返却はできないわね』



「それは精霊の加護だったんだね、知らなかったよ。ルーシエ、説明はしっかりとしようね」



『ごめんなさい...そこまで重要じゃないと思って...ってなんでウェルは教えなかったのよ?!』



今まで完全に話を聞いている側に回っていたウェルは笑いながら言う。



『だって、面白そうだから。私は面白いものが好きだからね...普通にルーシエが説明すると思っていたしね』



彼がそう言うとルーシエは頬を膨らませた。



『もう!酷いじゃない!...いつもいつも、ウェルは分かってるくせに言わないなんてひどいわ!』



そう言ってそっぽを向いたルーシエを見て皆が笑い声をあげた。







防音の結界と神隠しの結界が張ってあるので外までは笑い声は聞こえないがその場に笑い声が響いた。






どうやら友人の友人は友人になれるらしい。

第3章コンプリート率:3/12

総合コンプリート率:36/331


追記:4月24日の投稿はお休みします。すいません、もう一日休みます。

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