15話『精霊の友人ができました』
今日は花の月、光の日、30日だ。
もちろんジュリお兄様は1日から学園に通っていて今は私と兄弟5人が家にいる。
私の誕生日が月の月、天の日、26日にあり、ルスお兄様の誕生日がその一ヵ月後にあるので先週はまたジュリお兄様が一度帰ってきた。
来月はイルとノースの誕生日が50日にあるので年の初めは1か月に一回は誕生日パーティーがある。
ちなみにジュリお兄様が王の月の25日、ディオお兄様が光の月の20日、ベリーお兄様は神の月の11日が誕生日だ。
今日は何をしているかというと、外に出ている。
たぶん両親達、家族にはバレてると思うけれど勝手に家を出ている。
今日はヴァルキトア公爵家の所有する土地に来ている。
まあ、土地といっても森の中だけどね。
この森は『精霊の森』と言われていてなぜか神聖視されている場所らしい。
精霊の森というだけあって、さっきから精霊が飛び交っているのが見えるので精霊の森というのは合っているらしい。
とりあえず森の奥のほうまで進んでいくと開けたところに出た。
いかにも精霊の秘密の集会所と言う感じでその空間だけに光がさしていて奥のほうに大きい精霊が見える。
とりあえず気づかれていないらしいので近づいてオオカミに声をかけてみた。
「こんにちは、精霊」
精霊は人の心を読むと言われているのでどうせ口調を変えても無駄だと思ったので素の話し方で話しかける。
『おまえは、公爵家の人間か』
「ご存じなんだね、そうだよ。私は公爵家の人間だ」
『なぜここに来れた?ここには特別な結界を張ってあるはずだ』
「結界なんてどこにもなかったよ、本当に張っているのかい?」
『まさか...いや、なんでもない。せっかく来たんだ、ゆっくりしていくといい』
「さすが精霊、心が広いね」
『お前は変わっているな、中身もだが...まあこの話は辞めよう』
「ここの精霊はどこから集まって来ているんだい?さっきからこの国では見かけない精霊も目にするんだけどね」
『よく気付いたな....いや、お前なら気づきそうだな。お前の言う通りここにはいろんな国から精霊が集まって来ている』
するとそれを黙って聞いていた女の人の形をした精霊が口を開く。
『貴方面白そうね。...そうね、私と友達になりましょう?』
「小さい頃から怪しい人の話には耳を傾けてはいけないと言われているので遠慮するとするよ」
『なんでそこは遠慮するのよ?!まあいいわ、また遊びに来てねということよ』
「もちろん無断で来る気はあるからくるよ。そうだね、君は悪い人ではないようだから友達になってもいいよ」
『凄いわねこの子...私一応他国の精霊王なんだけど。ねえ、ウェルディリックもそう思うでしょ?』
彼女は隣にいる彼に問う。
『ルーシエティルエ、私達が精霊王なのは言ってもいいの?まあ君がいいと言うならいいんだけどね...そうだね、これがいわゆる肝が据わっているって言うんじゃない?』
『なるほどね...ってそれでいいのね、肝が据わっているどころではない気がするんだけど?』
「ある程度のことは驚かないよ、残念ながらね」
『...本当に、不思議な子ね』
『まあ、魔力が高いとそういうこともあるんじゃないかな?』
2人が会話をしているとオオカミが人間の姿に変わって呆れた顔でこちらを見ていた。
少し怒っているようにも見えなくはない。
『...おい、2人ともこの森の主は誰だと思っているんだ?』
2人は『やばい...』という顔をしてなかなか答えないので代わりに私が答えた。
「もちろんこの森の土地を所有する人間は私の家、つまりはヴァルキトア公爵家の当主、私のお父様だね」
『...確かにそうかもしれないがこの場所を取り仕切っているのはこの私だ。そんなこともわからないのか?』
「いや、だって言っただろう?所有する人間は私のお父様だと、別に私はここの土地を所有する精霊の話はしていないよ」
『...なるほど、それも一理あるな。ウェル、ルーシエ、命拾いしたな...次はないと思え』
「君が誰かは分からないけどとりあえず他国の精霊王より立場が上ということは...ああ、君はティアドラ王国の現精霊王とういうことか」
『まあそうだな、もうそろそろ世代交代だから私はここから消えることになるがな』
「そうなんだね、じゃあ私の精霊になる気はないかい?私は普通の人間ではないのだろう?」
そう言うとその場がしんとする。
数秒後に元オオカミは笑い声をあげた。
『ほう、面白い。いいだろう、その提案に乗ることにしよう』
すると森の奥から『待て』という声が響く。
森の奥からは大きなライオンがゆっくり歩いてきたと思ったら急に人間に姿を変えた。
『...なんだガウディベーンじゃないか、なんだ私の意見に反対なのか?』
『ルージュヴェル、君の意見に反対はないよ。ただ僕もその案に乗ろうと思ってね』
『なるほどな...まあ精霊王が終わればいずれ私達はいつか消される存在だからな。相続が終われば完全に暇だしな...』
『実は僕はね、彼女のことを生まれた時から見ているんだ。ずっと狙っていたから君に先を越されそうになったから出てきたんだ』
『...そんなどうでもいい話は聞く必要もなさそうだな。話すなら、暇なときにしてくれ』
『これだから君はダメなんだよ、この前だってそう言ってたじゃないか』
『そういえばそうだった気がしないでもないな、だがそれとこれは違う話だ』
そんな二人の会話を聞いていて他国の精霊王らしき人達はこそこそ話す。
『ねえ、あの子。今この瞬間にこの国の2トップを自分の仲間に引き入れたわよ...凄い手腕だと思わない?』
『そうみたいだね...ルーシエ、これ以上いると殺されかねないからいったん国に帰ろう』
『そうしましょ、それじゃあね。確か名前はセレナだったわね、また会いましょう』
と言って一瞬で姿を消した。
おかげで手を振る暇もなかった。
ここに残ったのはまだ何かを話している2人と私だけだ。
「2人とも、結果的には私はどうすればいいんだい?もうそろそろ帰ろうと思うんだけど」
『ああ、すまん。どうでもいい話に付き合っていたら完全に話がそれたな。私は賛成だ、面白そうだから乗ろう。そこのライオンは知らん...さあ、送るから手をだせ』
私は元オオカミの手を取ると一気に景色が変わっていた、きっと転移魔法を使ったのだろう。
後ろから『あ、ちょっと待て!まだ私は返事を...』と言っていた気がするがとりあえず考えないことにした。
家にいつもどおりの時間に帰ると普通にいつも通り家族は接していたのでとくに外出は見てみぬふりをするらしい。
私としてはそれが一番いいので助かった。
その日から私には精霊の友人ができた。
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