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105話『卒業式の準備』

最近不定期投稿になってしまっていますね...いつも見てくださっている読者には申し訳ない次第です。できるだけ投稿頻度を上げられるように努力しますのでこれからもよろしくお願いします!

ついに明日は婚約者のアルが卒業する日となった。

今年の生徒会長を務める私は放課後の学園で卒業式のあれこれの準備に奔走している。




「こっちに持ってきてもらえますか?」



私は業者の人達に指示を出しながら会場の設営をしていた。

普通だったら学校側の仕事な気がするが、なぜか今年の設営の担当は生徒会に一任されているのだ。



「セレナリール様、こちらはどうすればよろしいのでしょうか?」



そして、クラスメイト、いや、たぶんこの数は学年全員だろうか。

そんな大人数が手伝いに来てくれているのでかなり助かっているのだが、なぜほぼ学年全員が揃っているのだろうか。




生徒会だけでは少し手が回らない所もあったのでかなり助かっている。

普段は話すことのない他クラスの交流ができるので、みんなかなり楽しそうに準備を進めている。



「そちらでしたら、ステージのほうへ運んでいただけますか?」



「はい!わかりました!」



私に置き場所を訪ねてきたクラスメイトの令嬢は割と全力疾走に近い走り方でステージのほうへと去っていった。

業者への指示もひと段落付いたので辺りを見回すとあちこちで華やかな装飾品や花を持っている人で溢れていた。




もうずいぶん昔のように思っていた学生時代が思い出される。






『聖麗、明日で卒業だね』



咲はまだつぼみを付け始めたばかりの桜の木を見上げながら嬉しそうな顔をしてそう言った。

私は最近外で吹き始めた春の風を感じながら答える。



『そうだね、長いようであっという間、という言葉はこういう時に使うんだろうね』



『...聖麗って時々年齢不詳なこと言うよね。人生2回目なんじゃないかってたまに思うんだけど...』



私は少し呆れた顔をした彼女を見て口の端を上げる。



『人生2回目か....あったら面白い、とは思うけどね』



『聖麗が人生2回目の時ってどんな感じなんだろ...まあ、どっちにしても聖麗は聖麗だよね』



『じゃあ咲も咲なんだろうね』



『分からないよ~?もしかしたらまったく違う人になってるかも』



『大丈夫だよ、私は必ず君を見つけるからね』



『...なんか怖い、聖麗だったら本当に見つけられそう...私は無理そうだな...』



二人で学校の帰り道を歩くのも明日が最後で、明後日からは完全に皆が違う方向へと歩み始める。

何となくこれから一人で道を歩んでいくことへの悲しさと、これから始まる新しい生活に楽しみを感じた。







もうずいぶんと遠いところまで来てしまった気がする。





前世とは全く違う世界で今この瞬間を生きている私はきっと『過去の私』ではないのだろう。

人は時間と共に変わっていく、周りにいる環境も人も、何もかもが変わっていってしまう。





過去の友人はそのまま『過去』となり、次第に人の記憶から遠ざかっていく。






私はそんな世界でただ一人残されるのは耐えられなかったのかもしれない。




だから今の生活が幸せで、今を精一杯生きることに生き甲斐を感じている。







「セレナ、卒業証書がまだこっちに運ばれてないらしいから取ってきて」



相変わらず私に対しては適当な話し方しかできないヨルがそう言ってきた。

私は笑いをこぼしながら口を開いた。



「わかった。走って行ってくるよ」



私はそう言って走り出した。

横を風が勢いよく通り過ぎていく、時々顔が合う生徒に手を振りながらも私は人気がない場所まで走って行った。










そして、誰もいない渡り廊下から空を見上げて私は呟いた。




「ありがとう」




いるかもわからない存在に私は感謝した。

第8章コンプリート率:42/45

総合コンプリート率:151/331


追記:作者の都合により、12月まで投稿をお休みさせていただくことになりました。更新するたびに見てくださる方々には申し訳ありませんが、しばらくお待ちいただけると幸いです。次回の投稿は12月1日を予定していますので、よろしくお願いします。

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