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103.5話『冷めた男達』

投稿が遅くなり、申し訳ありません!

※アルティアス視点です。




(((なんでこうなったんだ)))




珍しく俺達の意見が合っていることだろう。

俺は今回のピクニックの話を聞いて薄々気付いていたが、婚約者が危険な目にあうかもしれないと思い、参加することになったのだが、思っていた以上にこの2人と会話が合う気がしない。



セレナ達は先程から話に花を咲かせて盛り上がっているようだが、俺達3人は先程から一言もしゃべっていない。

いや、一応挨拶のようなことはしたが、まったくその先の話までいかなかったのだ。





全く喋ろうとしない俺達に気付いたセレナは『精霊の森』に行かないかと提案してきた。

レファニー嬢とアミラ嬢は完全に乗り気なので俺達はただついていくだけかもしれないが、この沈黙の時間が少なくなるのは正直助かった。





セレナに前々から聞いていた『精霊の森』思った以上に人間の入りにくいところにあった。

まずまず人間を入れる気がないのか、綺麗に意識阻害の魔法がかかっている。



普通の人だったらそもそもここに辿りつけないだろう。

森のかなり奥まったところにあるので森の中で迷わない限りこんな深いところまでこれないはずだ。



セレナは森で良く迷っているのでたまたまその時にここを見つけたのかもしれない。





『精霊の森』は魔力が溢れているようで、そこら中から様々な属性の魔法の力を感じる。

セレナの場合だともっと正確にどの属性がどこにどれぐらいあるかがわかるのだろうが、俺はそこまでは感じられなかった。



しかし、ここに様々な妖精と精霊、もっと上位の人外者がいる気配がする。

ここに居る全員、魔力が高いので影響はあまりないかもしれないが、魔力の弱い人が来たら倒れてしまうだろう。



不思議な雰囲気をこの森から感じる。

外のはずなのに風も吹いていないこの空間は異質だ。




俺はあたりを見回して森の気配を探る。



奥の方に多数の精霊、それも高位の精霊がいるのを感じた。

きっとその中にはセレナの契約精霊も入っているのだろう。






「もうそろそろつくよ」




セレナがそう言って数秒経つと一気に視界が開けた。




「「...わぁ...」」



レファニー嬢とアミラ嬢は思わず目の前に現れた光景を見て驚きの声を出した。

俺達も声は出さずとも息を呑むほどの美しい景色がそこにはあった。




何処からか光が木々の間からさしていて、そこには妖精や精霊、魔物なんかもいる。

魔物は通常だと人間に襲い掛かる恐ろしい生き物だが、ここにいる魔物は人間には興味がないようだ。



『全員来たみたいだな』



そう言って出てきたのはセレナの契約精霊の一人のルージュヴェルだ。



「今日は湖の席は空いているかな?」



『ああ、さっきまで居座っていた輩がいたから国に追い払ったところだ』



「なるほど、ルーシエとウィルがいたんだね。2人には今度お詫びにお土産を持ってくるよ」



『そんなことしなくてもいいんじゃないかな?』



一瞬で目の前に現れたこれまた彼女の契約精霊のガウディベーンがそこに立っていた。

セレナは動揺した様子もなくガウディベーンに対しても返答する。



「一応迷惑をかけているみたいだからね、日ごろの感謝を込めて...というものもあるんだよ」



『そうか』『え~いらないでしょ』



「さあ、案内をお願いするよ」



彼女は完全に2人の反応を無視して勝手に話を進めている。

俺達は彼女の契約精霊と契約聖獣に連れられて湖の上を歩き始めた。



普通だったら水の上は歩くことはできないが、魔法を使えばいとも簡単に水の上を歩くことができる。

どうやら彼女の契約者たちが魔法を使っているようで、俺達に全く魔力の負担がないようにしてくれているらしい。





湖の真ん中に来たあたりで湖の底が光り始めた。



すると下のほうから水が昇ってきてそれぞれテーブルとイスの形になっていく。

光を失くしたテーブルとイスは完全に透明でよく見ないと下の水と見分けられない。



俺達はその椅子にそれぞれ腰を下ろした。




「凄いな...さすが『精霊の森』だ」



俺は思わず口から本音が漏れていた。

いつも取り繕っているような口調を忘れていたのに気付いたがもう遅かった。



「やはり貴方はそういう喋り方なのですね」



そう言ったのはヨルディード・スティードだ。

俺が思うにこいつも本心をいつも隠して俺に接している気がする。



「...まあ、そうだな」



「アルは昔からこの喋り方だよ、私はこっちのアルのほうが好きかな」



「そうですか...兄弟愛?ですかね?」



「いや、アーサーが言っていることは大半が冗談だから気にしなくていい」



「なるほど...?」



いつの間にかに会話入り込んできたアーサーを無視して俺はそう言った。

するとセレナが笑いながらヨルディードのほうを見る。



「ようちゃんは正体を明かさないのかい?」



「「「ようちゃん?」」」



俺とアーサーとレファニー嬢の声が重なる。

ヨルディードは溜息をついてセレナを一瞬睨んだ。



「君っていつも余計なことをずばずば言ってくるよね。無神経すぎるんじゃないかな?」



「まあ、昔からの付き合いなのだからいいじゃないか」



「あのさ、地味に僕の過去を明かそうとしないでくれないかな?」



「どうせ話す未来があるなら今でもいいだろう?」



「ああ...そうだね、そうだったね。君はそうゆうやつだったよ、朔谷 聖麗」



「私の前世の名前を覚えていたんだね、宮坂 翔馬」



どうやら話の流れからしてヨルディードはセレナと前世で会ったことがあるらしい。

いや、会ったことがあるというより知り合いあるいはそれ以上の関係だったのだろうということが分かる。



その後は少し彼女達が元居た『地球』というところのことを教えてくれた。

土の話も興味深く、ぜひとももっと発展していたとされる技術を知りたいところだ。





「この場に『転生者』が3人もいるのか」



ぽつりとアーサーがそう言った。

確かにここには転生者が3人もいるようだ。






この世界にとって『転生者』はこれと言って特別な存在なわけではないが『転生者』がもたらす前世の技術や文化がこの世界を成長させていったと言ってもいいほど重要ではある。

だから父上のように『転生者』を囲い込もうとする人は多く、秘匿している国も多いと聞く。



俺達がいるこの王国、ティアドラ王国は世界五大王国の一つに数えられるほど有名だ。

他の4国と帝国とは機密条約というものを結んでいて、転生者が現れたら大帝国と世界五大王国内で匿うというものだ。



決して他の国に情報は漏れることはない。

それほど重要な人物がここには3人もいるということはかなり異例の事態なのだ。



いたとしてもその地域に1人ということが多く、国単位だと100人ほどいる。

しかしここまで一つの地域に転生者が集まることはなかなかない、いや、実際にいるのだからあるのかもしれない。





俺は、いや、俺達はセレナ達『転生者』を守らなければいけない。











このメンバーの中に3人の『転生者』がいてくれて助かったかもしれないとアルは思ったのであった。

第8章コンプリート率:39/45

総合コンプリート率:148/331

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