94話『事件は終結へと向かう』
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静まり返った王宮で私達は対面して座っていた。
前には拘束されたアミラとアーサー、私の隣にはアルが座っている。
そしてその間をはさむように座っているのが国王陛下、その反対側に座っているのが王妃殿下だ。
「アーサー、お前がしたことは重い...分かっているな?」
威厳たっぷりの口調で国王陛下が口を開く。
アーサーは表情の一つも動かさずに口を開いた。
「そうですね」
たったそれだけの言葉を口にしたアーサーの感情は全く読めない。
再び部屋に静寂が訪れたが、すぐにアミラが口を開いた。
「...殿下はどうなるのでしょうか?」
きっと彼女にとってアーサーの今後の処罰が気になるのだろう。
国王陛下は少し目を見開きながら答える。
「そうだな...これだけのことをしでかしてくれたのだ、臣下は免れないだろうな。最悪の場合は死刑という手もある」
アミラは目を見開いて今にも泣きそうな顔になる。
拘束された両手が握りしめられるのがこちらから見えた。
「...陛下、ご提案があります。よろしいでしょうか?」
国王陛下はふむと考えてから「言ってみろ」と言う。
アミラは私のほうを見たがそれも一瞬のことで、すぐに視線を陛下のほうへ移した。
「私は、『転生者』です」
なるほど、彼女は自分が『転生者』だから転生前の技術をこっちの世界の人に教える代わりにアーサーを助けてほしい、と言いたいのだろう。
その場に座っていた人たちは三者三葉の表情を見せた。
国王陛下と王妃殿下は目を見開いて驚いた。
アーサーは「なぜ今まで言わなかった?」という顔でアミラを見た。
アルは相変わらず無表情を極めていた。
「知っているよ」
誰も彼女の言葉に答えようとしないので私は口を開いた。
しかも、令嬢らしからぬ元口調で話し出したのには理由がある。
「君は坂本 愛美、そうだね?」
私は確信をもってそう言った。
アミラは目を見開いて「...なんで...」と答える。
「テレビでよく君が出演しているドラマを見ていたからね。さっきの演技と言い、今までの演技といい、昔...いや、前世の君にそっくりだ」
アミラが息を呑む音が聞こえる。
どれだけ彼女は驚いたのだろうか、私が逆の立場だったらかなり怖いかもしれない。
しかし、私は小さいことから人を見分ける能力に長けていた。
少しの間だけ『本家』のボディーガードとして働いていたことがあるほどだ。
「...セレナ、それはどういう事だ?」
頭をフル回転しているらしく、アルが一番最初に口を開いた。
「私も『前世持ち』いわゆる『転生者』だからね」
そこでやっと黙っていた国王陛下が口を開いた。
「...なるほどな、そういう事だったのか。では、セレナ。お主に処罰を任せるとしよう、きっと私以上にいい案があるのだろう?」
私は口の端を上げた。
良かったな、アーサー。君の願いが今叶うみたいだよ。
私は心の中でそう呟いた。
ようやく彼女達は長年望んでいた未来を掴めるのだ。
それなら、解放しよう。
ただし、条件はしっかりと付けるよ。
私は心の奥底でほくそ笑んだ。
「アミラとアーサーは平民になればいいんじゃないかな?」
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