86話『よし、入団させよう』
※ディオルウェ視点です。
俺は目の前で剣を振り回すセレナを見てあることを考えていた。
やっぱり入団させたいな...。
妹のセレナはどんな方法をとってもこの国の王族が手放さい存在なのはよく理解しているのだが、そこをうまく使えないだろうか。
国王会議でほとんど決定されたと言っても過言ではない時期宰相と時期団長の話を先日聞いた俺は今よりも強い騎士団を作るためにどうすればいいかを考えていた。
セレナは文武両道で勉強も運動もできる。
だから各国の上層部は毎年のように彼女を狙って刺客を向けるが、どうやらいつも彼女の執事と従者に始末されているらしい。
他国からも狙われるほどだから国内からもいろんなところからお誘いを受けているらしいが、すっぱりとお父様が断りを入れているらしい。
先週セレナには内緒で秘密裏に家族会議が開かれたのだがその時にお父様がセレナが王族になるのは決定事項だと言っていた。
どうやってもそれは変わらないらしい。
ただ一つの方法があるとすれば彼女自身が拒否すればいいのだが、きっとセレナは王族になることを望むだろう。
王族になってしまうとかなりの警備が付けられて俺とジュリ以外の兄弟はなかなかセレナに会えなくなってしまう。
ルスなら難なく警備をかわしてからセレナの元に行けそうだが、家督を継ぐベリーならまだ希望はあるが、イルとノースは難しくなってしまうかもしれない。
数年後にはセレナは王族になることが決まっているのでそれまでの間にどうにかして家族が会えなくなるのは阻止したい。
目の前では剣を未だに振り回しているセレナがいる。
俺はその場に立って彼女を監視しているわけだが、あまり意味はない気がする。
俺はそれともう一つのことを考えていた。
先日とある人物が訪ねてきた。
その人物は俺にこう言ったのだ。
『協力してくれないかな?』
最初は驚いたが、何となくは察していたので表情までは出なかったはずだ。
『君に頼みたいのはね...『ジュリウスのサポート』だよ』
その人物はそう言うと『じゃあ...頼んだよ』と言ってその場を去っていった。
『ジュリウスのサポート』と言われても俺はほとんど傍観することになるだろう。
元々あいつは一人でなんでもこなしてしまうので俺が介入する必要はなさそうだ。
―セレナは知っているのだろうか、あいつが動き出したことを
俺がぼんやりと前の景色を眺めていると後ろから気配がした。
どうやら交代でルスがやってきたようだ。
「交代の時間だよ、ディオ」
ルスは楽しそうに笑いながらそう言う。
「ああ...頼んだ」
俺はルスにそう言うと『目的の場所』へと足を進めた。
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