83.5話『頑張る妹』
※ディオルウェ視点です。
我が家では常識になりつつある家族全員での夏の特訓会は今年も行われた。
弟のイルとノースが大きくなったので家族全員で特訓をしようとお父様が言い出したのだ。
ヴァルトキア公爵家の人間は変わっていると周りの家から言われるが、俺はそうでもないと思う。
元々この家の人達は全員剣の心得があるし、俺の妹のセレナも俺達兄弟と同じ練習メニューを軽々とこなしている。
毎朝5時に起きて屋敷の周りを1周する。
屋敷の周りの一周が約10kmのため、俺たちはだいたい40分で完走する。
次にしっかりとした食事をとる。
栄養がしっかりと考えられた我が家の料理は他の家でも有名なほど美味しい、本当にこの家に生まれて良かったと思わさせられる味だ。
次に朝稽古がある。
お父様とお母様も一緒に稽古をするので家族全員がこの時に揃う。
朝稽古は約1時間みっちりとやっている。
その後はそれぞれ家庭教師に勉強を教えてもらう時間なのでそれから午後までは勉強付の時間だ。
俺はあまり勉強が好きではないので実技の教師を雇ってもらってできるだけ外に出ている。
どうやらルスはたまに抜け出して仕事に行くようだが、それ以外の兄弟はしっかりと室内で授業を受けているらしい。
セレナがたまに外で魔法の練習をしているが、俺の目線から見ても人間業ではなかった。
ありえないほどの魔力量を持っていて、さらには全属性持ちなためか使える魔法の種類がかなり多いようで、家庭教師からは上級魔法以上の魔法を教えてもらっているらしい。
そして長い勉強の時間が終わるとお茶の時間がやってくる。
夏休みのような長期休みじゃなくても俺たち兄弟はよくお茶をしたりはするが、勉強して疲れた体を休憩させるためにこれは絶対必要だと思う。
お茶をするときにお菓子も出されるため、そこで糖分をしっかりと取っている。
俺の兄弟達は割と甘党が多いので、いろんな国のお菓子がお茶をするときに出てくるが俺にはさっぱりどれがどれだか分からない。
お茶休憩が終わると午後稽古がある。
アルス様がわざわざ我が家にやってきて教えてくれるのだ。
セレナとルスは他の人達が付いていけないほど動きが早いので、毎回一緒に組んでいる。
俺はジュリと組んだり、ベリーと組んだりその時々によって変えているがもうあの2人とは組みたくない。
セレナとルスはかなり体力があって、割と剣術に自信のある俺でも勝てないときがあるのだ。
一体大人になったら殺人鬼にでもなるつもりなのだろうか、いや、既にルスはそっち方面に足を突っ込んでいたからもう手遅れか。
その後は随時練習が終わり次第解散だが、なかなかセレナとルスの練習が終わらないため俺たちは話しながら2人の稽古を見ていたりする。
お父様が早く帰ってきた日はお父様も稽古に参加していたりするが、大体はアルス様だけが講師として稽古をしている。
と、まあ夏休み期間の我が家の特訓会はこのような感じだ。
このメニューを俺の友人に話したら「いや、良く体力もつね」と言われた。
俺的にはこれが普通だと思っていたのでその言葉を聞いた時は驚いたものだ。
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