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72話『空を飛ぶ公爵令嬢』

凄い風圧の中私はアルトールディの背中に乗っていた。



『皆様、ただいまドアが閉まりました。



携帯電話などの電波を発信する電子機器類は機内モードなど電波を発信しない設定に切り替えるか、電源をお切り下さい。



また皆様が着席されていることを確認して出発いたします。



座席にお座りになり、シートベルトをお締めください。



皆様のご協力をお願いいたします。』



前世の飛行機だったらそのようなアナウンスが流れていることだろう。

しかし、私は今シートベルトすらつけていない割と危ない状況だ。




そう、今私は空中にいるのだ。





話は遡ること数分前になる。



「もうそろそろ、大丈夫そうだね。テントの方に向かおうか」



私がそう言って彼のほうを見ると彼も頷いて答える。



『そうですね、帰りましょうか。では行きましょう』



という会話があったが、その会話には続きがあったのだ。



『では、私の背中に乗ってください』



そう言ってアルトールディはペガサスの姿に戻ってから私に背中差し出した。

丁寧に足までまげて乗りやすいようにしているところ悪いが、なぜ背中に乗らなければいけないのだろうか。



「もしかして、飛べるのかい?」



私は思い当たることを聞いてみた。

ペガサスの本を読んだときに『ペガサスの羽は飾り物ではなく、しっかりと飛べるものだ』と書かれていたのを見たことがあったのだ。



『ええ、飛べますよ。空から見たほうが場所が分かりやすいですよ』



どうやら私が帰るテントへの道は分からないらしい。

そこは自分で探せということらしく私は仕方なく背中の上に乗った。




すると勢いよくアルトールディは空高く飛び上がった。



『セレナ、下をよく見て探してくださいね。見つけたら私に教えてください』



私は覗き込むように下を見た。

高所恐怖症の人だったら確実に気を失うほど高い場所からテントを見つけるのは苦難の技だ。



「アルトールディ、川の方を辿ってくれないかい?」



『わかりました』



そう言うと急降下してさっきよりも見えやすい位置にやってきた。

それでも風は吹き荒れていて私の長い髪が凄い勢いで流れていく。



髪の毛でしたが見えないので持っていたかんざしで髪をまとめてからもう一度下を見る。

数分間テントを探し続けているとやっとテントを見つけた。



「あそこだね、アルトールディ頼んだよ」



『ええ、任せてください。ゆっくり降りますね』



そう言ってゆっくりと降りていく。

どうやらそこら辺の速度調節もできるらしい。



さっきも急降下しないでゆっくりと降りてほしかったが今言っても仕方がないだろう。





私達は無事に地面に降り立つと向こうのほうから人が駆け寄ってくるのが見えた。





どうやら、私は後でお兄様達に尋問されるらしい。

第7章コンプリート率:12/14

総合コンプリート率:107/331

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