71.5話『変わった魂を持つ彼女』
私は今までほとんど一人で生きてきた。
最後に人間に会ったのはいつのことだろうか、確かあれは4000年以上前のこと。
私は自然の力によって生まれた聖獣でいつものように森を歩いていた。
すると突然がさりと音がしたかと思うと一人の人間の男がそこに立っていたのだ。
私のほうを見て驚いた顔をしながら彼は問いかけてきた。
「貴方は誰だ?」
不思議な生き物を見る目をして私の方を見てきた。
『私は聖獣だ、お前は人間か』
「...そうか、聖獣というのだな」
そう言って男はそこで黙って考え込んだ。
そして何かを思いついたのかバッとこっちを見てから口を開いた。
「私は近頃建国をしようとしている者だ。貴方に力を貸していただきたい。...ダメだろうか?」
私は今まで何もせずにただ生きているだけだったので男の提案を飲むことにした。
それから何度も男は私の所に来て今の近況報告をするようになった。
「国の国民は皆、いい人ばかりだ」と言っていつも国民のことを話した。
「貴方の名前はアトルディア・ロア・キュース・レダレフェルトというのはどうだろうか?」と言ってきたので私はその長い名前を名乗ることにした。
「貴方を国旗に入れさせてもらった、実は私が国旗を描いたんだどうだ?」そう言いながら旗を私に見せて嬉しそうにした。
「実は息子ができたんだ、もう少しで体裁がとれそうだ」と言ってどこか疲れた顔をしながらも今まであったことを語った。
「私はもうそろそろ寿命らしい、もうじき私は死ぬだろう」最後に男はそう言って帰っていき、それ以降姿を現すことはなかった。
国想いな男は立派な賢王として名をはせたらしい。
そして、最後に私に挨拶をして突如としてどこかに消えて行方不明になった。
人間の寿命は短いが生きている間にすることが多い。
寿命が短いからこそ何かすることが出てくるのかもしれない。
私が最後に見た人間はそこで最後だった。
男は自分の息子を私の所に連れてこなかったし、他の誰かを紹介するということもなかった。
私もこれと言って人間に会いたいというわけではなかったため特に気にしてこなかった。
そして今日久しぶりに森で何かを感じてその方向に向かった。
そこにいたのはまだ半分子供の少女だった。
しかし、彼女の精神は既に大人で前世の記憶を持っているらしい。
私は彼女に興味が出た、だから契約をした。
彼女なら私には考えられない面白いことをしてくれる気がした。
だから、彼女の行動を見て楽しませてもらおうと思う。
名前の長いペガサスの聖獣は生まれて初めての契約者ができた。
第7章コンプリート率:11/14
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