68話『お茶会メンツは今日も豪華です』
私は生徒会室へ資料を届けたのでゆっくりとサロンへと向かっていた。
途中の廊下の角でレファとヨルに会ったので途中から3人で道を歩く。
これも実は計画通りだったりする。
今回のお茶会のメンバーは私、婚約者、アミラ、レファ、ヨル、ドーラ、そして第二王子の予定だ。
予定通りなら今日は全員が集まれるはずなので、歩いていれば全員集まるだろう。
レファとヨルは先生からの頼み事で職員室から明日使う物を一緒に教室に運んでいたはずだ。
近日に野外合宿が行われるそうで、その時に必要になるものがリスト化された『しおり』を2人は教室に運んだのだ。
私はなぜか教師陣に気に入られているらしく、よく職員会議に参加させてもらっているのだ。
そこで野外合宿が行われることを知り、どうせなら『しおり』を作成したらどうかと提案したところ私の提案が通ったのだ。
次に行動に起こしたのは先生が頼む生徒を絞るために教室にいる生徒を人為的に少なくした。
王都で有名なスイーツ店があるのだが、私の知り合いが店長をしているため、今日新作を出せないかという無茶苦茶な提案をしたところなぜか話が通って今日新発売の季節のパフェが出たため、スイーツに目がない令嬢令息は早々にお店に向かっていた。
この学園は放課後に外部に出ても良いということになっているので割と放課後はみんな外に出ているのだ。
それでクラスの人数を半数以下に減らしたら後に残った数人が先生の手伝いをすることになるのでレファとヨルは先生に捕まって手伝いをさせられたというわけだ。
ドーラは今日は用事があって早めに教室を出て行った。
お茶会には参加できるが少し遅れるかもと言っていたのでのちに来るだろう。
残る第二王子は今日は日直の日なので日誌を書くのに苦労していることだろう。
第二王子の担任の先生は日誌の感想欄を全て埋めるまで寮に帰してくれないタイプの先生なので優秀な彼でも無理だろう。
「私達は先程まで先生の手伝いをしていましたが...セレナ、貴方は何をしていたのですか?」
そう言いながら『お前、ぜったい何か企んでいるだろう』という顔をしながらヨルがこっちを見てきた。
私は何でもない風に微笑みながら答える。
「実は一昨日、急な生徒会関係の要件ができてしまって...今日が締め切りでしたので先程提出してきたのですよ」
「それは大変でしたね...お疲れ様です!」
レファは私の思惑など知らない純粋な子なので素直にいたわってくれた。
しかし、ヨルは私が何かを企んでいることを知っているらしく、レファには見えないように睨んでくる。
私達が反しているとタイミング良く私の前に第二王子が出てきた。
「すいません、ぶつかってしまいましたか?...セレナリール嬢でしたか、お怪我はありませんか?」
そう言って手を差し伸べてくる彼は今日も猫を被っているようだ。
私は笑いながら答える。
「ええ、大丈夫です。殿下こそお怪我はありませんか?」
「こちらはなんともないですよ。これからどこかに向かうのですか?」
彼は後ろにいるレファとヨルを見てからそう聞いてきた。
「実はこれからお茶会をしようと思いまして...あ、殿下もご一緒にどうですか?」
「...そうですね、もしかして私の兄上もお邪魔しているのでしょうか?」
「ええ、恐らくもうお着きになっていますので少し急いでいるのです」
「...なるほど、では私もご一緒しても良いでしょうか?」
「もちろんです、殿下も一緒にお茶をしましょう」
こうして私が思っていた通りのメンバーでお茶会は開かれることになった。
サロンのドアを開けるとどうやらドーラのほうが先についていたらしく、そこには3人が座って待っているようだった。
「遅れて申し訳ありません、少し所要があって遅れてしまいました」
「いや、全然大丈夫だぞ!今もアミラとドーラと話していたところだ」
そう言っていつも通り婚約者は元気よくそう言った。
よくいつも疲れないなと私は思うのだが、本人はどうなのだろうか。
それからみんなが席についてしばらく雑談をしていた時にふとヨルが思い出したように言う。
「ドーラ、貴方は何をしていたのですか?」
「僕、実は...殺めてしまったんだ」
「「え?」」
その場は一瞬にして凍り付いたが彼の幼馴染のヨルと私は慣れているので普通の表情を保っていた。
「今度は何を殺めてしまったのですか?」
私がドーラにそう聞くと今度は私のほうに視線が注目する。
まるで『お前は何を言っているんだ』と言われているようだ。
「...ありです」
「あ、り?」
「アリという令嬢はいなかったはずだが...」
どうやらキャラ崩壊を起こしている婚約者は混乱しているようだ。
「それで、今日お墓を立ててきたのですね?」
「お墓を...」「...立てた?」
どうやら第二王子と婚約者は気が合うようだ。
王子二人は全く理解できていないという顔をした。
レファとアミラは分かったようで納得した顔をしている。
その後ドーラが2人が勘違いしていることに気付きその場は落ち着きを取り戻した。
実は、ドーラは虫の一匹でも殺してしまうと墓を作るほどの聖者なのだ。
第7章コンプリート率:7/14
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