67話『王子を紹介します』
今日は私の婚約者をアミラに会わせてみようと思う。
何となくの勘だが、全てが丸く収まる気がするのだ。
婚約者には適当に話があるとか言って呼び出しておいたのであとはアミラといい感じに会えるようにセッティングするだけだ。
私の計画では少し目的の場所に行くのが遅れてしまい、2人で話す機会を作るというものだ。
少し遅くいくためにベリーお兄様に頼まれごとをされたという口実を作る必要があった。
だから私はまず、生徒会に入っているお兄様が私に頼み事をできるように仕向けた。
やったことは簡単なことだ。
まずは、この学園で私と同じ学年で何かの問題を起こす必要があったため、あらかじめ去年のF、Gのクラス、つまり1年16組から20組までの人の成績の底上げを行った。
私はこう見えてもバックに公爵家があるため、割と有名だった。そこを利用して他のクラスに多くの知り合いを作って、定期テスト勉強を一緒に行ったのだ。
前世の友人の中で大学の予備校教師がいたため、その子にどうやって教えれば成績が伸びるのかということを聞いたことがあった。
会社を経営するうえで新人の育成方法を考えていたので参考にしようと思ったのだ。
その友人はまずは長所を伸ばすことから始めるのがいいと言っていたので私は先生との信頼関係を作り、自分の学年の一人一人の成績状況について聞いた。
先生から聞いたことを元に、私は教科ごとでの長所を生かして、その教科の短所がある人にその教科ができる人を付けるようにした。
共に学ぶ上で、お互いの分からないことを教え合うような勉強方法を取ると一気にF、Gクラスの成績は上がったのだ。
私はその勉強方法を1年間行った、そしてその結果F、Gクラスは例年に比べて大幅な成績の相違が現れた。
このことが生徒会の議題に上がったので私の計画は上手くいったようだ。
ただ、全体的に私の予測を遥かに超える成績上昇になった理由は私にも良くわかっていない。
きっと私の学年で何かの問題があればまずは生徒会で親類関係のある人が呼び出されると思った私の予測は見事的中して上手く計画通りに進めることができたのだ。
私は今年の生徒の勉強状況とそれぞれの学生の性格や、授業態度を資料にまとめてほしいと言われたので今日はその資料を生徒会に提出しに行くことになっている。
そして何よりこの資料の提出が言い渡された日が一昨日ということで相手に伝えられなかったという理由にもなるだろう。
予め今週の頭にお茶をしたいと話していたので呼んだ人たちは今サロンに向かっているはずだ。
まずまずのところ、生徒会室は初等部の校舎にないため、遅くなることは仕方がないという風にもできる。
よって、これでうまい口実ができたわけだ。
私は学園の廊下で資料を持ちながら口の端を持ち上げる。
計画通りだと今きっと私の婚約者とアミラが出会っている頃であろう。
セレナは無事に生徒会室に資料を置いて初等部のサロンへと足を向けるのであった。
第7章コンプリート率:5/14
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