66.5話『遠くから見る彼女は今日も笑う』
※アルティアス視点です。
今日は外部学習の日で、初等部3年生と4年生は『天の森』へと来ている。
俺は『天の森』に来て遠足に来た子供のように楽しそうにしている人達を見ながら森の中心部へと歩いていた。
すると、向こうのほうからかなりの人の声が聞こえたのでそちらに声を向けるとどうやらまた彼女のようだ。
セレナリール・ヴァルトキア
それは公爵家の一人娘で兄が4人、弟が2人いる家の令嬢だ。
不思議と人を寄せ付ける力があり、いつも周りに多くの人がいる。
どうやら今日もクラスメイトだけでなく他のクラスや学年の人が周りにいるようだ。
彼女の容姿はこの国でも珍しく、ティアドラ王国とウルツライト帝国の血を色濃く受けている彼女はこの国で有名だ。
ティアドラ王国の王族が持つ聖魔法を持ち、ウルツライト帝国の王族の持つ多大な魔力量がある彼女はこの国で最強と言ってもいいほど強い。
どうやら彼女には2つの人格、いや表の顔と裏の顔があるようでその時々によって口調を変える。
普段は令嬢らしい完璧な喋り方をするが、基準がよくわからないが数人の前では砕けた口調で女性の中では珍しい言葉使いで喋るのだ。
まあ、表の顔と裏の顔があるのは俺も同じだからなんとも言えないが、まあよくもそこまで分けられるものだ。
いろんな人に囲まれながらその中心で笑う彼女を見て俺は『いつも通りの彼女』だと思った。
視線を前に戻して俺はまた中心部へと足を進めた。
周りで俺のことを噂する声が聞こえるが聞こえないふりをしてどんどん進んでいった。
数十分歩いたところでやっと目的地の中心部へと着いた。
どうやら他の人はここまでは来れないようだ。
ここには強い聖魔法の結界が張ってあり、ほとんどの人はここに入ることができない。
聖魔法の結界はこの世界で一番強固な結界であり、その存在を知るのもごくわずかだ。
しばらくここに居ようと思い俺は近くに会った大きな石の上に座る。
ちょうどそこは木陰になっていて、辺りは涼しい風が吹いている。
同じ景色をずっと見ていると次第に睡魔が襲ってきた。
その時、誰かがこちらに入ってくるのを感じ、俺は目を開ける。
どうやら先程、見た彼女のようだ。
目を開けると結界の入り口でセレナリール・ヴァルトキアが立っていた。
すぐに俺の存在に気付いたのかニッコリと笑顔を向けてからこう言った。
「あら、殿下もこちらにいらしたのですね」
どうやらまだ表の顔らしい。
「普段通り喋れ、その話し方だと違和感しかない」
俺はそう言って無表情で言う。
「わかったよ、まあ君ならそう言うと思ったけどね。一応君は王族だから敬意を持ったほうがいいだろ
う?」
「...上辺だけの敬意なんていらない」
「私は一応君たち王族に敬意は持っているよ。もちろん、君の兄にもね」
「...あいつのことを?」
彼女は俺の兄、アーサーのどこを見てそう思ったのだろうか。
いつも彼女と接する兄の態度は横暴で、一言でいえばやばい奴だ。
「いったいどこに敬意なんて持てるんだ?」
「アーサーはそうだね...君も薄々気付いているんじゃないかな?」
どうやら彼女は教える気がないらしい。
まあ、大体言いたいことは分かるがなぜ彼女がそのことを知ってるのだろうか。
彼女は俺の乗っている大きな石の上に飛んでやってきた。
...一気に距離を詰めてきた彼女に驚いたけど、まずまずどうやって一回飛んだだけでたどり着けるんだよ。
そう思いながらも表上の表情はまったく動かさない。
彼女は独り言を呟くように言う。
「私が卒業する年にルーンフェスティバルがあるらしいね?」
「ああ、そうだな」
とりあえず俺は相槌だけ打っておいた。
「その頃には皆が知るだろうね....いや、違うか。その逆なのかな?」
俺は彼女の言っていることがよくわからなかった。
「それで、お前はなんでここに来たんだ?」
俺は話題を変えて聞くことにした。
まずまず彼女が結界を超えるのはいつものことだし、そこまで驚くことはない体。
「君はここにいると思ったからね、少し話に来ただけだよ」
「...そうか、ではもう戻ったほうがいい。あっちでお前のクラスメイト達が探しているぞ」
俺はそちらの方に見える彼女を探すクラスメイトのほうを指した。
彼女は頷いてから手を振る。
「そうだね、では私はもうそろそろ戻るとするよ。...ああ、私が言ったことは天変地異が起きない限り起きるだろうから覚えておくと良い」
そう言ってまた一飛びして地面に降りると元来た道に戻っていった。
この時、俺は知らなかった。
数年後に彼女の言っていたことの意味を理解することを
第7章コンプリート率:4/14
総合コンプリート率:99/331




