第一話:藁をも縋る少年-
思えばこれが全ての始まりだった。
――どうか受験合格できますように。
少年は藁をも縋る思いで祈った。
歳は15。高校受験真っ只中であった。
今日は元旦、吐息がまるで形があるかのように白く色付く。
先程揺すった鐘が遠くなっていく。神社は人で溢れかえっていた。
カップルや友達と来ている人も多くいた。だが少年は一人。
何か思い詰まったような表情を浮かべ、羨ましそうに辺りの人々を見ていた。
彼には仲の良い友達もいたが、今日は一人できた。最近は忙しくて一人が多い。
彼の両親はともに高校の教師で、息子である彼には医師を目指せと物心ついた頃から強いっていた。
そんな訳で今回は決して落ちては行けない受験なのであった。
しかし行きたくもない名門と呼ばれる学校の為に必死になるのは窮屈であった。
自分の心にも嘘をつき、自分の気持ちにも逆らって来た。
だからこうして初詣まで来て祈った。
決して落ちることが無いように。
自分の心に気持ちに素直になるために……
そして少年は重い足取りで神社をあとにした。
本当は友達とワイワイ、ガヤガヤと年始の行事を楽しみたかったのだ。そういう年頃である。
家へ帰るとすぐに母がいた。
「こんな遅くにどこ行ってたのっ」
正月の朝っつったら初詣以外のナニモノでも無いだろうと思いつつ俺は答えた
「初詣だよ、母さん」
すると、少し考えたように見せたあと
「あらそう、神様なんか居ないんだからそうゆーのに頼らないで、自分の力で高校行きなさいよ」
といい残しあっさりと自分の寝室へと戻っていった。
どーしてこうも、うちの両親は常識っていうか、一般的行事に感心がないのだろうか。少しは神様だろうが仏様だろうが、とにかく不安な時は縋りたい、そういう思想を肯定しないのだろうか。などと考えながら俺は自分の部屋へ歩みを進めた。
前回、初投稿させていただきましたが、ちょっと設定を間違えてしまったので、同じ内容を分割して投稿させていただきます。
わざわざ長い文章を読んでいただき大変恐縮です。ありがとうございます。
さて、この話には女神様が登場してきますが実際にそんなことは起こりません。しかし出会えたらいいな! こんな体験してみたいなということで描いてみました。
実は小説を描くのもほぼ初めてなため、みなさんのお目を汚していなければ何よりです。
また、読んだ本も少なくボキャブラリー不足名ため某小説からパクってしまっているところも多々ありますが、それは勘弁してください。
こうしたほうがいい。もっとここはこうしろ。などビシバシ指摘してください。
あと、もしもこんなところが良かったなどとあったらそれも教えていただけるとありがたいです。
長い後書きになってしまいましたが、ここまで読んでくださったみなさん。本当にありがとうございました。