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A.粗相の荒い者は絶対ギルド前か中にいる。



場所は魔物ハンターズギルド前にある広場


そこに屈強な体つきをした男達が10数人倒れている。


立っているのは三人の少年少女と一人の女。


「なんでこうなったよ」


「おねーさん強すぎー?」


「すごい」


少年は困惑し、少女は驚愕する。


「あらー?、情けないわね~。それでも魔物ハンターなのかしら~?あら!ごめんなさ~い?"自称"魔物ハンターでしたわね~」


グヲォン!と明らかに重量物を振った音を発てた大剣(どんき)を肩に掛け、毒を吐く貴族のお嬢様風の美人なお姉さん。


「ちっくしょう…このクソアマァブヘァッ」


容赦ない踏み込みが、悪態を突いた倒れていた男の頭を踏み抜き、地面にめり込ませる。未だ痙攣している為、死んではいないだろう。


「えーと、ありがとうございます?」


「いいのよ~。さて、入りますわよ~」


そして、魔物ハンターズギルドへ向き直ると「こちらですわ~」とドアを開けて入っていく。


「ほんとなんでこうなった」


ルイは歩きながら、ここに来るまでを思い返す。








街道に出るまでは、別に大した苦労は無かった。この樹海の魔物は、基本的に(ひいらぎ)とその眷属には一切攻撃をしてこないし、近寄りもしない為だ。


そんな訳で、街道を予定通りの方向へ進み、街を探して歩く。別に走っても良かったのだが、ルナとリリスがついて来れるか心配だったのでやめた。


何度か野営を挟み、5日程で比較的大きい外壁が見えてきた。門の前まで行くと数人が並んでいて検問が行われているようだ。


順番にある程度進むと、一人の衛兵らしき人が近寄ってきて「そこの君たち、この街には何の用があって来た?」と、聞いてきた。


身分を証明するものが欲しくて来ましたと、当たり障りのない理由を述べると、「そうか、ならばすこし詰所へ来たまえ」と言われ、門に併設してある小屋へ連れていかれた。


椅子に座るよう促され、大人しく座わって待っていると、衛兵は奥にある部屋から拳大の黒い玉を持ってきた。


それを専用の敷き板のようなものと一緒にテーブルに置き、別の部屋から三人の衛兵を呼ぶと、自分達とテーブルを囲むように待機し、最初の衛兵がテーブルの正面に座ると幾つか質問を始めた。


なんとなくだが、その黒い玉が嘘発見器のような気がして、出来るだけ質問の内容にそった"解釈しやすい"答えをしていく。


答える度に黒い玉に白いラインが走っているので、ほぼ確信めいていた。


「それでは最後の質問だ。君は元帝国兵か?」


この質問は一番迷った。何せ違いますと言えば少年兵として参加している為、嘘になる。


「どうしたのかね」


暫くどう答えようかと黙ってしまったのを、ここに来て怪訝な顔をし始める衛兵に、これ以上黙っているのは不味いと感じた為、正直に話すことにした。


元農民で、5年以上前の戦争時に味方である帝国兵から徴兵と名ばかりの略奪と暴力受けた事、少年兵で爆弾を持って敵に突っ込んで自爆する部隊に入れられた事、前線崩壊時に隙を見てこの二人と逃げ出した事、そして、今までの5年間樹海の奥で狩りや野草を採って生きていた事を伝えた。


「そうか…グスッ。よく頑張ったな」


なぜか衛兵の人達が涙ぐんでいた。


「ああ…すまない。字は書けるか?」


「はい。え?、書ける理由ですか?えーっと、先ほど樹海の話をしたじゃないですか、その樹海の中に洞窟がありまして、その中に盗賊かなんかが置いたまま居なくなったのか、幾つか教本のような書物が積んで置いてあったので、それを使って覚えました」


黒い玉は白いラインを浮かばせる。そう間違ってはいない。なんせ盗賊どもは土の中に居なくなったし、魔法書は教本だし。


「そうか、盗賊にとっちゃ本なんて火種にしかならなかっただろうからな。荷物になるよりはと思い、棄てて移動したんだろう。さて、長々とすまなかった。仮通行証明証を発行するから、この木紙(もくし)に名前を書いてくれ」


そう言って、和紙のような質感でA4ぐらいのサイズがある紙と、恐らく墨であろう液体の入った(びん)と筆をを渡してくる。


「はい。…少し気になったんですが、その嘘発見器?のような玉は、嘘をつくとどうなるんですか?」


ちょっとこの玉が嘘に対してどういう反応をするのか気になってしまったので、名前を書きながら聞いてみる事にした。


「うん?この玉か?これは"正負の玉"と言って、君の想像通り嘘と本当を見分ける魔道具だ。そうだね、君の年齢は15だったね?」


「はい」


「では、私が年は幾つだ?と問うので、20と答えてみたまえ」


「はい」


という事で、衛兵さんの問いに対して「20です」と答えると、白いラインが出ていた所に禍々しいような赤黒いラインが玉の表面を走り回った。


「この様に嘘の供述を答えると、赤い線が無数に走るようになる」


「これは…どうなってるんでしょうか」


「さぁ?我々にも原理はさっぱりわからん。ふむ、名前を書いたようだな。ルイ、ルナ、リリス。よし、間違いも無いな。では少し待っていろ」


そう言うと、立ち上がり、奥の部屋部屋へと消える。


暫く他の衛兵さん達と駄弁っていると、3つの木札を持った最初の衛兵さんが出てくる。


「これを何処かのギルドへ渡せば、そこで身分証の手続きが行える。プールの事も心配しなくていい。手続きが終われば幾らか貰えるだろうからな。この仮通行証明証は一度限りしか発行出来ないから気を付けるように。では、ギルド総合案内所へ案内する者を一人付けよう。そうだな、ミゲルは今何処にいる」


「ミゲルは確か休憩中ですが」


「そうか、どうせ寝ているだろうから起こしてこい」


「分かりました」


一人の衛兵が走って行くのを見届けた衛兵が此方へと向き直る。


「そうそう、自己紹介がまだだったな。私は、モルトレス警備団衛兵隊隊長のゴットフリート・バルバトスだ。よろしく頼む」


隊長だったらしい。それにしてもゴツイ名前だなと思いながらこちらこそよろしくお願いしますと言った辺りで、さっきミゲルなる人を呼びにいった衛兵が入った扉が開け放たれた。


「ゴッツたいちょー、お呼びっすかー?」


そして出てきたのは、金髪に碧眼の160半ばの身長をした、お調子者という言葉が似合いそうな衛兵だった。


「来たかミゲル。この三人をギルド総合案内所まで送り届けてきてくれ。ああ、こいつはミゲル・アイデルヘイゲン。衛兵見習いだが、それなりに頼りになるだろう。年も近いようだし、気軽に街のことについて聞くといいだろう。ミゲル、頼んだぞ」


「了解っす!じゃあついて来るっすよ」


「はい、分かりました」


どうやらこのミゲルという人物が案内してくれるらしいので、隊長さんにお礼を言って彼に付いて行く。


ミゲルと他愛ない話しをしながら街を歩いていると、色とりどりの髪の毛が揺れているのが分かる。しかし、ルイ達のような青系の者は見当たらない。どうしてなのか疑問に思い、ミゲルに聞くとこんな返しが待っていた。


「元々、青系の髪や瞳っていうのは旧帝国に多かったんすよ。それで元々ここに住んでいた青系の人達が戦争時に迫害されて逃げ出しちゃったんす。ああ、心配しなくても今は青系の人達もたまに来ますし、迫害も無くなった…ごめんっす。表面上は無くなったっす。ただ、あまりよく思わない過激な連中もいるっすから、注意はしておくっすよ」


なるほど、それで話しかけてくる人が少なかったのと、衛兵の隊長さんが真っ先に自分達を尋問したのか合点がついた。


「お、その様子だと尋問された理由が分かったすか?結構察しがいいっすね。まぁ、ほんとに表立って騒ぎを起こすような輩はそうそう居ないっすから気にしなくていいっすよ」


それなりに気にしてくれているのだろう。因みに、歳を聞いたら17歳らしい。「歳の割りに背が低いのがいやなんすよね~」と言っていた。


そうこうしているうちに、木製のどでかい建物に着いた。看板に総合案内所と書いてあるため、目的地はここで間違いないだろう。


それなりに大きなドアをくぐり中へ入ると、アンティークな雰囲気が漂うカウンターと併設されているカフェのような場所が目に入った。


ミゲルは「ついて来るっすよ」と言いながらツカツカとカウンターに歩き寄り、数人居た受付らしき女性の一人に話しかけた。


「やあ、ジュディ!元気にしてたっすか?」


「いらっしゃいミゲル。私は元気よ。貴方はいつだって元気そうね」


「これが取り柄っすから!」


英語の教科書の挿し絵を思い出したのは言うまでもない。


「それで、今日はどんな用で来たのかしら?もしかして後ろの子達?」


「そうっす。職業適性を見て貰いたくて来たっす」


「あらそうなの?ちょっと待っててね」


そう言うと、ジュディと呼ばれた受付の人はカウンターの奥に引っ込み、一人の男性を連れてきた。


「彼は職業鑑定官のアイン・レックハートよ」


「やあ、君たちがお客さんかい?ご紹介に預かったアイン・レックハートだよ。よろしくね」


優しそうな感じの、深緑の髪と瞳をした長身の男性である。


「では早速始めよう。ふむ、リリスちゃんね、君は戦闘系に向いているようだね。ルナちゃんは…これは珍しい、神官系か、で、ルイくんは………ちょっとこれは…ここで言うのは不味いかな。ジュディ、ちょっと4番の部屋を借りていいかな?それとクレーフェルト様をお呼びして」


「え?わ、分かりました!あと、お呼びする理由は何にしますか?」


「新しい土地持ちが出たと言えば分かります。ルイくんと、あと女の子二人は僕について来てね。ミゲル君案内ありがとう、ゴッツくんには僕から連絡が来るから待っててと言っててくれないかな?」


「あ、はい、了解っす。じゃあルイっちたちまたっすね~」


そう言って手のひらをヒラヒラさせながら出ていくミゲル。


「では行こうか」


カウンターの横にあった階段を上り、二階へ行くとアインさんは4つ目の部屋を開けて僕たちを招き入れる。


「その椅子に座って少し待って、あ、いや。クレーフェルト様此方です」


「あら、案内ご苦労様ですわ~」


「いえいえ、では奥の方にお座りください」


「失礼しますわね~」


そう言って入ってきたのは、貴族のお嬢様と言うべき美人だった。


「こちらは、ま」


「お待ちになって~?自己紹介は自分でしますわ~」


「失礼いたしました」


自分たちの正面の席に優雅に座るのを見計らって、アインさんが紹介しようとすると、それを手で遮りながら自分で自己紹介すると言い出した。


(わたくし)は魔物ハンターズギルドガラドニクス支部長兼、ハンターズクラン"龍王騎士団(ドラゴンロードナイツ)"のクランリーダーを勤めますイルマ・クレーフェルトと申しますわ。以後良しなに」


「ええと、私がルイです。そちらから見て右が妹のルナ、左がリリスです」


「ルイくんにルナちゃんにリリスちゃんですわね~、こんな格好してるけど貴族はないのですわよ~、もっと気軽に話してくれるとありがたいですわ~」


「はい、分かりました」


「それで~、アイン?」


「はい、今回お呼びしましたのは、ルイくんが使徒判定が出たからです」


「属性数は~?」


「……クレーフェルト様と同じ、クアドラプルです」


「あらあら~」


「ええと、何か不味いことでもあるんでしょうか」


「そうですわね~、放っておけば戦争の火種になりかねないですわね~」


「え?」


「土地神の眷属というのは、自然を操る事が出来る非常識な存在だということはご理解できて?」


「はい」


「人は愚かなのですわ~、そんな人物を用いて国土を拡げるために使徒達をタブらかして軍に取り入れ、それを切っ掛けとして戦争を他国に吹っ掛けるのですわ…」


それはまた…、ではクレーフェルトさんは違うのだろうかと思ったのだが。


「あら?なにやら不穏な雰囲気ですわね~。そんな警戒しなくても私は軍の関係者ではないですわよ~」


ならいいのだが…。


「そう言えば実力はどれくらいかしら~?」


途端、左目に(ドラゴン)を象った神紋が現れ、左目が爬虫類系の目になる。そして、急に猛烈な殺気が放たれた。


あまりにもびっくりし過ぎてルナとリリスの腕を取り、空間移動で壁側に貼り付くようにして後ろからの攻撃を無くし、水で薄く幕を作り見えない攻撃に備え、圧縮し鉱石状にした剣型の土を周囲に展開して迎撃出来るようにした。


ルナは光系統の攻撃用魔法の展開を終え、リリスは炎で出来たランスを構えている。


「合格ですわ~」


そう言うと、殺気は無くなった。未だ神紋は浮かべたままだが、こちらを見てニコニコしている。


「ちょっと防衛反応を見たかっただけですわ~。驚かせて申し訳ありませんわ~」


「もうしてきませんか?」


「はい、我が龍神に誓ってしませんわ~」


「それなら…」


展開していた全てを消し、ルナとリリスを促してもとの席に戻る。


「さて、私の龍神様もルイくん貴方に興味が湧いたそうですわよ~。仕えている神の名を聞いてもいいかしら~?」


「少し待ってください、確認します」


いいですわよ~と了承を得たところで、柊と遠心通(えんしんつう)を行う。


『柊、起きてるか?』


『起きたわよ~。なに、もう寂しくなったの?』


『そういう訳じゃないが…じゃない。他の使徒と会ったんだが、名前を教えろと聞いてきた』


『そうなの?ちょっと左目と口貸しなさい』


『分かった。委ねる』


「我が神直々に話すそうです」


「あら?分かりましたわ~」


すると、勝手に口が動きだし、あーあーと声の確認をし始めた。


「あら?その神紋、龍神ガラドニクスじゃない。久しぶりね」


「ほう、その神紋は潔癖蛇巫女、流澪之白蛇水神(ナガルミオノハクダミズノカミ)ではないか。相変わらず噛みそうな名前であるな」


すると、相手も神直々に話すことにしたのか、雰囲気が変わって元とは違う口調で話し始めた。


方や女口調で喋る少年、方や男口調で喋る女性。端から見ればシュールな光景だろう。


「誰が潔癖蛇巫女よ!この傲慢ドラゴン!あとそうそう噛まないわよ!」


「そう噛みつくな、我が傲慢を気取っているのは()の者共に舐められぬ為だ。仕方なかろう?」


「開き直るな!ごほん、それよりなんの用があって私の子の前に居るのよ」


「なに、貴様も感じているのだろう?この邪悪な気配を」


「当たり前よ!だから私は休眠してるのよ」


「やはり貴様も休眠に入ったか。まぁいい、それでだ。今、我は出来るだけ有力な人材を集めて、然るべき時に備えて独立都市を造っている。その有力な一人に貴様の眷属を加えようかと思っているのだが、どう思う」


「いいんじゃない?場所的には永浄(えいじょう)の川に近いんでしょうね?」


永浄の川とは柊が住んでいた川だ。


「ああ、このモルトレスから52ケル東にある」


※1モル=1m・1ケル=1km


「あら、ほぼ隣じゃない。なら許容範囲ね」


「数多いる土地神の中で、貴様ほど防御に関してウザイ奴は他に()らんからな。後々誘おうかと思って近くに拠点を造ったが、眷属がいるとは聞いていなかったぞ」


「私が断ったらどうするつもりだったのよ。あと、ルイは転生者よ。どうせ貴方みたいなのが欲しがるだろうからと思って、ある程度力がつくまで言わなかったのよ。そう言えば、貴方は休眠はいいの?」


「ほう!こやつは転生者だったか!それは楽しみであるな。ああ、もうすぐ我が都市の自治が完了するが、それまで寝られん」


「そうなの、ちゃんと力は貯めとかないとダメよ」


「貴様に言われずとも既に力は貯めている」


「あらら、相変わらず準備がいいわね。そうね、貴方の所にいた方がこの子達も安全そうね。暫くの間この子達を頼めるかしら」


「ふっ、責任を持って預からせて貰おう」


「よろしく頼むわね。あ、あと戦技(せんぎ)を教えてあげといて。じゃあね~」


「まったく、昔から変わらんな奴は」


ふぅと支配が消え、また何かあったら呼びなさいと言葉を残して柊の意識が消えていった。


「ええーと、クレーフェルトさん?よろしくお願いします?」


「はい、お願いされましたわ~。あと、この件で私と貴方は同等となりましたのでイルマでいいですわよ~」


「はい、分かりました。それでイルマさん、俺たちはこれからどうすればいいですか」


「そうですわね~、じゃあ取り敢えず魔物ハンターズギルドへ行ってクラン登録しましょう!」


「はい、分かりました」


そういうことで席を立ち、部屋を出るとアインさんはここで情報統制を行いますと言って立ち止まったので、お礼を言ってからイルマさんを先頭に総合案内所を出ていく。


イルマさんによると、アインさんはイルマさんのギルドの人だったらしく、情報を提供するために居たとのこと。丁度イルマさんが定期報告を聞きに来ていたところ、自分達が現れたらしい。


運命的ですわね~と朗らかに笑っているイルマさんを見て、確かに運命的だなと思った。



そんなほのぼのとした空気の中、総合案内所程では無いにしろ、なかなかデカイ建物が見えてきた。


看板には魔物ハンターズギルドと書いてあり、重厚な門構えをしている。


ほへーっと眺めている時だった。


「へい嬢ちゃん、俺らと遊ばねぇか~?」


「たぁ~のしい遊びだぜぃひゃははは」


「あ、坊主、貴様はいらんからそこら辺で遊んでろ」


そう言って10人ほどの筋肉で出来た壁が現れた。


「あらあら~。私達(わたくしたち)はギルドに用がありますのよ?お相手している時間はありませんわ~」


「あ"あ"ん?いいじゃんか~ちょっとぐれぇ」


「なぁ~にそう時間はかけねぇって!ヒヒヒッ」


生理的な嫌悪感を感じたのか、ルナとリリスは魔法の発動間際まで行っている。各言う自分も、力を使う準備は終わっている。


「おお?このガキ共やる気か?いいぜ~俺たちBランクギルド"極狼(ごくろう)(つるぎ)"が相手してやるよフヒヒヒ」


「泣いて喚いても知らないからなぁ!」


そう言って男達は、各々の武器を構え始め、ニヤニヤとこちらを見ていた。


「はぁ、仕方ありませんわねぇ~」


相手のその様子を見るなり、そう呟いたイルマさんは、片手を出し、そこに力を貯め始めた。


手のひらを中心に数秒で金属の粒子が集まって出来た大剣(どんき)が出来上がり、その表面に雷煌(らいこう)が走る。


そして、それを見ていた誰かが呟いた。「雷金(らいがね)龍姫(りゅうき)」と。



それから、ただただ一方的な静粛が始まった。


うふふふ~♪と言いながら、まるで虫を叩くかのように大剣の"腹"でデカイ男達をぶっ叩くイルマさん。正直恐怖でしかない。


そうして今までの回想は終わり、黒焦げとなった男達が沈む広場へ目を向ける。


「やっぱりどうしてこうなった」


どう考えても厄介ごとに巻き込まれていることに、理不尽を思わざるおえないルイであった。







「ちょっとすっきりしましたわ~」


「ヨカッタデスネ」




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