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第45話 港町の宿は防音設備が万全です



新しく


左遷先は異世界でしたが、提督(ボク)は征服活動を始めます


の連載を始めました。



https://ncode.syosetu.com/n9501fd/



こちらもお楽しみ下さい。

 濃い目のコーヒーで眠気を飛ばし、PHEVのアクセルを踏み込む。

 少ない睡眠から目覚めた辺りから、ミリシアの調子が戻ってきたので、本当に良かったと考える。望外の儲け、それに伴う危険の接近。色々ナーバスになる事が多かった。それに対して、一定の解決と安心感を与えられたのが功を奏したらしい。


 欠伸を噛み殺しながら、昼食を楽しみ、一路海に向かう。

 時折、街道沿いの木々の間から生き物が出てこようとするのは見えたが、クラクションを鳴らせば大概が引き返していった。一部興味を持った生き物がのそりと出てくる頃には、大曲りに距離を取って迂回した後で、遥か後方でぽつんと立っている姿が確認出来た。大分、この世界の田舎における運転にも慣れたなと、自画自賛しておく。


「まだきゃっぷにはなれないけど……。ん……はい」


 そろそろ植生が変わってきたので、海が近いのかなと思っていると、ミリシアがそっとペットボトルを差し出してくれる。スクリューキャップにも慣れたのか、ぶつりっと開放するのも恐れずに開けて差し出してくれるようになった。はじめの頃は壊してしまったと大騒ぎだったのは、本人の名誉のため忘れようと思う。


「ありがとう。そろそろですか……」


 私が目を眇めつつ先を確認すると、ミリシアも同じように目を凝らす。


「んー……。そうね。森も抜けたし、そろそろ草原地帯にかかるわ。後は歩いても半日足らずね」


 という事は二十キロメートル程度なので、時速六十キロ前後の速度で二十分強くらいと確認し、改めてアクセルを踏み直した。


 ある程度進むと、外気の吸入口から嗅ぎなれた潮の香りが車内に広がり始める。


「あ、海が近い……」


 ミリシアも匂いに反応したのか、ぼそりと呟く。

 と、いきなり林が開け、一面のコバルトブルーが目の前に飛び込んできた。

 窓を開けると、むぁっとした空気が車内に飛び込んでくる。

 昨日までの晩秋か初冬が嘘のように暖かだ。

 ミリシアも上着をぽそりと脱いでいる。


「暖かい……。不思議ね」


 そうそうこんな距離を短時間で移動する事は無い。

 明確な寒暖差を感じる機会なんて、皆無だろう。


「急に温度差がある場所に行くと、体が驚きます。数日はゆっくり休みましょうか」


 私が呟くと、こくりと頷き、動きを止めて、ぼっと火が付いたように頬を朱に染める。

「えと、文字通り、休みますよ?」


 先回りして告げると、ぽかぽかと殴られた。うん、ぽかぽかでは語弊がある。どすどすに近い。


 そんな漫才を繰り広げ、ミリシアの知っている道に出た辺りで、PHEVを隠せる場所を探す。暫く蛇行を繰り返していると、大きな藪が見つかったので、切り開きいつものカモフラージュを施して、荷物を担ぐ。


「では、改めて出発しますか」


 二人してぐぃっと背を伸ばし、凝り固まった体を開放して、歩き始める。

 一時間も歩けば、ミリシアが指さす視界の彼方に海に突き出した何かが見えてくる。


 突堤がそれなりの距離に伸びた港町に辿り着いたのは、丁度昼頃だった。

 傭兵という事で身分の確認もすんなりと終わり、町に入るのは容易だった。

 そのままミリシアの行きつけの宿屋に向かう。


「その……壁が厚いの。静かな、良い宿だわ」


 木板で壁を仕切っている安宿なんかもある事を考えれば、防音が出来る程の設備が整っている宿は良い宿だろう。裏の意味は分かりやすいほどに分かっているが、昨夜搾り取られた分が回復していない。

 取りあえず、休む事を目的とし、宿の入り口に向かった。

いつもお世話になっております。



ブラック会社のタブレットを持った私が異世界に転移したらの書籍発売が近づいてまいりました。



特典SSの情報などが入ってきましたので、告知致します。




書名:ブラック会社のタブレットを持った私が異世界に転移したら



著:舞



イラスト:岡谷



ISBN:978-4-7973-9664-5



判型:四六判



価格:1,200円+税



発売日:2018年12月10日




紹介サイト:



https://books.tugikuru.jp/detail_black_tablet.html




特典SS



とらのあな様:ミリシアと一箱を消費した日の話



WonderGoo様:コロッケを楽しむ話



町ほん同盟様:孤児院に賭博を持ち込む話




よろしくお願い致します!!

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