表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/50

第43話 ミリシアの憂鬱

 PHEVのアクセルを踏み込み、加速を促す。

 緩やかに増していくGに身を委ねながら、ミリシアの方を確認する。

 前回の旅で慣れたのか、引き攣ったような表情は鳴りを潜め、若干物憂げな表情を浮かべている。

 町を離れ、比較的人通りの無い地域まで入り込んだので、歩行者事故低減アシスト機能に任せる比重を上げてミリシアに声をかける。


「大分……ご迷惑をおかけしましたか?」


 私の問いに、一瞬はっとした表情を浮かべたミリシアが、苦笑気味に唇の端を上げる。

「ううん。違うの……。いや、そうね……。若干関係はあるのかしら」


 詳細を聞いてみると、思った以上にミリシアの環境が悪く参っているようだった。

 ドラゴンバスターとして、確固たる名声を得たミリシア。

 元々傭兵としての名声は得ていたが、それは飛び抜けた実績というより、信頼性の高さを物語っていた。

 その評価すらも引っくりかえすような大きな実績。

 そうなってくると、今まで以上に有象無象が寄ってくる羽目になっているようだ。

 行政の方、特にお姉様方のお陰で幾分かは防波堤となってくれているようだが、実情を知らない周辺領地の貴族などが粉をかけてきているそうだ。

 その辺りの対応を頑張って行政と協力しつつ調整する毎日を送っていたそうだが、最近おかしな連中が周囲に現れるようになったらしい。

 詳しく聞くと、ドラゴンの爪を手に入れたい人間。どう考えても、裏側の人間が屯するようになった。

 私が裏の人間と話をつけた辺りから、裏からあぶれている影響力の少ない後ろ暗い住人がミリシアの方に向かってしまったようだ。


「それは……。申し訳ないです。供給を絶てば、襲撃の対象から外れると考えていたのですが……」


「ううん。いいの。人は信じたい事しか信じないから。私が、私達が持っていないと言っても諦めないわ……」


 諦観したような目でミリシアが告げてくる。

 それを聞き、状況を悟った。私の対応だと、金儲けとして上層にいる人間の対応は出来るが、実際の中毒者達までの対応にはなっていなかったと。

 警護と、中毒者の対応を裏側の住人に任せようと改めて、計画を練る。


「んー。無理していない?」


 私が考え事に集中したのに気付いたのか、ミリシアがぼそっと呟いてくる。


「あなたのためであれば、何をしようが幸せですよ?」


 返すと、ぽっと頬を朱色に染める。


「すぐにからかう……」


 ミリシアが苦笑を浮かべたと思うと、ほぅっとため息を一つ。

 そこからは空気が変わったかのように柔らかな雰囲気で会話が弾む。

 日が傾き、野営の準備をすべき時刻になったのは道程の半分を進んだ辺り。

 現在地をミリシアに説明すると、呆れ顔が返ってくるのはお約束だろう。

 そんな事を考えながら、LEDの間接照明をPHEVのコンセントに差し込む。

 さぁ、夕食の時間だ。

いつもお世話になっております。

ブラック会社のタブレットを持った私が異世界に転移したらの書籍発売が近づいてまいりました。

特典SSの情報などが入ってきましたので、告知致します。


書名:ブラック会社のタブレットを持った私が異世界に転移したら

著:舞

イラスト:岡谷

ISBN:978-4-7973-9664-5

判型:四六判

価格:1,200円+税

発売日:2018年12月10日


紹介サイト:

https://books.tugikuru.jp/detail_black_tablet.html


特典SS

とらのあな様:ミリシアと一箱を消費した日の話

WonderGoo様:コロッケを楽しむ話

町ほん同盟様:孤児院に賭博を持ち込む話


よろしくお願い致します!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブックマーク、感想、評価を頂きまして、ありがとうございます。孤独な作品作成の中で皆様の思いが指針となり、モチベーション維持となっております。これからも末永いお付き合いのほど宜しくお願い申し上げます。 twitterでつぶやいて下さる方もいらっしゃるのでアカウント(@n0885dc)を作りました。もしよろしければそちらでもコンタクトして下さい。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ