四話 「帰り道の疑問」
「うう。まさか今日が企画書提出日だったとは…。」
廊下を歩きながら項垂れている友葉。辺りはすっかり夕焼け色。今の今まで友葉は元から出来ていた企画書の手直しをしていた。そういうものはとことんこだわりたいタイプの友葉は無理を言って生徒会室で居残りをさせてもらってなんとか完成させたところだった。
「ゆう~? いるか~?」
「いるよ。後ろに。」
「ひっ…!?」
半分いないだろうと思って教室に声をかけた友葉。だがそこには雄真はいなく予想外にも友葉の真後ろに彼は立っていた。友葉は当然驚き、恐怖のあまり短く悲鳴を上げてその場に座り込んだ。
座り込んだ友葉に雄真は笑いながら「大丈夫か?」と聞いている。誰がどう見ても雄真は心配していないように見えるだろう。笑っている時点でアウトだ。
「だからお前そういうのやめろよ!! 知ってんだろ? 俺がホラーダメなの!」
「知ってるよ。中学の野外活動の時の肝試し楽しかったからな。」
「良い笑顔で言うなよ!!」
友葉の大の苦手はズバリ、ホラーである。いくら友葉が重度のゲームオタクだからと言ってホラーゲームだけは意地でもやらない。一度だけ雄真も一緒という条件でプレイしたことがあるが、怖くないシーンで安心させて友葉が絶叫するであろうシーンだけ部屋をでるという最低な嫌がらせを雄真が行ったことがあった。もちろんそれは友葉のホラー嫌いが深刻化するという形で雄真のなかでは悪戯大成功例として納められている。
「と、いうかどこに行ってたんだ? てか遅くなったんだし先帰ったのかと思った。」
友葉は雄真の手を借りて立ち上がりながらそう聞いた。
「図書室。どうせ遅くなるだろうと思ってな。俺元図書委員だから事務の先生と仲良くて図書室開けてもらってた。あっちもこれといって用事なかったみたいだしな。」
雄真の手には数冊の本と学校のテキスト、筆箱があった。その返答に友葉は興味がないのか「ふ~ん。」とだけ返した。雄真は自分の席からスクールバックを取ると振り返る。
「じゃあ帰るか。」
その言葉に友葉は頷き、二人は帰途についた。
「なあ、友葉。」
自分の影を踏むようにして雄真の少し前を歩いていた友葉は振り返る。後ろにいた雄真のなんとも言えない困り顔に友葉は顔をしかめる。
「友葉ってゲームをどう思ってる?」
その唐突な質問に友葉は固まった。もしや雄真もゲームに興味を持ち始めたとか? いやいや可能性はなくもないけど限りなく0%に近いな。などと思案する友葉に雄真はいつも通りの笑顔を見せた。
「いやよくそんなやってて飽きないなって。」
予想外の言葉に友葉は不信感を抱きつついつも道りに「お前なぁ!」と怒って見せた。やがて見えてきた曲がり角で一旦足を止めそのまま二人はそれぞれの家に向かう道に分かれた。
「いきなり何だよアイツ…。」
友葉は一人、先程の質問に疑問を持ったままそのことを頭の隅に追いやった。