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レコード・アクセス  作者: 藤崎彰
優しい火種
18/29

問題編1

 事件発生は昨年の十月の末日。秋も深まるこの季節、文化祭を開催していた西園高校でボヤ騒ぎが巻き起こった。

 普段は多くの学校同様、無関係な人間が入り込めない様になっているのだが、この日は文化祭という事で一般開放され、当日は生徒や教師だけではなく、関係者の家族や友人、この学校を受験予定の中学生を始めとした多くの一般人が出入りしていた。

 当然そうなると、不測の事態を始めとしたトラブル防止のために、学校はいくつかの対策を講じる事となる。その一つが校舎の一部区画の封鎖だった。

 この学校は『本校舎』、『体育館』、『部室棟』、『特別教室棟』の四つの建物に大別されており、文化祭の出し物を催す際に主に使用される学年の教室がある『本校舎』や、文化部の多くの部室がある『部室棟』。演目のためにステージを利用する『体育館』はそのままであるが、化学室や工作室など、危険な薬品や道具などが置かれている教室のある『特別教室棟』は、立て看板の設置と教師たちによる交代の見張りをする事で、一般人の侵入を防ぐ様にしていた。

 その為、緊急な用事や、普段ここを利用する文化部が備品を取りに行くなどの理由で、生徒がこの区画に入らざるを得ない場合は、見張りをしている教師に理由を説明しなくてはならない。事件当日に、ボヤがあった現場である化学準備室を訪れた斉藤千鶴も例外ではなかった。



「彼女は当日、クラスの出し物で喫茶店をやってたらしいんすね。なんでも、男子は執事の格好して、女子はメイド服着てたみたいで」


「うわー、こっちの学校ってやっぱそういう思い切ったことやっちゃうんだね」


 目を輝かせながらそんな事を言う要海。彼女の中では、眉目秀麗な男女がそれぞれの装束を羽織っているらしい事が、静波には容易に想像できた。


「かなみんの中学ではなかったんすか? そういうコスプレ的なやつ」


「わたしの所ではお化け屋敷やったよ。田舎だと理解が薄くてね、この辺りが限界だよ」


 文化祭と言えば、必ずあると言っていいくらいの定番的出し物の名前が要海の口から語られた。


「要海ちゃんはなにやったん?」


 興味深そうに要海に追及する真琴。お化け屋敷と言えば当然お化けの格好をするのが当たり前なイメージ像であるが、要海は「ううん」と否定したのちに、当時の自分の役割を話し始めた。


「わたしは宣伝担当。クラスのかわいいこたちと、ナースのコスプレして練り歩いたの。手に包帯まいたり、ゾンビっぽいメイクもしながらだけどね。あれはいい宣伝になったと思うよ? うちのクラスの売り上げトップレベルだったもん」


 武勇伝を語るように、誇らしげな笑みとともに過去を振り返る要海。その話を聞きながら、要海ならノリノリでやりきるだろうなと静波は納得の心持ちになる。


「かなみんのスタイルなら、さぞやエロくなったんじゃないっすか?」


 そして追随して話を掘り下げようとする貴音。静波も少なからず要海の仮装に興味がなかったわけではないが、自分から言い出すのは敗北した気分になると思い、口に出すことはせずに話を聞く。


「いやいや、そこは周りも凄いのが揃ってたからさ。中学でもまこちゃん級いたよ?」


「中学生でっすか?」


 貴音の驚愕の声を受けて思わず真琴の胸を見てしまう静波。普段のスーツ姿でも相当だが、ラフな普段着である今はその大きさがより強調されている。


(中学生で……これ?)


 真偽の確かめようのない要海の話ではあるが、目の前の実物を元に想起させるイメージが、静波を震撼させるのだった。


「乳の話はええから、先に進めんかい」


 真琴の痺れを切らした発言に、静波は慌てて彼女の一部から視線を外す。真琴の言葉の端に少しの照れが混ざっている気がしたのはきっと気のせいではないだろう。


「あ、すんません」


 貴音も同じタイミング話の脱線を詫びる。


「やっぱ、おっぱいの話は魔力があるね」


 両手をわきわきと動かしながら、名残惜しそうに話を終わらせる要海。改めて、本能に忠実な人間だと静波は思う。


「話戻しますね。千鶴ちゃんは当時、時間にしたらえーと、十四時ちょっと過ぎ。クラスで催していた喫茶店で出していた、紅茶にいれるスティックシュガーが切れてるのに気付いたんす。で、買い出しに行こうと思ったけど、科学部に所属してるクラスメイトから、実験で使った角砂糖が『化学準備室』にあると教えられて、取りに行く事にしたんすよ」


「その科学部の人、はどうし自分でて取りにいかなかったのでしょう? 場所を知っていたのなら当人が行ってもよかったのでは?」


 貴音の言葉から感じ取った疑問を静波が追及する。


「彼はクラスの出し物と、自分の部活の掛け持ちで多忙だったみたいっす。千鶴ちゃんもそれが分かってた様で、自ら取りに行ったらしいっすね」


 静波の疑問に回答を提示したところで、貴音は話を続ける。


「さっきも言ったように、文化祭当日は『特別教室棟』が封鎖されているんすけど、現場である『化学準備室』、ここは『化学室』の中に入ってるんすけど、そこも特別教室棟の一部で、同じ封鎖区域っす。本校舎も特別教室棟も三階建てで、三階からの出入りは『連絡路を等がないため出来ず』、『一階も入り口を始めとした出入りが可能な場所は施錠されており』、唯一の入り口である二階渡り廊下、すぐ側には二年生の教室があって、本校舎とを繋いでる場所なんです。見張りの教師はここに立ってたっす」


「渡り廊下近くのクラスはどんな出し物をしていたの?」


「ここは二年六組で、当日はカラオケルームなるものをしてたらしいっすね。簡単なカラオケマシーンを持ち込んで、お客さんに歌わせるってものだったみたいっす」


 タブレットを操作し、当日の二年六組の写真を表示させる貴音。客引きをしているらしい生徒の写真もあり、関係者から手に入れた事件前の写真なのかもしれない。


「つまり、見張りの職員は出入りする人間がいないかを見ており、結果的に教室に出入りする人間が見張りの人間を見張っている状態になったわけです。ここまではいいすか?」


「うん、大丈夫」


「では続けます。千鶴ちゃんは職員室から化学準備室の鍵を借り、『当時部室棟への唯一のコネクションである二回渡り廊下』に向かいました。で、見張りの教師は彼女の説明を受け、特別教室棟に彼女を通しました」


 あくまで出入りを制限されているだけで、然るべき用事のある生徒の進入の為、問題なく通過できるのだろう。


「そこで彼女は化学室にたどり着きます。『化学室自体も鍵が閉じられている』ので、同時に借りて来た鍵で開けました。ちゃんと鍵はかかっていたそうっす」


 タブレットの下部のバーをタップして開かれたテキストファイルに目を落としながら、貴音は説明を続ける。徹底してデジタル媒体に情報を集めている辺り、書類本位の真琴とは正反対の様だった。


「で、彼女が化学室に入った瞬間突如ベルの音が鳴り響きました。それは火災報知機の鳴らした音だったんすけど、当然彼女は一瞬当惑しました。でもすぐに、目的地である化学準備室に通じる扉から煙が上がってる事に気づいたんす。

 そこで千鶴ちゃんはとって返し、渡り廊下を目指しました。だけどそこまでたどり着く事無く、駆け付けてきた教師達に出くわしました」


 警報が鳴っていた中で煙を見れば、火事を想像するのは当然の帰結と言えた。すぐその場から立ち去った判断は懸命と言っていいだろう。


「それからすぐに情報は伝わり、迅速な避難指示が出され、消防が来るまでの教師陣による火消が功を奏して、出火点周囲が黒焦げになってしまったものの、建物の機能を失わずに済むレベルで食い止められたっす」


「消せたからよかったけど、本当なら素人がやっていいもんやないな」


「鍵の掛かった準備室の扉をわざわざ開けてますからね。中の状態が分からないのに突然ドア開けたりしたら、バックドラフトが誘発される危険もありましたしね。まあ、密閉されてたわけではなし、火が出ている以上空気は無くなってなかったわけですけど」


 結果論でうまくいった消火活動に、真琴と貴音は口を揃えて異を唱える。


「でも、怪我した人も死んじゃった人もいなかったんだよね? それが一番だよ」


 それに反対する意思があったわけではないだろうが、要海がその結果でもたらされた幸いを肯定する。もはや見慣れていると言っていいくらいに見慣れているはずの彼女の優しい表情に、静波はほっとするような安らぎを感じていた。


「せやな。行程ばっか非難して、出した結果を認めないのはちゃうわな」


 確証はないが、きっと真琴も同じだったのだろう。彼女と貴音の若干強張っていた顔が微笑みに代わるのが見て取れた。


「けど、これでめでたしめでたしってわけにいかないっす。賢者がよしと言えばそれで終わる世の中じゃあないので、当然原因の究明と犯人探しが始まったわけで」


 しかし、話を戻すために貴音はすぐに表情を正し、事件の話を再開する。


「まずは出火原因なんすけど、出火元が件の準備室、えーと、確か自分のタブレットに見取り図入れてたと思ったんすけど……、お、あったあった」


 タブレットのアルバムページからフォルダを検索し、目当ての写真を呼び出そうとする貴音。


「さっきから気になってたんやけど、私物に資料入れてるんか? 貴音」


 真琴が複雑な感情をこめて貴音に聞く。仕事上の書類を個人所有の端末に入れてしまう事の危険性の高さは、漏えいのリスクを高めてしまうのは一般常識である。真琴がいい顔をしないのも当然の話だった。


「こういう事に目を瞑ってもらわないと、これからの先輩の手助けが厳しくなると思うんっすけど、構いません?」


 要海に事件の依頼を持ってきた際に度々行われる、追加の調査をしている貴音の迅速さは、利用できる手段をすべて利用している故なのだろう。それが分からない真琴ではないだけに、次の一言は大いに予想が出来た。


「よし、ウチは何も見てない、聞いてない。続けてえな」


 貴音の方から視線を逸らし、身振りを以って自己の方針を伝える真琴。これがエリート女性警官の出した結論だった。


「ふざけてるようで、とんでもないやり取りが繰り広げられたんですけど……」


「しーちゃん、時として知らないふりは大切だよ」


 呆れにも似た感情になりながら呟いた静波に、フォローになっていないフォローを投げかける要海。この空間に、確かな正義を主張する人間はいないらしかった。

 しかし、そんな空気など知らぬとばかりに貴音はタブレットを操作しながら話を進める。


「こいつが準備室の見取り図で、ドアから入って左手が窓、右手に向かって空間があるんすね。作業机が一つありますけど、そこには資料やいくつかの実験器具が雑多に置かれてました」

 画面に表示されているのは現場となった準備室の見取り図だった。簡単な備品の内訳なども記されており、シンプルながらわかりやすかった。


「壁は三方共に収納棚が設置されてて、実験器具に教科書、アルコール漬けなどの実物資料などが大雑把に大別されて入れられてるっす。で、火が上がったのは窓際の陳列用の低い棚で、手前の窓近くあたりっすね」

 見取り図を拡大し、問題の個所を貴音は指さす。


挿絵(By みてみん)


「けどそこには、『火種になりうるものが見つからなかった』んすよ」


「化学準備室で火種になりそうなものと言ったら、マッチとかでしょうか?」


 火を起こす道具なら他にもあるのだろうが、学校の化学室にあり、それでいて単体で火種になりそうな物で、静波が簡単に思いつくのはそれくらいだった。


「もちろんそういった物は窓際にありませんでした。あとガスバーナーとかアルコールランプといった類のものも同じく窓際には置かれてなかったっす。ただ、実験器具入れにはマッチやユーティリティーライターもあるにはありましたけどね」


 やはり定番の発火装置は常備されていたようだったが、出火元からは離れた場所にあったらしい。


「でも、燃えるものはあったんだよね?」


 火種があっても、可燃物が近くになくては火事は起こらない。要海の指摘を受けて貴音はタブレット画面をスライドさせ、別の画像を出す。


「ええ。出火元には廃棄予定のプリントと薬包紙、あとは箱入りのオブラート。それと蝋燭といったものがまとめて置かれていました。結果としては、これらが燃えてカーテンに燃え移り、今回の騒ぎに繋がったわけっすね」


 拡大された見取り図に書かれてあった残留品の名前を読み上げる貴音。まるで掻き集めたかのような印象を受けるくらいに可燃物が集中しているらしかった。


「火種がなかった事から、真っ先に浮かんだ可能性は当然、『放火』っす。もちろん、容疑者はこの騒ぎに際して現場に駆け付けた、斉藤千鶴ちゃんが上がりました。道具自体は現場に揃ってましたし」


「やっぱりそうなるよね」


 要海が悲しそうに一言そう漏らす。


「一応警察の人が『千鶴さんを犯人に指名した』時の根拠を説明してくれる?」


「もう一度確認しますと、『文化祭の当日は現場である化学準備室のある特別教室棟は封鎖されており』、特別教室棟は三階建てで、『一階の出入り可能な場所にはすべて鍵が掛けられています』。で、『三階から行き来する方法』はありません。

 『唯一出入りが出来る二階の渡り廊下』にも、『教師が交代で見張りをしていました』。その上渡り廊下は二年六組の教室のすぐ側で、ここのクラスの生徒は客引きの為常に何人か教室の外にいて、結果的に見張りの教師を見張っている状態になってたっす。

 ゆえに、『教師がいない時間がなかった事』も『教師が特別教室棟に立ち入っていない事』も、そういった複数の証言から裏が取れています」


「そうなると、実質ここから誰にも見られずに特別教室棟に入る事は無理やろうな」


 施錠が可能な部分はすべて為され、それが及ばない場所からの出入りは証言を鑑みても不可能の結論が出る。事件当日の特別教室棟は、それ自体が『密室』と言えた。


「化学準備室に行って戻るまではどのくらいかかる?」


「走れば片道で二分あれば十分っす。でも、問題がもう一つあります」


「『化学室には鍵がかかってたんだ』よね」


「そう。千鶴ちゃんは職員室で化学室と準備室の鍵を借りて現場に行きました。それで、鍵がかかっていた事をきちんと証言しています。ついでに言うと、消火に当たった職員の証言から、準備室の鍵も閉まっていました」


 全部で三重に展開している密室に、静波は混乱しそうになる。


「特別教室の鍵って、一本しかないの?」


 対照的に要海は、鍵の本数についての質問を貴音に投げかける。相変わらず要海の頭の回転の早さには、舌を巻く思いになる静波だった。


「『職員室にすべての教室の鍵が三本ずつある』っすけど、これらは『持ち出す際に、必ず氏名を記入する必要がある』んです。『生徒も教師も、例外はありません』」


 タブレットの画面をまたテキストファイルに切り替える貴音。


「で、『当日に化学室、及び準備室の鍵を借りた』のは『斉藤千鶴ちゃんただ一人』っす」


 その事実を最後の一手とし、貴音は当時の警察の結論を口にする。


「つまり、彼女は『角砂糖を取りに行くという名目で化学室に行き、準備室に放火。鍵を掛けて戻って来たところを教師たちに出くわし、その場しのぎのお芝居をした』ってのが結論です」


「何のひねりもないシンプルなストーリーやな」


 ただ一言、皮肉めいた発言を口にする真琴。


「ま、その方が捜査する方は楽やけど」


 上に立つ者として、定まった方針の方が組織は動きやすい。無駄に分かりにくくなる位なら単純な方が有難いのは事実なだけに、真琴も皮肉を言いながらも、どこか理解できる気持ちはあるのだろう。


「でも、疑問の声は一応あったみたいですよ。砂糖を取りに行く事にした時間、鍵を取りに職員室に行った時間、渡り廊下の見張り教師に話をしたタイミングに非常ベルがなった時は、関係者の証言もあって概ねの時間が割れてますからね。

 それらを踏まえたら、彼女が準備室に到着してから火を点けるのは難しいと少なからず言われてたみたいっす」


 確かに、自分の知り合いがいくらでも居る中で、当日特別な行動をいくつも取っていた斉藤千鶴は、多くの人々の記憶に残っていただろう。角砂糖の話を聞き、鍵を借り、特別教室棟へ入っている。これだけで三人以上の人間から証言が取れるのだから、より細かい間隔で行動が洗えたのかもしれない。


「でも、彼女以外には現場に立ち入った人はいなかったわけですよね?」


『現場に入った人間がいない事実』を前にしては、『犯行が難しい事実』は力を失ってしまう。可能性は残っている以上、常に浮上して来るものだ。そんな事を思いながら、静波は貴音に確認に質問した。


「ええ、特別教室棟への出入りすらなかったっすからね。結局はそれが決定打になって、彼女は警察で取り調べを受けたんですよ」


 重々しい顔持ちになりながら静波に返答する。斉藤千鶴がこうなるまでの経緯については、彼女もいい気分ではなかったのだろう。


「でも、学校の方にもその噂が広まったころに、何故か犯人が自首してきたってわけっす」


 しかし、ここに来た所で貴音の表情は軟化する。斉藤千鶴が無実の話を出せたからなのか、単に話の切り替えでそうなったのかは判然としないが、同時に静波自身も肩の荷が下りた気分になった。やはり、目の前にいる人間がネガティブな表情をしているのはどうしても気分が下がりがちになってしまう。


「んー、予め聞いてたとはいえ、意味が解らん行動やなあ」


 貴音の話に率直な感想を口にする真琴。やや大げさな身振りで言葉を紡いでいる様を見るに、彼女もまた先程までの話の中で、複雑な気分になっていたのかもしれない。


「疑いが斉藤千鶴さんに集中してるタイミングで自首。犯人的には逃れられるタイミングだったのにわざわざ自分で潰したって事ですよね」


 静波も気分一新の心持ちで、早速質問を再開する。


「そういう事っす。客観的に見て、謎としか言えないタイミングでの幕引きと相成った訳であります」

 最後の言葉を発した後に一礼をする貴音。その様はまるで噺家のようだった。


「まあともあれ、この事件の概要は以上っす。で、かなみんに解き明かしてもらいたい問題を整理しますよ」


 貴音が自身の右手を掲げ、まず人差し指を立てる。


「『真犯人はどうやって特別教室棟に侵入したのか?』。『真犯人は誰か?』。『犯人はなぜ自首したのか?』です」


 項目を増やす毎に指を立て、最終的に三本の指を立てる。


「今の段階ではすべての情報は出揃っていません。でも、真相に至るすべての手掛かりは自分が持っています。あとは要海ちゃんの追加の質問をしてくれれば必要な情報はすべて開示するっすよ」


 要海への行動指針を示し、貴音は要海に開戦を宣言する。


「じゃあ、いろいろ聞かせともらうよ」


握った両手を胸の前に持ってきた要海は、受けて立つとばかりに張り切った様子で貴音に応えるのだった。

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