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栄光と幻と・・・前編

中学までは部活で野球をやってたけれど、高校に入ってすぐくらいに女の子になっちゃったTS娘ちゃん。

それでも野球は諦められず、地域の草野球チームに頼んで入らせて貰い、休みの日には練習をしてる。親友君は、そんなTS娘ちゃんの事を追いかけるように同じチームに来てくれた。

『お前が居ないチームで野球やっても、つまらないからな』そう言って、一緒に野球をやってくれた。

人数も少ない、別段上手な人がいる訳でもない。

それでも、好きな野球が出来るだけで楽しかった。親友君と一緒に、ボールを追いかけるのが楽しかった。

中学時代のジャージに身を包み、休みの日に練習をする日々。

泥だらけになりながらの守備練習も、ミニゲーム形式の走塁練習も、何もかもが楽しかった。

なのに・・・

段々と、身体は女の子になっていき、胸も大きくなってくる。

思った以上に筋力も落ちて、背も縮み、普通の女の子と変わらない身体になって行く。今までの自分が、違う自分になっていくのを、認めたくなくても認めなくてはならなくなっていく。

そんな自分が嫌で悲しくなる時も、親友君は背中を叩いては、『ほら、練習するぞ。お前が居ないと、俺の守備も生きないんだよ』って発破を掛けてくれる。

他のメンバーも、最初は俺が女の子だからって遠慮してたけど、今では親友君と同じように扱ってくれる。

この草野球のチームの中でだけは、俺は昔のまま・・・男のままの自分で居られた。

それでも・・・

野球での大学推薦や、実業団を目指す事も出来ないから、受験や将来の事も考えなくてはならなくなる。

高校2年の夏前には、身体はすっかり女の子だ。体力だって、男には適わない。

もう野球を諦めないといけないのかな・・・。

そんな事を考え始めた頃、他のチームと試合をする機会が訪れた。

先々の事を考えれば、これが最後の試合になるかもしれない・・・。


・・・


俺はセカンド、親友君はショートを守り、試合は1点差の最終回。相手チームの連打で、無死満塁のピンチを迎えている。

俺の体力が続かないばかりに、エラーで走者を溜めてしまった。

『最後の試合を、負けて終わりたくない』

もう気持ちだけしか身体を動かす力がない・・・。でも、親友君は『絶対止めるっ!俺たちが勝つんだっ』って、俺の背中を叩いてくれる。

この期に及んでも、親友君は俺を信じてくれてるのか・・・。

『あぁっ!』と答え、もう一度前を向く。

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