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『愛』なんて無いから  作者: ギプス


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sid 水無月しあ 「計画準備」

 ネオンが輝く夜の繁華街のはずれ、隠微な雰囲気が漂うホテル街に来ていた。

 蜜蜂呱々呂と簗型君を乗せた車が、ラブホテルの前に止まる。

 離れているため言葉は聞こえてこず。しいて見えるのは影が動いているというのがわかる程度だった。

 車が駐車場の陰に隠れ完全に見えなくなる。

 少し待っていると、ラブホテルの入り口に二人の人影が入っていくのが見える。

 私は持っているカメラを二人に向けズームする。それが確実にあの二人であることを確認してから写真を撮る。


 カシャ


 未成年とラブホテルに入る成人男性の写真。

 これで、証拠になりそうな写真はすべて取った。

 この証拠集めは花束ちゃんや愛萌、坂野くん、それに一等星ちゃんにも手伝ってもらっていた。

 一等星ちゃんは隠密行動と追尾、潜入盗聴盗撮に長けていた、だから、()()にならない範囲で隠し撮りをしてもらった。

 お礼として何がいいかを聞いたら、「お二人がぁキスをするところをぉ撮らせてえいただけませえんかあ」と言って目をキラキラさせていたから、「これがおわったら一緒にホテルに連れてって上げる。」というとプシューと煙を上げて倒れてしまった。

 実際、一等星ちゃんが居なければ半分も証拠が集まらなかったから、一日何でもしてあげるぐらいじゃないとお礼として見合わないぐらいだった。

 だから、これぐらいは安いものだった。花束ちゃんは、前のこともあって一等星ちゃんに少し妬いちゃってるのも含めてかわいい姿が見れるから私は特でしかなかった。


「クスリ、暴力、未成年淫行、これだけ証拠が集まれば警察は動いてくれるはずよ。」

「そぉですねぇ、わたしもぉそうおもいまぁす。それにぃもし動いてくれなくてもぉ、私が()()()のでぇ安心してくださぁい。」

 物騒な内容に見合わない笑顔と、それに見合った目に私はゾクゾクする。ここに簗型君がいればそれはそれはスウィートな表情を見せてくれていたに違いないと少し悔しく思いながら、はなたばちゃんに声をかける。

「ありがとう、はなたばちゃん。でも前も言ったけど無理だけはしないでね。」

「モチロンですよ。私を傷つけていいのはこしゅじんさまだけですからぁ。」

 官能的でマゾヒスティックな目でそんなことを言うものだから、私は最近抑えていたスウィートな感情が表に出ようとする

「最近私を喜ばせるのがうまくなってきたわね。」

「ごしゅじんさまのせいですよぉ。」

 これ以上喋っていると理性が持たないと思ったあたりで一等星ちゃんが倒れた。

「たっと……い」

 鼻血を吹き出し、ぶつぶつと何かをまるで呪文のようにつぶやいていた。


 そんな一等星ちゃんの花時を吹いてもとに戻し、本題に戻る。

「こほん、次、蜜蜂呱々呂の家に簗型君が来たときに作戦を決行する。警察の前に一等星ちゃんと坂野くんたち、蜜蜂呱々呂の家の付近に私とはなたばちゃん。そして、花野小路花乃の君の家に愛萌にいってもらうわ。」

「僕……花乃のところ。」

 急に言われたからか、少し戸惑いそして少しうつむいてしまう。

「愛萌、花乃君はいま極度の薬物依存と蜜蜂呱々呂に対しての依存状態にあるの、だから本当は、今すぐにでも保護した方がいい状態にある。そんな子がもしたまたま、蜜蜂呱々呂が捕まる現場に居合わせてしまったら、救えない状況になってしまうかもしれない。

 だから、そうなる前に……彼のところに行ってほしいの。」

 彼は何かを受け入れるように黙り、そして私の方を真直ぐ見る。

「……わかりました。」

 私はにこやかに微笑んだ。

「……ごしゅじんさま。」

 はなたばちゃんが寂しそうに、何かを察したように。声をかけてくる。

「……そうね。今私が言った理論だと、簗型君は救えなくなってしまう。ということよね。」

「……はい、つむぐんがいるところじゃないとダメなんですか?」

「……正直、わたしも簗型君がいない時に、とも考えたの。だけど、簗型君がいない時を選ぶんなら時間がなさすぎるの、警察に伝えて、事情を調べて、事実確認をして、そんなこと一日でできるわけない。だから、緊急性がいるの……それに、蜜蜂呱々呂がいま危害を加えているのは今彼しかいない。ほかにいるであろう被害者たちは、いま、一回も家に来ていない。

 だから、現行犯として捕まえるなら簗型君と一緒にいるときじゃないといけないの……」

 もっといい手をずっと考えていたけど、見つからなかった。今すぐ辞めさせたい。簗型君はもう限界に見えたから。今思いつく方法はこれしかなかった。

「……わかりました。」

 少し複雑そうな顔をした後、はなたばちゃんは決意を固めたように私を真直ぐ見つめる。

 その表情に私は勇気づけられ、これからのための号令をみんなに伝えた。

「警察を、蜜蜂呱々呂の家に仕向ける。そして、捕まえ、被害者の二人、花野小路花乃君と、簗型つむぐ君を保護する。

 それで、いいわね。」

「「「「―っはい!」」」」

 いろんな施行を振り切り元気よく揃った声は私に、シアワセと勇気を与えてくれた。

 私たちは計画実行に備え各々準備を始めた。

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