捧春(ほうしゅん)
今までのバイト経験が功を奏し僕は大金を稼ぎ呱々呂さんとデートを重ねることが多くなった。
お金を渡しデートを重ねる毎にお金を渡すことや何かを貢ぐこと自体に興奮するようにもなった。
最近は特殊清掃とボディタッチ有りのバーで色目を使い稼いでいる。
呱々呂さんに会うと毎回クスリを打ってもらえるクスリはあると全身が高まり幸福感と興奮が滝のように流れ込んでくる。
所謂媚薬と麻薬が混ざりあったみたいな効能が全身を駆け巡っていく。
デートの日はクスリを打ち、呱々呂さんが決めたデートプランを遂行する。そして、何か呱々呂さんの気に食わないことがあれば乱暴に体を痛めつけ、教えてくれる。
そんな日々を繰り返したある日、僕はデートの帰りこんなことを提案した。
「あの、呱々呂さん……来月、よる、僕と一緒に寝てくれませんか?
もちろん女の子の格好は脱がないし、声も可愛い声を出します。どんな事でもやります。寝た後、服をひん剥いて裸で街中に放って貰ってもいいです。僕の舌にリードのようなピアスをつけそれを引っ張り、人間でないと罵ってくださってもいいので。どんな羞恥にも耐えるので、僕と一緒に寝てくれませんか。お金はその時には2000万貯めてきます。もし足りないなら、臓器やカラダだって売ってきます。お願いします。」
呱々呂さんの家で僕は土下座をする。まるでお嬢様のような格好からは想像できないほどの醜い屈辱的な格好に、今日選ばれた服たちが泣いている。
そして、僕の頭の上の呱々呂さんは、僕の醜態を舐めまわすように見る。
そして
「いいよ。2000万で、君の春をもらったげる。」
優しい声でそう言った。僕は嬉しさのあまりトリップしそうになる頭をどうにか戻し、「ありがとうございます。」と呱々呂三二何度も告げる。
そうして、呱々呂さんと僕はお互いに快楽を貪る為に夜の蜜月に溶けた。
約束の日の当日の夜は、快楽と幸福感がオーバーヒートし、脳が弾けたようなかんかくに陥った。
事後僕たちは布団に入っていた。
「やながたくん……いいね、可愛かったよ。」
落ち着いた声色の呱々呂さんは、僕を褒めてくれた。
可愛い。それは、呱々呂さんが僕に送ってくれる最大限の賞賛だった。そして、僕が、呱々呂さんに尽くせている証拠でもあった。
赤くした顔を隠すように布団をかぶる。
「ありがとうございます……とても気持ちよくて、シアワセでした……」
余韻と眠気が僕を襲ってくる。
「ありがとうございます……ありがとう、ござ、います。」
とうとう眠気がピークに達してくる。目の前を見ると呱々呂さんが、にこやかにこちらを見ている。そして、「いいよ」とでも言うように頭を撫でてくれる。
僕は襲ってくる眠気に耐えられなくなり意識を落としていく。
「おやすみ、なさい。」
ふにゃふにゃと声が消えていく中、「おやすみ。」と帰ってきた声を最後、完全に瞼が閉じた。
僕が呱々呂さんに春を捧げた次の日の朝、呱々呂さんは僕を車に乗せて送迎をしてくれた。
その日の朝ごはんのウインナーと目玉焼きとトーストのセットと珈琲の苦い匂いは、今まで食べたどんな料理よりも美味しかった。




