着せ替え人形
僕は、今まで貯めていたお金をすべて渡しこころさんとデートをしていた。
「うーんこれかなあ、これもいいかなあ。」
呱々呂さんはあーでもないこーでもないと色とりどりの服を選んでいる。
デートを切り出すと呱々呂さんはちょうどいいやと言って僕の服を選びに行こうと言ってくれた。
そうして僕たちは、ガーリー&キュートを売りにしている洋服店sweet&berryに来ていた。
「ここ。僕のオキニの子たちがよく買ってるって言ってて来てみたかったんだよね。」
「そうなんですね、僕が初めて……」
僕はにやける顔が抑えられず変な顔になってしまう。
「やながたくん。一旦これ来てみてー」
こころさんはフリフリのピンクのゴスロリの上下セットを僕に渡してくれる。
「わかりました。」
試着室に入り、服を脱ぐ、そうしてゴスロリの服を着てみる。今日のデートのためにケアをしてきた体があらわになるような露出の多さと事前に渡された女性物の下着がスース―として羞恥心を煽られる。
「き……着れましたー!」
僕は声が上ずりながら呱々呂さんを呼ぶ。
そうして呱々呂さんが来たのと同時に試着室のカーテンがシャーッと開かれる。
「おー!やっぱ、やながたくん素材がいいからチョーカワイイね。」
呱々呂さんは珍しくほめてくれる。
「これ、一旦保留しとこっか、じゃあ次コレと、その次がこれと……」
呱々呂さんはいっぱい服を渡してくる。僕は困惑しながらそれを受け取り着替えていく。
カーテンが開くたび僕は違う服になっていた。
シャーッ
「王道地雷系ピンクの服も似合うねー。」
シャーッ
「清楚にまとめた委員長スタイル、これはこれで顔のちっさが引き立てられてていいね。」
シャーッ
「青のセーラー服。これで海デートとかしてもいいね。」
シャーッ
「スポーティーにまとめたスタイル、腹出しも似合うねー。」
シャーッ
「フリフリのドレスも面白いぐらいに合うね。髪を少しセットしたらもっと化けそうだね。」
シャーッ
「ストリート系のかっこかわいいファッション、かっこいい要素もあるのにかわいいが強く出るのは顔のおかげかな。」
呱々呂さんの興が乗り、僕は八時間服を着たり脱いだりしていた。店に合った服はほぼすべてで呱々呂さんは服を持ってきた。その間も呱々呂さんは心底楽しそうに、服を選んでいた。
結局、6着ほど気に入ったものを買って帰った。
そうして、八時間ずっと服を着ていたのを気遣ってくれた呱々呂さんが帰りにスイーツを買ってくれ、家までの車で食べていた。
食べ終わったころには僕の家が見えてくる。
「ありがとうございました。」
僕の家までついたから、僕は車を降り呱々呂さんに挨拶をする。
「うん、ありがと、またね。」
呱々呂さんは笑顔で挨拶を返した後窓を閉め車を走らせて言った。
僕は持っている紙袋の重さと同じぐらいの幸福感が心の奥からじわじわと広がってくる。
その夜僕は悶々としてしまい、ベットを右往左往して眠れなかった。




