sid 水無月しあ「助けてください」
蜜蜂呱々呂と言う男が簗型君を連れていったらしい。
別に友達の同行一つ一つにに口出しをするほど、独占欲が強い訳でもないけど、今回ばかりは話が違ったの。
放課後私は可愛い男の子達と会話カフェに行っていた。
「しあ様。」
と、泣きそうな顔で話しかけてきた子がいた。
「愛萌、どうしたの?」
「花乃が、花乃がおかしくて……僕、どうしたらいいか分かんなくて、助けてください。」
花野小路花乃、目の前の冴乃愛萌と言う男の子の友達だったはず。
整った容姿と臆病な性格、愛萌と話すのが楽しいと言いながらクラスの端で微笑んでいたのが印象的だった。
「変わった?どういうう事か教えてくれる?」
彼いわく、「好きな人が出来た」や「お金を貯めなきゃ行けない。」等恋人出来て浮かれているとも捉えられる言動を感じ、少し寂しく思っていたら、「お金が無いと、愛して貰えない」や「あの人のために……」と少し顔を強ばらせながら行ってくるようになったらしい。元々は優しくはにかんでいたのに……と愛萌は下を向き苦痛と涙を浮かべていた。
そんな子がどうしてそんなに変わってしまったのか、少し悩んでいると彼から思いがけない名前が出てきた。
「あの、簗型つむぐと友達になればあの人に認められる。と言って、彼と絡んでから、もう連絡が取れなくて……」
簗型君と、友達に?
「愛萌、それは辛かったわね。こっちにおいで。」
愛萌は傷ついているから直ぐに聞きたいことを聞くともっと傷を深めるかもしれない。
私は情報を知るのも重要だけど、この子達、私の子達をシアワセにする義務がある。
「愛萌、よく言ってくれたね。ありがとう。」
私は愛萌の頭を撫で、泣きじゃくる彼を受け止める。
少し泣きやみ話ができるようになった後で、聞きたかったことを聞く。
「その、花乃くんの好きな人の事、調べてもいい?」
「……え、調べてくれるんですか?」
「もちろん、愛萌の涙を見るとね、ご主人様の意地かしらね。」
愛萌は笑顔になり私の方をむく。
良かった。
「あの、簗型って人と毎日絡みに行くから、もしかしたら、なにか、あったんじゃないかって。」
今はなたばちゃんや私以外の簗型君の印象は最悪なの。
最近では、人をコマのように使っているや違法な場所や人と関わっているなどといったある事ないことが囁かれているため、簗型君とつるんでいると言うのは、愛萌みたいな普通の子からしたら異常で怖いことなの。
「簗型君の件も気になることがあったから、そうだ、愛萌、坂野くん達に連絡して欲しい事があるの。」
坂野くんは少し容姿が怖いけど私に忠実な子。この前簗型君を苛めたみたいで、少しお説教をした男の子、その子が、簗型君以外に人がいたと言ってたのを思い出した。
「分かりました!」
私の子達の連携は早く、情報が回ってくる。
「あ、長髪の男だったそうです。名前は分からなくて、でも、どこに行ったかは分かるらしいです。」
「そう……わかったわ。」
私が腰をあげようとすると。
「ごしゅじんさまわぁ、ここで待っててくださぁい。」
はなたばちゃんに制止された。
「わたしのほうでもぉ、つむぐんの事ちょっとだけ気にかけてたんだけどぉ、なぁんか、おかしくなってたのぉ。だから、どぉんなにぃ、ごしゅじんさまが、つよくっても、行くのはやめて欲しいですぅ。」
はなたばちゃんはいつもの服ではなく黒いジャージに帽子とマスクをつけ、カフェを出ようとしていた。
「まって、はなたばちゃん。もしそんなに危険なら帰って私が行かないと。」
「ごしゅじんさまぁ、ごしゅじんさまはぁ、ひとりしかいないんだよぉ。皆が悲しんじゃう。」
「私からしたら、みんな、そうよだから、はなたばちゃん。」
「お願いしますごしゅじんさまぁ、私に行かせて、大丈夫。私痛いの嫌だから、無理せずすぐ帰ってくるから。」
お願い、という言葉に私は弱い、それを知ってか知らずか、はなたばちゃんはお願いをしてくる。
「……わかった。けど、無理だけはしないで。」
はなたばちゃんは「もちろん」と返事をしてカフェを出ていった。
そして、その数十分後、はなたばちゃんからメッセージが届いた。
「つむぐんが薬漬けにされてる!」
私はメッセージの内容を理解するのに少し時間がかかった。




