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『愛』なんて無いから  作者: ギプス


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41/41

 タバコの匂いが香ってきて肺に回って咳に変わっていくのを必死に堪える。

 今はそんなことより目の前の現実が受け入れられず、脳がぐるぐると回る。

 副流煙が脳にこびりついてくる。


「ふぅー。」

 呱々呂さんは、僕のことなんか気に求めていない様子でタバコを吸う。

「はぁー。いらっしゃい、早かったね。俺はもっと後に、ネタバラシするつもりだったんだけどね。まぁ、どうせネタバラシするんだから今日でもいいよね。」

 灰皿に乱暴にタバコを押し付ける。

「はぁっ、はぁ、んんっ。」

 奥にいる親友であろう裸体は意識が飛ぶほど乱暴されたらしく、今やっと目覚め息を整えていた。

 彼の姿は見た事のないほど淫らなものだった。

「おい!うるせぇよ、俺が今話してんだろ?」

「ぐ……ごめんなさい、すみません。申し訳ありません。申し訳ありません。」

 彼は腹をググと押され痛みに耐える。

 体を起こし腹を抑えながら頭を下げ、泣きながら謝罪をし土下座をする。

 その顔には苦痛と快楽がドロドロと混ざっている。

 バチバチと脳が揺れる。

 忘れていた、忘れかけていた。興奮した。してしまった。

 僕は普通ではないのだ。

 普通になりたがっていたのかもしれないが、お前は異常だと心が告げてくる。

 目の前で好きな人と初めての親友が乱れている。

 呱々呂さんがはな君を奴隷のように扱っている。はな君もそれを悦んでいる。

 昨日までの屋上での会話を思い出す。声をかけてくれたあの日も、親友だあと呼んでくれたあの日も、すべ回想する。

 思い返せば()()()()()()()()も、()()()()()()()()()()()()()()()も、すべて、一致している。

「どう……して……」

 僕はひねり出した声でそう言う、心の表層が悲鳴を上げ、心の奥底が歓喜している。

「それは、僕よりコイツに聞いた方がいいんじゃないかな。全部、こいつが裏切って、こいつがやったことなんだから。」

「……え?」

 困惑する僕をよそに彼ははな君を乱暴に起こし話をさせる。

「ごめんねぇ……ごめんねぇ、でもねぇ、君を血のどん底まで叩き落したらココロ様と付き合えるって言われてぇ、だからぁ、君と親友になったのぉ。クラスで浮いてる君に声をかけるのはぁ、こわかったけどぉ、ごしゅじんさまが、やれっていうからぁ。うぐ」

「あぁ?なに俺のせいにしようとしてんの?なぁ、てめぇが勝手に親友になって、勝手に裏切ったんだろ!」

 はな君は「ごめんなさい、ごめんなさい……」と謝罪をしてこっちを見る。

「ずっと、ズット、うらめしかったんだぁクラスで浮いてて、浮気までしてるのに、ご主人様に気に入られてて、ずっとずっとずーっと、君のことを妬んでた!嫉妬してた!でもね、あの屋上で話した時間は本当のもの、だから、親友だよ!」

 ボコッ

 重い一撃が、はな君……花野小路花乃のお腹に据えられる。

「まだ親友とか、厚かましいよねぇ、いい子ちゃんのくせして恩着せがましい、いやぁな子。」

「じゃあ……じゃあ何で、こんな関係に……」

 勇気を振り絞りかすれた声で問う。

「なんでかあ……」

 彼は、少し考えるしぐさをする。三秒ほど間を置いた彼は淡白な口調で言う。

「顔。まあ、かわいかったし。」

 僕は膝から崩れ落ちた。親友はすでに壊されていた、顔が可愛かっただけで。

 ビクビクと震え、頭がキーンとなる。ハアハアと呼吸が荒くなる。

 血が頭に上る、目の前がくらんでいく、目の前の呱々呂さんはすこしにやけているように見えたその目は嗜虐心に満ちているように見えた。が、それを、確認する前に体がこっちを見ろアラートを出す。

 体中が不に包み込まれる、意識がだんだん落ちる。堕ちていく。

 最後に映ったものは、呱々呂さんの瞳に映った。苦痛と快楽に堕ちぐちょぐちょになった。僕、簗型つむぐのみすぼらしい顔だった。

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