でっとでーとでっと
デート当日僕は朝早くに目が覚めてしまった。いつもは怠く布団にこもっているのに、今日はハキハキと動けてしまう、歯を磨いて、顔を洗う、服を選ぼうとするが、いいものがない。
しかたない、とラフな服を着て早朝の街に繰り出す。
街は眠りから覚めようとしている途中で、僕の目当ての服がある店は、ぐーぐーと眠っていた。
「こまったなあ。」
眠っているのは仕方なく、眠りが覚める時間は、彼とのデートの時間だった。
仕方なく僕と一緒の早起きな洋服店を探して街を闊歩する。
朝だっていうのにせわしなく動いている働き者がいっぱいいる。
僕はそんな彼らを尻目に開いていた洋服屋さんに入る。
「いらっしゃいませ。」
温かい雰囲気の洋服が並び、暖色の明かりが外にさらされ、冷めていた心が、温まっていく。
服がずらっと並んでいて、ジャンルごとに並んでいた。カジュアルなものから、装飾品がいっぱいついたものまで。
「どんな服がいりますかー?」
店員さんが語りかけてくる。
「あ、きょうデート、なんですけど、朝起きたらいい服がなくて。」
「あらあら、それはいい服を見積もらないと。」
「いいんですか?」
「もちろん!それがウチの仕事だからね。」
フンと鼻を鳴らしながら店員さんは、すばやく服を選んでいく。
選んでいる服は割とガーリーなものばかりだ。
「君の顔とか体系だったら、割と中性的なものの中で、可愛らしいものが似合うかな。きみ、目かくしてるけど、童顔で目ぱっちりだからこういう系が似合うと思うんだよね。」
と、ホットパンツとダボッとしたTシャツが並べられていく。
「いったん試着してみてください。」
「は、はい。」
選んでもらっておいてなんだが、なんだか押されてしまう。
試着室に入り服を脱ぐ。自分の貧相な体が鏡に映される。呱々呂さんはどう思うだろうか。
そんなことを考えながら、僕は渡された服を着る、ホットパンツはギリギリ下着が隠れるぐらいなものだった。Tシャツはダボッとしており、ショーパンが隠れ切ってしまうぐらいデカかった。
「あの、これは、履いてないのと一緒なのでは……」
「いや、ちゃんと履いてますよ。それに、見てください。」
僕は照れながら鏡を見る。
「……あれ、カワイイ。」
布の短さは、気になるものの僕の体躯に合った服だった。
「これで行けばデート相手さんも一コロだよ。」
「……いいかも。」
「ふふん。」
店員さんは鼻を鳴らしていた。
「じゃあこれを買っていきます。」
僕が帰ろうとすると店員さんが
「お客さーん。まだまだ似合う服は用意してるんですよ。まだ時間はあるんでしょう。」
「まあ、ありますけど……」
実際、まだまだ時間があって、暇になってしまうというのは事実だった。
店員さんは目をキラーンと輝かせていた。
「まあ、暇ですし、いいですよ。」
そう言ってしまったが最後僕は一時間ほど拘束され着せ替え人形にされてしまった。
「……はあ、ひどい目にあった。」
結局一番最初の服を買って帰ったため暇をつぶしただけになってしまった。
「まあ、30分前まで時間が潰せたのは、よかったかな。」
暇な時間がないのはいいことだと割り切り、呱々呂さんの家に向かう。
少し早いが、呱々呂さんなら許してくれるだろうと思い、足を進めていた。
そして家の前についた。
ピーンポーン
とベルを鳴らすが、出てこない。
「あ、あいてる。」
ふと扉に手をかける。
ほんの好奇心だった。もしかしたら叱られてしまうかもしれないと、思いながら、それもいいかもしれない、なんて考えながら。
まるで恋する乙女のような気分だった。
ドアを開けるその瞬間までは。
そこには、裸でぐったりとした花野小路花乃と、タバコを吸い花野小路花乃を雑に扱う蜜蜂呱々呂の姿があった。




