おともだち
休み時間、ご飯を食べる前の事だった。
「あの、簗型君。今ちょっといい?」
「なんだ……なに?」
「あぁ、え……いいの?僕と。」
「もちろん。」
何だかあの人に会ってから、警戒心やら思考力やらが、鈍ってきていて、それがなんだかいいことに思えていた。
「えっと……屋上って入れるんだね。」
「うん。先生がたまたま落としたカギをたまたま僕が拾ってねそれからずっと使ってるんだ。」
僕は慣れた手つきで屋上のカギを開ける。
「それって、入っていいところじゃないんじゃ……」
「いいのいいの。」
その男の子は若干引きつつ屋上に入ってくる。
「で、どうしたの?僕に声をかけるなんて。」
「あー……あの写真が出回ってから、君は教室だと、悪者だったもんね……」
「まあね、僕は、それぐらいの事をしちゃったんだろう。彼らにとってね。」
「ぼくは……ぼくはそうとは思わなくて、そりゃあさ、悪いことだとは思うけど……だからって、誰かを加害する理由にしてはいけないと思ってて、そんな、彼らと君を見ていられなくて、だから、声をかけちゃいました。」
心優しい彼がそう言ったあと、「はっ!」と言ってこちらを見る。
「ごめんなさい!ぼく、名前を言ってなかったですね。花野小路花乃って言います。長いので、はな君とか読んでくれたら嬉しいな。」
彼は、花野小路花乃はそう言ってぺこりと頭を下げた。
「はな君よろしくね。男の子の友達は少ないから嬉しいよ。」
実際これは本音だった。昔っから男性には嫌われてばっかりだった。それに、女子の方が僕の場合は操りやすかった。だから、正直に彼、花野小路花乃の行動が嬉しかった。
「じゃあ、一番最初のお友達だ。えへへ。えっとそれでね、おともだちとして、しんぼく?を深めるために声をかけたんだ。僕は、教室でもよかったけど。」
「さすがにそれは、君に悪すぎる。あの悪意という加害的な生き物は『僕と一緒にいる。』ってだけで君を獲物としてしまう。勇気あるおともだちに傷ついてほしくなかったからね。」
えへへと照れたように彼は言う。
少し影の薄そうな彼だが、よく見るとパチッとしている二重に、小さい鼻、僕より少し小さい身長にダボッとした服を着ている。
「君は恋人とかいるの?」
「えぇえ!いないよ!ぼく、陰キャだしさ、女の子なんか僕のところにはこないよお。」
「へー、性格も外見もいい君に見る目の無い女の子ばっかりって事だ。」
「えー!」
ボフッと彼は顔を赤らめる。実際あの女たちに彼はもったいなさすぎるとも思う。彼はいい人のもとで幸せになってほしいな。なんて、少しとげが抜けたのか、僕はそんなことを考えていた。
それから彼と一緒にご飯を食べ、時間いっぱいお話をした。
彼は今から大学を決めて動いているらしくバイトのことだとか、勉強のことだとかを語った。
僕は久しぶりの同性との会話は僕に子供らしさをもたらしてくれた。
家に帰って、ベットに潜って、
息を吸って息を吐いて、
そして、久しぶりの独り言はやけに明るいものだった。
「たのしかった!とても!」




