蜜蜂呱々呂
ピーンポーン
「あの……蜜蜂呱々呂さん……ですか。」
「はいって、あー……つむぐくんかな。」
「ひゃっ、はい!」
声が裏返りながら彼の名前を呼ぶ。
優しい声が返ってきて心が浮いていく。
「あの……服を返しに来ました。」
「あー!別によかったのに。」
「いいえさすがに悪いと思ったので返しに来ました。」
「ふふ、じゃあそっち行くね。」
ごそごそと音が聞こえてきてその人が出てくる。
「これ、返しに来ました。あと、これお礼です。」
僕は少し良いところのチョコ菓子を持ってきていた。
「いいのに……ありがとうね。」
「はい!そこの百貨店に売ってあって……」
「へ―そうなんだ。今度行ってみようかな。ありがとね!」
「はい。それでは。」
「うん、またね。」
少し、もう少し居たかったが勇気が出ず僕はそのまま家に帰った。
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蜜蜂呱々呂はニコニコと笑顔を簗型つむぐに向けていた。そうして彼が居なくなったとたん。
つけていた化けの皮を引っぺがす。
「……簗型つむぐねぇ……」
彼は持っていた衣服とチョコ菓子をゴミ箱に捨てながらつぶやく。
「廻芽高校二年生、クラスは一番端、あのゴロツキは女と一緒にいたことが多かったな、誰だっけ、あー、みなづきだっけ?あいつのペットになんか恨まれてるってことは、あいつと仲いいんだ。」
「えっとあいつは最近女、というか雌犬だな、犬連れてきた時期にあの学校の端のクラス仮にN組として、N組で何かあったんだろう。でゴロツキがあいつを狙うってことは水無月と何かしてあの雌犬に何かしたのか。」
蜜蜂呱々呂はSNSを開き投稿する。
「最近あったこと教えて~。#廻芽市」
「あ、きた。フーン、へぇみんなスタバとかばっかでつまんねーの。っお、DMきた。っはマジで最近のガキってリテラシーねーのな。『最近、クラスで浮気した男女が晒されてざまぁってかんじ。女の方紫陽花って名前の方転校したみたいだけど簗型は来てて最悪不快だから来ないでほしい。』って知らねー奴に陰口言うのもたいがいだけどな。で、あいつ浮気したんだ時期的にみると、水無月のペットと同時期って感じはぁ、そういうことね。
ま、あいつ苛めがいありそうだし、最近金なくなってきたしな、かわいけりゃ男でも女でも消費すんのは変わりねえし、情報収集するか。」
スマホを触り陰湿そうな輩の投稿やDMをしてきた人に連絡をする。
「今度会おうよ。」
蜜蜂呱々呂はそこそこの芸能事務所に入りシロップとして少し」活動した後電撃引退そして、アカウントを変え今は地方のアイドル的な立ち位置で女をとっかえひっかえして生活をしている。
とっかえひっかえ、というよりか、搾り取り抜け殻を捨てるといった表現のほうが正しい。
そんな横暴を暴露してやろうと、何人もの被害者がインターネットに投稿するが、ファンからの攻撃と本人の立ち回りのせいで、アンチの吐いた妄言として世間に広がり逆に蜜蜂呱々呂の好感度が上がる結果になる。
蜜蜂呱々呂はカリスマであった。サディストであり、ペテン師でもあった。
人の上に立つということは人を騙すということだ。人を騙すということは人の人生を消費するということだ。蜜蜂呱々呂は人の人生を消費することに快感を覚えている。
「……簗型つむぐねぇ……いつまで使えるかな。」
彼の標準は簗型つむぐを捉えていた。




