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『愛』なんて無いから  作者: ギプス


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 イチゴのショートケーキ

 マスカットのタルト

 オレンジを使ったタルトタタン

 甘い甘い食べ物たちも果物の酸味しか感じられないぐらいの甘い気持ちが上ってくる。

「はぁ……はぁ……っ……」

 自分より大きいサイズのシャツにはなんだか甘いにおいがして、クラスの男どもより柔くて、クラスの女どもより爽やかで。

「ん……はっ……すう……すぅ……」

 匂い匂い匂い

 ニオイニオイニオイ

 においにおいにおい

 イチゴにかかった練乳みたいな甘い匂い

 マスカットの爽やかなニオイ

 オレンジのような酸っぱいにおい

 果物、クダモノ、くだもの


 彼の匂いに僕の匂いが混ざる

 混入する。

 久しぶりだった。嫌だと思って快楽を感じなかったのは。

「はぁ。」

 早起きは三文の徳というが本当にそうだと思う。僕は頭が明瞭になる感覚を覚えながら歯磨きをする。

 ぐちゅぐちゅ、っぺ。

「おえぇ。」

 いつも吐いていたからだろうか喉を開く感覚が嘔吐を思い出し嗚咽を漏らす。

「はぁ」

 後に嫌な味が残るのを水で流し込む。

 いるものを確認して家を出る。

「久しぶりに、会いに行こうか、ふふ、最近いいことがありすぎて、まったく気持ち良くなってなかったからね。」

 あさのひかりは薄く僕を照らしていた。


「……であるからして。」

 つまらない。

「……この時の作者の気持ちを……」

 つまらない。

「歴史というのは現代に連れてつまらないという輩が……」

 つまらない。

「美術はハートでぇす!おもしろぉいのでぇす。」

 つまらない。

 キーンコーンカーンコーン

 鐘が鳴った。

 ストレス発散に僕は衰弱したウジ虫に合いに行く。

 コンコン

「入ってもいいかい。」

「……」

 無言は肯定だろう。そう思って僕は教室に入る。

「おはよ……ってどうしたんだい?」

 彼女がまるで小動物みたいに僕に近づく。

「さいきん……きてくれなくて……こわかった……ほんとにきらわれちゃったんだって」

 喉は治っているはずなのに擦り切れたような声を出すあまり声を出していないからなのか、()()()そうしているのか。

 いらない考察をよそに僕は彼女に優しくする。

「嫌わないよ嫌うわけないじゃないか。君に話してもらって僕は嬉しかったんだ。その恩を忘れる僕じゃない。」

 思ってもいないことを言うのはとっても屈辱的で気持ちがいい。それがいじめをされていた相手だったらなおさら。

「……はちみつ……ほしい……」

 彼女は自分で持ってきていたのか新品の蜂蜜を僕に渡す。

「ほしいの?」

「……うん。」

「わかった……はい、あーん。」

 垂れる蜂蜜。昨日のことがあって腕が誤作動を起こして蜂蜜を顔に垂らしてしまうが彼女は動くことなく受け止めるねばねばした液体は喉を伝う。

 こぼれた蜜は制服や喉にゆっくりと垂れていく。

「ごめん。ちょっとぶれちゃった。」

「あーあ。あいぉうう。」

 大丈夫と口をあけながら言う多分許可が欲しいのだろう。

「あー、飲んでいいよ。」

 ごくん。喉が揺れる。外に垂れたはちみつも揺れる。

「これどうしようか……」

 僕は一番気持ちの悪い解決策が思い浮かんだ。

「吹くものもなくて服を汚すのもあれだから、せめてはちみつだけ取っとこうとおもったんだけど。思いつくやり方が()()()しかなくて。」

 あくまで申し訳なさそうに

「……!舐めて!私の事、舐めて!」

 相手を待ってから。

「わかった……ん……」

 ぺろぺろとのどを舐める顎から口の周りもチロチロと舐め最後にベーッとすべてをこそぎ取るように下で舐めとる。

「ん。できたよ。」

 僕は気持ちの悪い行為をしている僕とそれを受け入れている彼女に嫌悪感が止まらず。吐き気が上ってくる。

 追い打ちをかけるように彼女は初めてわがままを言う。

「口の中にも残ってる。」

 今まで聞いたどの声より明確に聞こえたそれは僕が予想できなかった不快だ。

「そうだね。」

 僕はうなずき彼女の口に舌を入れる。

 唇より早くぶつかった舌は縦横無尽に口を暴れまわる。蜂蜜の甘い味とあの徐の甘ったるいにおいが混在する。

 ちゅぱちゅぱと蜂蜜が音を立てるそれがとっても不快でたまらなかった。

 口を放つと

 呆けた顔の彼女の口と僕の口につながるよだれと蜂蜜がたらぁーっとつながっていた。

 僕はそれを僕の口元から取り彼女に付ける。

「全部とれたよ。」

「はぁ、はぁ。んっ。ありがとう。」

 彼女は何も考えられてないのかお礼を言った後放心して動かなくなった。

 キーンコーンカーンコーン

「ごめん予鈴が鳴ったから戻るね。また来るから。」

「……へへぇ。」

 返事はなんだか幸せそうな笑い声だった。


「お……ぅえ。」

 あまいにおいが口に広がる。

「……はぁ……っく」

 僕は思いっきり手を握って腹を殴る。

「ぐえっ。カハッ。」

 目がぐるぐると回り、口から胃液がこぼれだす。

「きもちい……けど……いちばんじゃ……ない。」

 最低最悪な快楽は甘い快楽のに上書きされてしまった。

 不完全燃焼な快楽に悶えながら受ける授業は存外悪くなかった。

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