初恋の人
「大丈夫かい?少年?つむぐ君だったかな?一応応急処置はしたんだけど……」
「……今起きました。すみません。」
「いいよいいよ。それより大丈夫かい?ゴロツキ君たちが君を虐めてたみたいだけど。」
「あぁ、何か気に入らないことがあったみたいで……虐められちゃいました。」
「……あ!」
思い出す思い出したくないことを、思い出したいことを
「どうしたんだい?」
「ごめんなさい……破落戸に殴られたときに、その……漏らしちゃって……汚してしまったかも。」
「いいよ良いよ。そんなこと。それにそんな恥辱を君の口から言わせてしまって申し訳ないね。」
「いえ……いえ。」
僕の瞳を見る彼に僕は目を合わせられない。
「僕の服を貸してあげるから、着替えてきな。」
「いいんですか?」
「いいよいいよ。服は好きなの選んでいいよ。」
「……ありがとうございます。」
僕は彼に手を振り脱衣所にいく。
服はどれもダボダボだった。一番サイズが近いのはすけすけのシャツだった。下着はさすがに付けれなかったので、短パンだけ貸してもらった。
僕は鏡をみる。
そこには、まるで初恋の乙女みたいな顔の自分がいた。
「……いい……におい」
服の裾から香る芳醇な匂い。男の匂いの中でもとびっきり甘い男の香りだった。
すこしばれないようにシャツの匂いを嗅ぐ、全身に包まれる匂いに見悶えてしまう。
すぅーはぁーと深呼吸をして心を整える。
すたすたと歩いて帰る足取りは今まで感じたことのない快楽を感じながらあの人のもとに戻る。
「戻りました。すみませんありがとうございます。」
「ちょうど使ってないシャツとズボンがあったからそれを選んでくれて嬉しいよ。それならもし帰ってこなくてもいいからね。」
「そう……ですか……」
「どうしたの?顔が、真っ赤だよ。」
僕の好みの顔が、細いのに男らしい顔と日本人離れしたような色素のうすい銀髪が近づく。
「あ、また紅くなった。」
「いじわる……です。」
意地悪な視線が突き刺さる。純粋な恋心のような頬の赤らみに心臓が高揚する。
ドクンドクンと重くなく、とくんとくんと早く甘い鼓動。
「ごめんね。恥ずかしかったよね。」
「うぅ……」
「あ!そろそろ帰らなきゃいけない時間だよね。ゴメンね。」
初めて時計にイラつきを覚えた。
「あ、あの……お名前は!おなまえはなんて」
「あー名乗ってなかったね。僕は蜜蜂呱々呂っていうんだ。連絡先。ふるふるって今はないんだっけ。これQRコード」
ふるふる派だったんだ。
「あ、ありがとうございます!また会いに来てもいいですか?」
「いーよ。もちろん!」
そうして僕は初恋の人の連絡先を入手した。
彼が帰った後僕は顔の筋肉を緩め、少し滴った液体が付いたベットシーツを見て一言。
「きったね。」




