歓喜の歌
「ねえしってる?」
「あれだよね。」
「そうそうあじはな!アツいよね!」
「お二人はぁとってもとうといんでぇすぅ!」
「はぁマジ花束ちゃんうらやましいぃ」
「わかるぅ……」
「これぇ、聖書ですぅ!」
「花束ちゃんかわいいよねぇ!」
「意地悪したくなるかわいさしてるよねぇ」
「こう、キュッとしたくなるよね。」
「「わかるぅ……」」
「あぁあぁあぁ!いっぱいイッパイ一杯、信者が増えるぅ!
わたしはぁ!間違っていないぃ!」
紫陽花あお、花束つぼみの話題を中心にクラスはそれぞれ咲き乱れる。
まったく同じ話題だけじゃなく、どちらかを羨む声がある。
その第一人者になってくれたのがあの
「いいですよぉ……ひらくんですぅ!開きひらめくんですよぉ。あのお二人こそ、我が主なんですよぉ。」
余田一等星あまり裕福ではなく五つ下の妹をかわいがっているが、親の体たらくに絶望し妹を守るために心をすり減らし生活した結果心がすさんでしまったらしい。
その後紫陽花あおと花束つぼみに出会いジャンクフードをおごってもらった時からああなったらしい。
これは水無月しあから知った情報だ。ところどころ彼女とは会うところがあると思っていたのだが気になった相手への執着心は瓜二つだ。
彼女曰く
「あのこ、とっても使えるわよ。」
とのこと、道具としては一級品だが人間としてはあまりいいものとは言えない。
まぁ彼女がいいというなら使えるのだろう。ただご主人様適性があまりにもないものだからあまり興味がわかなかった。
っとどうでもいいことは置いておいて。
舞台を整えるための最後の一ピースがそろう瞬間をこの目に移すことにする。
「やっほぉみんなー」
「あれ?みんなどうしたの?」
二人が揃って登校する。いつもなら何てことないのにシアワセが支配しているクラスは口から幸福をこぼす。
「もーう我慢できない!
あおちゃん!ってつぼみちゃんとつきあってんの?」
ざわざわ、ざわざわ、と波が起こる。
決して悪いものなんかじゃなくて、とってもみんなシアワセそう。
「えー、ないしょー。」
「いっつもそれじゃん!もういいでしょ!どおなの!つぼみちゃん!」
「えー……」
困った表情を見せる。でも、花束つぼみ、君はさ欲深いんだよ。
「まぁ、もういいかなー……」
快楽に勝てない愚か者。
僕と同類なんだよ。
「うん、付き合ってるよ!」
……
「キャーーーー!」
「フーーーーー!」
歓喜の歌が奏でられる。
どんちゃんどんちゃん音が鳴る。
祭りは始まる。
……感想かい?何にもないよ。だって、快でも不快でもなけりゃ快楽すらないんだから。
それより僕はこれからの快楽のための計画に忙しいからね。
僕は騒ぐクラスメイトを横目に席を外す。
カツカツと靴を鳴らしながら僕は心の中でつぶやく。
なあ花束つぼみきみを絶望させ、僕が下に落ちるんだ。
この快楽気に入ってくれると嬉しいな。




