酸っぱいにおい
酸っぱいにおい
酸っぱいにおい
排水溝
酸っぱいにおい
「ねえ水無月しあ。嘔吐に慣れてしまった時はどうやったら気持ちいいと思う?」
「そうねぇ、じゃあ吐いた時の匂いや見た目、吐く場所とかかえてみるのはどう?」
「いいね。それ。やってみようかな。」
甘いにおい
甘いにおい
ビニール
甘いにおい
「それで水無月しあ君に話したいことがあるんだ。」
「なあに?面白いことならだぁい歓迎よ。」
「いま、僕と花束つぼみは喧嘩しててね。それが結構大事になりそうなんだ。」
「へえ」
「紫陽花あお陣営と僕は戦争しなければならない。紫陽花あおには個人的に地雷を踏み抜かれてね。僕だけでは完璧にこなせないと思ってね。」
「僕は友達が少ないんだ。君に助けてほしい。」
わざとらしく上目遣いをする。
「はなたばちゃんもそうだけど、私の心をくすぐるのがうますぎて、困っちゃうわ。」
恍惚な表情を見せ彼女は言う。
一瞬の恍惚から一変
「でもね つむぐ君それは私にはなぁんにもうまみがないもの、はなたばちゃんに嫌われ切っちゃうのは嫌よ。」
真顔に戻る。値踏みをする奴隷商のような目で僕を見る。
「うまみは用意している。 ただね。 君は傷つくことになる。それが、簗型つむぐの交渉術だ。」
水無月しあの目を見据える。まるで光を全部吸い込むみたいなその目に僕はライターで火をつける。
「僕はね、嫌いな相手ほどよく調べるんだ。花束つぼみは全然嫌いじゃないんだが、紫陽花あおはとっても大嫌いだ。だからねいっぱい調べたんだ。」
「好きな店、好きなブランド、好きなアーティスト、好きな食べ物、好きな教科。
歩く時間歩く歩幅、息の吐き方息の吸い方、心拍数の平均、最高値、最低値。
それから、好きな人。」
「ねえ、水無月しあこれを見て君はどうおもうのかな?」
僕は彼女を不快にさせるための写真を準備する。
そこには
フリルのカワイイ紫陽花あおに甘い口づけをする花束つぼみ、その手はチョーカーを触っていた。
水無月しあを見ると珍しく口角が下がり目が笑っている。
「つむぐ君これは?」
「見ての通りじゃないかな。水無月さん?」
「なら、二人を祝福しなきゃいけないわね。」
「本当かい?祝福できるかい?」
「どういう意味かしら」
「彼女の目を見てみなよ。なんだか甘美なキスにしてはあまりにも空虚な目をしていないかい。しかも、前君があげたと言っていたチョーカーを使ってキスをしている。
君は何にも思わず。ただ奪われるのを見ているだけの意気地なしだったのかな?
それならあまりに見当はずれなことを言ってしまったね謝罪するよ。」
「乗ってあげるわ。簗型君。君の見え透いた罠にも乗ってあげる。」
「いいの彼女が幸せになることも、いいの彼女が幸せになるのも」
「ただね、許せないのはシアワセになるなら、カンペキにシアワセになってほしいの。」
「でもねこれはシアワセじゃない。私はねいっぱい人をシアワセにしてきたの、男女関わらずね。シアワセな人の目はねこんな顔をしないの。幸せな癖してシアワセな顔をしてないの、そんなの許せないじゃない。」
スイッチを押した。多分彼女はもう止まらない
「もし完璧にシアワセな顔私にさせなかったら、承知しないから。」
ゾクッと背中が震える感覚
「いいよ。約束。」
こうして水無月しあと手を取って僕たちは紫陽花あおを撃退する同盟を組んだ。
そうしてまた日常にもどる苦いにおい
苦いにおい
苦いにおい
排水溝
苦いにおい
彼女を入れた計画を僕は組むことにした。




