sid 水無月しあ 「甘い蜜とチョーカー」
「あらぁ、はなたばちゃん。来てくれたのね。」
「いやまぁ、約束は約束ですから……でなに?」
「いったでしょう、お友達になりたいのよ。」
「ともだちぃ?あんたと?」
「ええ、デートしましょう。」
「はあ?で、デート?言い回しきもぉい」
「あら、心外。
いいカフェを知ってるのよ。」
「カフェ?高校生の行けるところなら結構行ってるけど?」
「町はずれの地下街の近く。」
「.deep……行ける人が限られてるって言うあの?」
「そう、一見さんお断りなのよあそこ、私はむかーしから言ってるからいくらでも行けるけれど、はなたばちゃんはもういけないかもしれないじゃない。」
「はあ!なめやがってよぉ。でも、行きたい……」
「紫陽花あおちゃん?」
「なんで!お前がそれを!」
「あんなにべったりだったら、そりゃあわかるわよ。顔がしわくちゃよ。」
私は顎を乱暴につかみ舌なめずりをする。
「かわいい顔が台無しよ。」
「っ!」
バッと体を押される。
抵抗の感覚
私の世界で一番好きな感覚が流れ込む。
「やめろ!ばか!」
「あら、意外とかわいい反応するじゃない。」
多分彼女は気づいていないんだろうけど、顔がとっても赤くなってる。
この反応は珍しいの、大体は、青ざめたり、怖がったり、逆に怒りで頬を染める。
でも彼女は違った。
瞳の奥がきらきらと輝いていた。頬は紅潮して紅が顔を覆いつくしている。
「意外とってなんだ……意外とって。」
普通このままどこかに行こうなんて思わないわよ。
私好み。
そんな会話が終わって、結局花束ちゃんと私は.deepに行った。
「いらっしゃい。しーちゃん。」
「ん、今日は友達を連れてきたの。」
「こ、こんにちはー。」
「あら、かわいい子連れてきたのね。こっちの席おいで、これメニューどうぞ、しーちゃんはいつものでいい?」
「はい、それで。」
「あ、ありがとうございます。」
彼女はメニューに目を落とす。
店主の手作りとは思えないデザインのメニュー表に目を落とす。
「じゃあ、この蜂蜜のブロックシュガーをお願いします。」
「それねちょっと待ってて。」
「いいの選んだね、それ私のイチ押しよ。」
「へぇそれがいつもの?」
「いや、いつものは……ちょうどきたわ」
「お待たせ。蜂蜜ブロックシュガーとブロックコーヒー、とミルク砂糖入り。あとサービスでノンカフェインのコーヒー蜂蜜甘いから。」
「よかったわね。」
「あ、ありがとうございます。」
いつもコーヒーとミルクはちょうどいいけど。今日はちょっと甘かった。
「そうだ。はなたばちゃん。」
「なに…」
「そんな怖い顔しないで、はなたばちゃんにあげたいものがあるのお近づきの印」
「ちょっと気持ち悪いよぉ
まぁ、受け取ってあげないことはないけど。」
「ありがと。じゃあ目瞑って。」
「ん」
彼女は従順に目をつむる。めちゃくちゃにしたい欲求は先送りにして、彼女のくびに手を回す。
「開けていいわよ」
「んっ、なにこれ?」
「チョーカー、シンプルなデザインでかわいいと思ってね。」
「まあ、いがぁいとセンスはいぃんじゃない?」
「お褒めにあずかり光栄だわ。」
私はチョーカーをなぞりながら瞳を捉える。
もう逃がしてあげない。
「まあ、友達ぐらいなら、いいよ。」
そんなこと気づかないこの娘に気付かれないように舌なめずりをする。
「うふふ、ありがとう。」




