カギしっぽと、ぴんとしたしっぽ
ぼくは犬。
猫の先輩と一緒に、ご主人に飼ってもらってる。
先輩はカギしっぽの持ち主だ。
カギしっぽは幸運を引っかけて来る、と言われてるらしい。
現に、先輩を飼い出してからご主人には良いことが増えたらしく、よく先輩を抱きしめて、ありがとう。お前のお陰だよ、と頬ずりをしてるんだ。
……毎回、先輩から猫パンチを食らってるけど。
けど、いいなあ。
ぼくもカギしっぽだったら、ご主人に幸運を運んでこれるのに。
こんな太い、ぴんとしたしっぽじゃ、カギなんてひっかけられないや。
はあ、と溜息を吐いてると、いつものように先輩から熱い一撃を食らったご主人がやって来た。すぐ横に座り、ぼくの背中を撫でながら、聞いてくれよ~、と話し掛けてくる。
また、先輩への愚痴だろう。
何しろ先輩は、いつもご主人に容赦がないんだ。
ぼくが先輩なら、お前のお陰だ、なんて言われた日には、嬉しくてしっぽが千切れるほど振っちゃうかも知れないのに。
ご主人は愚痴をこぼし終わると、落ち着いたのか、でもあいつのお陰だからなあ、と言って、殴られたことなんか忘れたような笑顔で笑った。
ご主人がこんな顔をするなんて。
先輩は一体、どんな幸運を運んで来たんだろう。
知りたくて、ご主人をじっと見上げてたら、ははあ。その顔は、何のことかわからないって顔だな? と、にやにやしながら言ってきた。
うん。教えてよ、ご主人。
先輩は一体、どんな幸運を運んで来たの?
そんな思いを込め、目を見つめる。
するとご主人はぼくの頭をそっと撫で、お前だよ、と言った。ぼく? それって、どういうこと?
疑問に思ってると、ご主人が口を開いた。
「あいつの健康診断の日の話さ。帰りにあいつが、普段通らない道を行きたがるから、言う通りにしたんだ。そしたら、迷い犬を見つけたんだよ。色々手は尽くしたが、飼い主は見つからず……結局、ウチで飼うことになった」
迷い犬……それって、もしかして。
「そう。お前だよ。小さかったからお前は覚えてないだろうけどな。幼いのに急に環境やら、飼い主やらが変わって、お前には災難だったろうが……でもウチにはな、あいつと同じくらい、大切な家族が出来たんだ。それもこれも、あいつがお前を見つけてくれたからだよ。だから、あいつには感謝してもしきれないんだ。それから、……おまえにも。──ありがとうな。ウチに来てくれて」
──ご主人‼
ぼくは、ご主人に飛びついた!
ご主人に抱き止められたぼくは、千切れそうなくらい、しっぽを振る。
でも、ぼくのこの、大きくてぴんとしたしっぽは、このくらいじゃ千切れたりしないんだ。
神様ありがとう。
ぼくを、このしっぽにしてくれて。
そして先輩に、ご主人。
ありがとう。
ぼくを見つけてくれて。
こうして、一緒に飼ってくれて。
二人とも。ずっとずっと、大好きだよ‼




