表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

カギしっぽと、ぴんとしたしっぽ

 ぼくは犬。

 猫の先輩(せんぱい)と一緒に、ご主人に()ってもらってる。


 先輩はカギしっぽの持ち主だ。

 カギしっぽは幸運を引っかけて来る、と言われてるらしい。

 現に、先輩を飼い出してからご主人には良いことが増えたらしく、よく先輩を抱きしめて、ありがとう。お前のお(かげ)だよ、と(ほお)ずりをしてるんだ。

 ……毎回、先輩から猫パンチを食らってるけど。


 けど、いいなあ。

 ぼくもカギしっぽだったら、ご主人に幸運を運んでこれるのに。

 こんな太い、ぴんとしたしっぽじゃ、カギなんてひっかけられないや。


 はあ、と溜息(ためいき)()いてると、いつものように先輩から熱い一撃を食らったご主人がやって来た。すぐ横に座り、ぼくの背中を()でながら、聞いてくれよ~、と話し掛けてくる。

 また、先輩への愚痴(ぐち)だろう。

 何しろ先輩は、いつもご主人に容赦(ようしゃ)がないんだ。

 ぼくが先輩なら、お前のお陰だ、なんて言われた日には、嬉しくてしっぽが千切(ちぎ)れるほど振っちゃうかも知れないのに。


 ご主人は愚痴をこぼし終わると、落ち着いたのか、でもあいつのお陰だからなあ、と言って、(なぐ)られたことなんか忘れたような笑顔で笑った。

 ご主人がこんな顔をするなんて。

 先輩は一体、どんな幸運を運んで来たんだろう。


 知りたくて、ご主人をじっと見上げてたら、ははあ。その顔は、何のことかわからないって顔だな? と、にやにやしながら言ってきた。

 うん。教えてよ、ご主人。

 先輩は一体、どんな幸運を運んで来たの?


 そんな思いを込め、目を見つめる。

 するとご主人はぼくの頭をそっと撫で、お前だよ、と言った。ぼく? それって、どういうこと?

 疑問に思ってると、ご主人が口を開いた。


「あいつの健康診断の日の話さ。帰りにあいつが、普段通らない道を行きたがるから、言う通りにしたんだ。そしたら、迷い犬を見つけたんだよ。色々手は尽くしたが、飼い主は見つからず……結局、ウチで飼うことになった」


 迷い犬……それって、もしかして。


「そう。お前だよ。小さかったからお前は覚えてないだろうけどな。幼いのに急に環境やら、飼い主やらが変わって、お前には災難(さいなん)だったろうが……でもウチにはな、あいつと同じくらい、大切な家族が出来たんだ。それもこれも、あいつがお前を見つけてくれたからだよ。だから、あいつには感謝してもしきれないんだ。それから、……おまえにも。──ありがとうな。ウチに来てくれて」


 ──ご主人‼ 


 ぼくは、ご主人に飛びついた!

 ご主人に抱き止められたぼくは、千切れそうなくらい、しっぽを振る。

 でも、ぼくのこの、大きくてぴんとしたしっぽは、このくらいじゃ千切れたりしないんだ。


 神様ありがとう。

 ぼくを、このしっぽにしてくれて。

 そして先輩に、ご主人。


 ありがとう。


 ぼくを見つけてくれて。

 こうして、一緒に飼ってくれて。

 二人とも。ずっとずっと、大好きだよ‼

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ