探偵の得意なこと
私は探偵だ。
とは言っても、映画や小説とは違って、大きな事件が舞い込んでくることはない。
仕事といえば浮気調査に家出人、ついでに迷い猫の捜索くらいだ。
しかし、それだけでは食っていけない。
そこで私は、副業を始めることにした。
これが結構、いい稼ぎになる。今では、そちらのほうが本業みたいなものだ。
不本意なこと、この上ないが。
そんなことを考えているうちに、事務所の呼び出しベルが鳴った。
さあ。今日は一体、どちらの仕事だろうか。
私は机の上にあった拳銃をショルダーホルスターにしまい、ジャケットを着込む。
何に使うのかって? それはもちろん、副業のほうでだ。
私はドアを開け、依頼人を出迎えながら言う。
「お待たせしました。それで、今日は一体、どんな御用で──」
依頼人の表情から、副業のほうの依頼だと解った。
何しろ私は探偵。
洞察力が優れていなければ、勤まらない職業だ。
そして、同時に。
私はジャケットの下の、拳銃の重みを感じながら思う。
人であれ、猫であれ。
探して守るのが得意なら、その逆も然り。
誰かを探して、壊すことも得意なのさ。




