志麻 拓也2
【対地獣害対策隊】
その名の通り地獣に対する防衛と対応。さらに被災地の復興や獣害を未然に防ぐことも対地獣害対策隊の任務である。
また海獣害、空獣害が発生した際もその対応の為出撃することも多く、海獣、空獣襲来の際、陸地からの支援攻撃を行い獣害の解決にあたる。
現在の日本支部の司令は「石動 涼」が務めており、他国の対策隊との連携や交流も彼が務めていることが多く、彼曰く、「他の対策隊司令では役に立たない。むしろ他国との関係性を大きく悪化させる場合も考えられる。消去法で嫌な役を押し付けられたような物だ。」との事。
使用する**の名前は「××××」
その〇身は山よりも大きいと言われているが、その姿を見る時は彼が戦場に立つほど酷い状況である。
その日が来ない事を市民と隊員は切に願っている。
【この情報には機密保持の為規制をかけております。】
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「はぁ、どの隊に行こうか...」
俺こと志麻 拓也は悩んでいた。
そう、卒業後の進路についてだ。
獣害防衛大学校日本支部。
最大四年制の大学であり基本的にその卒業後は自分の成績に見合った進路を提示される。
大学卒業後、1年間の訓練期間を設けられ、その防衛隊への最終的な適正をそこで測る。
適性があると判断されれば晴れてその防衛隊に所属となる。逆に適正なしと判断されれば後方支援部隊や補給部隊等非戦闘員として防衛隊に所属することになる。
大学内の休憩所の机に突っ伏し、俺はため息を吐く。
卒業を前に未だ所属する隊を決めていないということはそれはそれは珍しく、また教師員や防衛隊からはとても迷惑な話であって、半年ほど前から色々なところから「はよ進路決めろ」と圧力がかかっていた。
しかし俺のことを誤解しないでいただきたい。
俺は何も怠惰で進路を決めていないのではないのだ。
俺には聞けば皆が腹を抱えて笑い、呆れられる輝かしい目標がある。
そう、それは...
「獣害の根絶なんだって?君の夢は」
「...笑いますか。それとも呆れますか。」
今から3ヶ月ほど前の夕方。
対地獣害対策隊司令兼学園理事長である石動氏に呼び出され、氏直々の進路相談会が開かれた事を思い出す。
「ふぅーー。まぁ先ずはリラックスしたまえ。志麻少年。
立って話すのもいいが、これは相談会だ。まぁそこのソファーにでも腰掛けて話そうではないか」
理事長席にかけた石動理事長は来客用のソファーを指差し、俺を誘導する。
「は、はぁ...ありがとうございます」
そそくさとソファーに向かい、できるだけ浅くふかふかのソファーに腰をかける。
(あんたを前にリラックスできる人間が何人いるんだろうかね。対獣害界の英雄を前にね。できるわけが無いよね)
石動氏は座っていた椅子の背もたれにもたれかかり、話を始める。
「さて、君の夢に私がどう反応するかという話だがね。別に私は笑いはしないよ」
「では呆れますか。寝言は寝て言えと申しますか」
「そう卑屈になるんじゃない志麻少年。君の人生経験を元に私の反応を決めるんじゃないよ。悪い癖になるぞ」
「そう...ですか...。ではなんと仰るのでしょうか。
生憎ですが私の夢である獣害の根絶というのは叶えたい絶対の夢なのです。どうか丁寧な反応を頂ければと思います」
「そう身構えるものではないよ。私は...」
「志麻少年。私はね君の夢を応援したいと考えているんだよ。」
「...はぁ」
石動氏は席から立ち上がりすぐ後ろの窓から夕日を眺めながら話を続ける。
「君も知っていると思うが、獣害の被害は日に日に増している。
約150年前までは獣害が起こるペースは1年に1度と言われていた。時代が進むにつれてその被害ペースは早まっていき去年の獣害件数は被害規模の大小合わせ日本だけでも32件だ。」
「...はい」
「研究班の奴らはこのままでは1日に1回獣害が起きるようになるのもそう時間もかからないと言っている。
無責任な奴らだよ。奴らは現場に出たとしても安全な後方で情報を拾うだけで、常に命を張って戦うのは我々防衛隊だと言うのに」
「で、ですが石動理事長。彼ら研究班がいなければ今の獣共に対する知識や戦い方は編み出されていません」
事実今日までこの国、ひいてはこの世界が獣害によって完全に破壊されていないのは獣害学とそれを調べ生み出した研究班の功績と言っても差し支えないのだ。
「その通りだ志麻少年。だが奴らは今のことしか見ていないのだよ」
「い...今のこと...ですか」
「そう、今のことだ。我々が見ているのは獣害を根絶するという未来の話だ」
「私はね、志麻少年。君と同じビジョンを持っているのだよ。」
「俺と...同じ...」
「そう。君と私たちが見ている目標は一致しているのだよ。だからこそ君の夢を私たちは応援したいと言ったのだよ」
「そう...ですか...」
「そして君がどうして獣害の根絶を目標に掲げているのか。勝手ながら調べさせて貰ったよ」
石動理事長は振り返り来客用のソファーに座っている俺の正面にあるソファーに深く腰をかけた。
「志麻少年。君の故郷である「八葉村」。獣害被害により壊滅しているね?」




