ばけもの。
ハッピーエンドではない。
暇つぶしです。
読みにくくても許してくれ。
突然、女の子の世話をするように命令された。
今朝、研究所の職員に呼び出され、その子と引き合わされたのだ。
今までは色々な知識を学べとのことで本を読んでばかりいたのに、急にお世話係を言い渡されたのだ。
理由を聞いてみたが、「黙って従え」の一点張りで取り付く島もない。
まぁ、僕はここの奴隷だから、端から拒否権なんてないんだけども。
昔、ここに他の複数の奴隷と一緒に来た僕は何かの検査を受けて、特殊な体質?とのことで、他の奴隷とは別の扱いを受けた。
ある程度の教育を受けさせられ、この研究所の外のことはわからないものの、知識だけは少しずつ身に付けていった。
そんな僕に、いきなり人の世話をさせるって、本当に何をさせたいんだろうか。
今日はひとまず顔合わせとのことで、明日から世話をしたらいいらしい。
よくわからん。考えても仕方ないし、今日はもう寝てしまえ。
翌日。
研究所の職員に呼び出され、昨日の少女のいる部屋に通された。
片目に眼帯をしている、白い髪の女の子。
歳は10程だろうか?かなり幼く感じる。
もう片方の目は見えているのか分からないが、こちらを見ようとする様子はない。
なんというか、生きる気力が抜け落ちてるみたいな、そんな感じの雰囲気をしている。
ちょっとだけ、不気味かもしれない。
ひとまず世話とやらをしようと思ったのだが、世話とは何をすべきなのか、よくわからない。
ここの職員に聞くと、「飯でも食わしとけ」とのご命令を頂いたので、少女用のご飯を貰い、与えてみることにした。
匙ですくって口元に近づけると、一応食べてくれる。
だが、少食なのか、すぐに顔を背けてしまった。
少女は無口なのか、話しかけてみても反応を返さない。
困り果てたままその日は自分の部屋に戻された。
明日からどうしたらいいんだろうか…
1週間ほどが経ち、少女の食事量が少し増えてきた気がする。
食べる度に褒めてみたりしたけど、そちらは別に効果はなさそうだった。残念。
そんなわけで、少女は相変わらず無口のままなのだが、今日はとある秘策を思いついた。
その日、少女の部屋に通された僕は少女にある物を見せつけた。
本である。
自分の部屋に沢山ある本の中から、子どもが喜びそうなお話を持ってきたのだ。
渡しても読まなかったから、ご飯の後に読み聞かせをしてみた。
どれくらい聞いてくれていたのかはわからないが、少女はいつの間にか寝こけていた。
子守唄代わりのつもりではなかったんだが…
それからひと月ほど。
少女は次第に反応を示すようになってきた。
本を読み聞かせると片目で熱心にこちらを見てくる。
ご飯を与えると以前の倍近く食べるようになった。
多分、いい事だと思う。
僕の部屋にはまだ本も沢山あるし、文字を教えてみてもいいかもしれない。
明日から試してみようかな。
少女の世話を命じられてから1年近く経った。
あれから少女は字を覚え、僕の渡した本を読むようになった。
それから、未だに口数は少ないものの会話をするようになり、本の感想やご飯の感想を話すようになった。
表情も豊かになり、少しだけ笑ったり怒ったりするようになった。
少女のお世話は順調にいっている、と感じていたのだが、今日、研究所の職員によくわからないことを言われた。
なんでも、「挨拶しとけよ」とのこと。
よくわからないが、命令は命令だし、従っておく。
「今日もよろしくね」
「これ、もっとおしえて」
命令通り、軽く挨拶してみたところ、完全にスルーされてしまった。
動物の図鑑を片手にぐいぐい迫ってくる。
どうやら狼が気になるらしい。
そんなこんなで、今日も一日が終わった。
「また明日」
そう言って部屋に戻ろうとすると、そこを職員に呼び止められた。
「こっちに来い」
言われた通りについて行くと、ある部屋に通され、待機を命じられた。
しばらく待っていると、先ほどまで一緒にいた少女が連れられてきた。
少女の眼帯がなかった。
はじめて見る少女の片目。
そこには昏く血走った獣のような瞳が収められていた。
声をかけようと口を開いたのに、恐怖で声が出なかった。
「おい、奴隷」
さっきの職員の声がどこからか聞こえてきた。
「お前は餌だ。そいつの実験のための、とびきり上質な餌だ。よかったな、やっと私達に恩が返せるぞ?」
少女が口を大きく開ける。
同時に、少女の輪郭がどんどん変貌していく。
人の形などどこにも残らず、そこにあったのは、飢えた巨大な狼だった。
「餌って、文字通りかよ」
腰が抜けて尻餅をついた僕に彼女だった獣が近づいてくる。
僕の体質って、餌にぴったりだったってことだったのかな。
奴隷の命なんて軽いはずなのに、ここまで生きられたことを感謝すべきか。
この後、あの子はどうなるんだろか━━━━━
❖ ❖ ❖
めがさめた。
じかんがたつ。
あいつがこない。
いつものがこなくて、べつなやつがきた。
「こいつはつかえそう」?ってなんのことだ?
それより、あいつはいつくるんだ?
「あいつは?」
「口元にまだ跡が残ってんだろ。昨日、お前が食ったんじゃねえかよ」
くった?
たべた?
このくちで?
くちをてでこすると、あかいのがあかくなった。
「あ」
「あん?んだこいつ、イカれたのか?」
「ああぁぁああああああぁぁぁあああ…」
「あ゛ぁぁ゛あああ゛あぁぁぁ゛あああ゛ぁ゛ああ゛あぁぁッ!!!」
その日、一匹の化け物が産声を上げた。
化け物自身も知らぬ怨嗟と後悔を乗せた雄叫びとともに生まれ落ちた。
それは愛を知った怪物。
それは愛を失くした怪物。
それは、愛を求める、飢えた元人間の獣。
その哀しい雄叫びは、今も響き続けている。
なんとなーく思いついて書いただけです。
語彙力も表現力もないため、多分読みにくい。