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もう少し小説頑張って勉強すればよかった。
この世界は我々の想像の範疇を超えている、そこの住人は今の人類には説明できない魔術や特殊な力を持っているんだまさしくファンタジーだ。確かに多次元宇宙は存在するのだ!!
相沢 駿之介 多次元宇宙論より引用
―ー魔術
それはこの世界に存在する理論が確立された叡智の御業の総称、この世界の黎明期から存在するこの力はこの世になくてはならない手段としてこの世に浸透している。
これはその世界で魔力が存在しない男が足掻き世界を救済する話。
{双方の月明りがこの世を照らす。
その光と共に街は何処も活気にあふれる。だが何処だってそうだ、光があるから闇があるのだ}
「決まった!我ながらいいセリフ回し!!これなら十人くらいの女の子もイチコロかな!」
月明かりに照らされながら屋根に腰掛ける軍服をきた男、髪は焦茶色で目の色は澄んだ青色で背は180あるかないかくらいで体型は普通、腰には革製のガンベルトが付いておりホルスターの中には少し古臭い回転式拳銃が入っていた。そんなこんなしていると後ろの暗闇からコツンコツンとヒールのような靴の音がした。彼はチラリとそちらに向く。
「なーに下らない独り言ペラペラ喋ってるのよ、今から仕事なのよ?集中してくれないかしら?」
暗闇から出てきたのは軍服を身にまとった長い赤髪緑眼のまだ少し幼ない雰囲気の残る女性。端正な顔立ちとまるで博物館にある有名な彫刻がそのままでできたのではないかと思うほどの綺麗に整った体。
これだけで言えば絶世の美女なのだが、極度の男嫌いといつもムスッとした表情のせいで全てを台無しにしている。
「あーあーノリの悪い、少しくらい乗ってくれたっていいじゃないかな?」
「あなたの誰に使うわけでもない、ダサくてクサすぎる口説き文句を毎回聞かされる身にもなってほしいわね、セクハラで訴えるわよ?」
「ハイ、訴訟、そーうやって!俺のガラスのように脆い心を叩き割って〜」
「早くいくわよ、時間は有限なの」
「スルースキル高」
屋根の上で月明かりに照らされる二人。女性の方が時計を取り出すと何かスイッチをカチっと押した、するとホログラムがその場に現れた。
「いい?今回の任務は牙狩りとの異名を持つ、ハリソン=マグーノの拘束。」
「うへー強面なおっさんだな〜」
「茶々いれないで説明中よ」
「へーい、ところでフィオナ?これどうゆうルートで入るの?」
「上官を呼び捨てとは、いい度胸ね?ローガン=フィリップ三等軍曹?今からそのルートを全て一片に説明しようとしていたところなんだけど?」
フィオナは背筋の凍るような表情と凄まじい圧を振り撒いた。少し調子に乗りすぎたと思ったのかローガンはスンっと表情を真顔に戻した。
「大変失礼しました。フィオナ=ロックハート一等軍尉殿、今日は何時にも増して虫の居所が悪いようでして?なにかありましたね?」
「あの老害ハゲ頭のクソ司令部、こんな高難易度任務、二人じゃ流石に厳しいです。って言ったのに無理矢理おしつけてきたのよ!!ありえないわ!!」
フィオナは忌々しそうに愚痴を零す。ローガンはそれを諫める。
「しょうがないさ命令は命令なわけだし、それで敵戦力は?」
「んんっ失礼取り乱したわ、続けるわね、施設の中はおおよそ50人前後で回しているわ。
朝と夜で半々で回して24時間体制で警戒に当たっているわ。あと入口はひとつだけよ。
中には各所にタレットと移動魔術封じが施されていたから中では移動魔術が使えない、外は触れた瞬間に感電死するレベルの柵と触れた瞬間に警報が鳴り響くのもおまけについてるわ。後巡回魔術飛行無人機も確認したわ。後いたるところにセンサーつき監視カメラが張り巡らされているわ、まぁ端的に言えばまともな潜入は無理じゃないかしら?」
「そりゃこんなクソオペレーションキレて当たり前だわ、一応聞くけど正面から行くとどうなる?」
「バカじゃないの?5秒でハチの巣よそれに相手は一人一人がかなりの手練れよ、生半な手では無理ね、全力でやってもいいけど」
「勘弁してくれ、俺が死ぬ。君は加減を知らないから施設ごと吹き飛ばしかねない」
「貴方がいると本来の力の半分も出さないわ、だから貴方と組みたくないのよ」
彼女が冷たく言い放つとローガンはニカッと笑う
「でもこんな長く続いたバディは初めてなんだろ?」
「なんでかわからないけどね」
ローガンはゆっくりと立ち上がる。
「んじゃいこうか相棒」
ローガンが拳をフィオナに向けると、彼女は少し口角が上がりすくっと立ち上がり、拳を合わせる、大きく傷だらけの拳とまだ穢れを知らない小さな拳がなんだか対象的だ。
「感謝のグータッチーぃ~」
「いつも思うんだけどそのふざけた感じのいい方何とかならないのかしら?」
「これが俺なりのゲン担ぎなの」
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「いい?作戦はこう貴方は2200に来る定期輸送便の貨物に何としてでも潜入して施設の内部に侵入すること、そこで貴方は少し待機できる場所にいて」
「入り口で検査があるはずだ」
「ええ、スキャナーでだけね」
「あ~なるほどな、なら入れるな。んでそのあとは?」
「私が施設の機能の一部をロックダウンさせるわ、現場が混乱している隙に貴方は奴を捕らえて、脱出の仕方は貴方に任せるわ。とにかく無事で、こちらの潜入が察知された場合は私が正面から警備の注意を引くからその隙に脱出すること、いいわね?」
「了解、通信終わり…」
ローガンは大きく息を吐く、体の震えを抑えるように自分を抑えながら。
「…小心者め、さっさと終わらせて。家にかえんだろ?震えてんじゃねえよ」
潜入作戦が始まる