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準魔法少女  作者: ザキ・S・レッドフィールド
第1章・準魔法少女の始まり
9/48

準魔法少女、戦場見学へ・1

・PM5時10分:カーゴ内

 また義兄が務めるこの場所に来ることになるとは・・・。

<いつ見てもヒーローの秘密基地みたいでカッコいいのです>

 室内には誰もいません。

<いるのはハルちゃんとアイちゃんとラウジーちゃんと直実さんだけなのです>

 わたし達が乗るのと同時にエンジン音がしたのでどこかに移動するみたいです。


「さて、目的地に着くまでは映像で職場見学をしてもらおうか」


 ラウジーさんがオペレーター席のスイッチをいくつかいじるとモニターに映像が映し出されました。

<どこかの荒野なのです>

 荒野には人・・・いえ、人型のロボットが沢山います。

<どれも近未来の映画に出てくる悪のロボットみたいなデザインなのです。数も100体くらいはいるのです>

 両腕が機関銃なものや、両腕が鋭利な鎌なロボット、背中にバズーカのような物が装備されているもいます。


『ネシマ、ソオツ・・・』


 言葉の内容は分かりませんが機械音がとても不気味でネガティブな事を言っている気がします・・・。


「あの、このロボット達は・・・? そもそもその場所はどこなんですか?」


 場所は日本ではなさそうですけど・・・。


「今映っているのはファエストとよばれている異世界さ」

「異世界・・・?」


 確かに周りに生えている植物は地球上の物には見えない形をしています。

 よく見るとその植物はウネウネと動いているのです。

 色も毒々しい紫色の物や人間の眼みたいなのが葉に付いているのもあって、異世界と言われるとなんとなく信じられそうです・・・。


「この機会兵士達はテロリストが購入した兵器さ。近くの町でテロを起こす予定みたいだ」


<あ、画面がロボット達の正面側に立っている人を移すために移動したのです>

 わたしより小柄な男の子・・・って・・・黒須君⁉

<あ、本当だ、ハルちゃんのクラスメイトの黒須君なのです>

 特殊部隊員みたいな黒い戦闘服を着ているのです。

 首元にはガスマスク、頭にはゴーグル・・・ゴーグルは砂嵐が酷い場所でも視界を維持するため、ガスマスクは空気汚染が酷い場所での任務の為・・・でしょうか?

 腰にはポーチがいくつかあって手榴弾みたいなのもいくつか付いているのです。

 鋭い目つきでロボット達を睨んでいますけど・・・この数相手とまさか戦う気じゃ・・・?

<あ、胸元から金色のペンダントを取り出したのです>

 鍵付きのペンダントでそのカギを黒須君は半周回転させています。

<あ、音もなく黒須君の眼前に金色のカチューシャが現れたのです!>

 黒須君はそれを手に取って自分の額に・・・あ、カチューシャを額に付けたと同時に黒須君の両腕と両足にアンクレットが!

<この現象、ハルちゃんがテキンノ・ズオープを付けた時と同じ現象なのです!>


「ラウジーさん、黒須君が身につけたのって・・・」

「ああ。7宝具の1つ、『モーグ・ゲンバンノ』だよ」

「モーグ・ゲンバンノ・・・?」

「この世界の言葉に訳すと『希望の首飾り』という意味になる」

「希望・・・」


 黒須君はその『希望』を使って何を・・・?


『ネシマ、ソオツ』


<あ、画面に映っているロボットの二体が黒須君に襲い掛かってきたのです!>


「よく見るといい。クロス=リュウの活躍を」

『むん!』


 黒須君が飛びかかってきたロボットの一体に右手でボディブロウを・・・わッ、放った右手がロボットの胴体を貫通しました!

<す、すごい破壊力なのです!>

 貫かれたロボットは動かなくなりました・・・今の一撃で機能停止したみたいです。

<おお、黒須君はすぐに貫通した腕を引っこ抜いてもう一体のロボットに今度は顔面めがけてアッパーを放ったのです!>

 今度はロボットの頭部が胴体から分離して空高く飛んでいきました・・・。

 飛ばされていった頭部は野球のホームランボールみたいに勢いよく上空へ飛んでいき・・・見えなくなりました・・・。


『ネシマ、ショクキョス』


<あ、また集団の中から2体が黒須君に飛びかかってきたのです!>

 黒須君は慌てずにパワーアップに使ったペンダントに手を伸ばし、そしてペンダントから鍵を引き抜きました。

<わわッペンダントから引き抜いた鍵が剣に変化したのです! スライムみたいに鍵がウニョウニョと動いて剣の形になったのです!>

 刃の部分は光が結晶化した剣で、刃渡りは1、5メートル近い長さです。

 黒須君が一振りすると飛びかかったロボットが二体とも一刀両断されました・・・。

 切られたロボットは小爆発、木っ端微塵になりました・・・。


『ヂュクゼシナキグホソクナキチラツ』


 前衛のロボットが後退して背後の銃タイプのロボットが前進し黒須君に向かって発砲しました!

<ガトリングタイプなので無数の銃弾が黒須君に降りかかってきたのです! 黒須君は剣をブンブン振り回していますけど混乱して自棄になっているのですか⁉>

 いえ、黒須君の冷静な表情、アレは真剣に、そして冷静に状況を考えている顔です。

 昨日のバスケットの試合の時の真剣な黒須君の表情と同じ・・・いえ、それ以上の意志の強さを感じます・・・。

<でも剣を振り回すだけじゃ・・・アレ、撃たれているのに黒須君に弾丸が命中していないのです>

 よく見ると足元に鉄の塊が雨のようにポロポロと落ちて・・・まさか・・・!

<敵の銃弾を剣で全部切り落としているのですか⁉>

 ・・・そうみたいです。

 黒須君の背後に外れた銃弾が飛んでいないのを見ると自分に命中しない弾丸も全て切り落としているみたいです・・・。


「7宝具を装備した人間の動体視力は通常の数百倍になる」


 ラウジーさんの言った事は信じがたい事だけど同じ7宝具を装備した事のあるわたしには理解できます。

 今日の不良の人と戦った時、向けられたナイフの動きが動画のスローモーションのように見えました。

 今の黒須君にも向かってくる弾丸がゆっくりと動いて見えるんだと思います。


「本来なら避けなくても大丈夫なレベルの攻撃だけどクロス=リュウはそれでも念のために弾丸を切り落としている」

「ラウジーさん、避けなくて大丈夫ってどういう事ですか?」

「テキンノ・ズオープを装備した君になら分かると思うが、7宝具を装備した人間は体全体が特殊な硬化をする」


 そういえば不良の人達の攻撃を受けた時、思いっきり殴られたのに全然痛みがありませんでした。


「7宝具は特殊な兵器だ。通常の兵器では傷1つ付ける事はできない。だがクロス=リュウは万が一敵の攻撃が強力だった事も警戒して銃弾を弾いている」

『イオーボローボヒマキイラツ』


<ロボット達が銃撃を止めたのです>

 弾を補充しているみたいです。


『今だ!』


 あ、黒須君が前へ!

<リロード中のロボット二体をいっぺんに一刀両断したのです!>

 そのまま他のロボットにも切りかかっています。

 一振りで二、三体・・・また一振りして二、三体破壊しています・・・。

<すごいのです! まるでアクションゲームで敵をバンバン倒しているかのように敵の爆発音が響くのです!>

 百体くらいいたロボットがものの数秒であと3体・・・。

<あ、腕が鎌タイプのロボットが背後から鎌を振り下ろしてきたのです! 黒須君は即座にそれを素手で受け止めて・・・開いている左手でロボットの頭部を掴んで・・・腕を引きちぎったのです!>

 引きちぎった鎌をブーメランのように投げて他の一体の首を切り落としました・・・ロボットとはいえちょっと怖い・・・。

<最後の一体も黒須君に接近してきたのです。鎌で黒須君を攻撃するつもりなのです>

 黒須君は素早く敵の背後に回り首を両手でつかんで・・・。

<勢いよく捻じ曲げたのです>

 映画とかで殺し屋が人を殺すみたいで怖いです・・・。

<これでロボットは全滅なのです・・・黒須君の勝利なのです!>

 あ、画面が急に揺れました。

 黒須君のいる場所で地震が起きているのでしょうか?

<あ、画面に巨大なロボットが映っているのです!>

 全長が20mくらいあります・・・。

 二足歩行で爬虫類のような体格、両足にはミサイル、両腕にも機関銃が装備されています。

 ま、まさかこの強そうな巨大兵器とも戦う気じゃ・・・。

<あ、ラウジーちゃんがマイクに向かって何か喋っているのです>


「リュウ、その兵器は有人型だ。機体は破壊してほしいがパイロットは生け捕りにしてくれ」

「ラウジーさん⁉ まさか黒須君に戦えと⁉」


 どう見ても勝てそうにない相手なんですけど⁉


『分かった!』


 分かったって・・・黒須君もなんで何の迷いもなく返答を⁉


「まあ見ているといいよ。クロス=リュウの、そして7宝具の力を」

『チヘヤ!』


 ロボットから機械音では無く人間の男性の声が・・・さっきラウジーさんが有人型と言っていましたからパイロットの人が喋っているのでしょう。

<あ、巨大ロボットの右手が変形してチェーンソーになったのです!>

 ああ、やっぱり黒須君に向けて振り下ろしました!

 黒須君避けて! ・・・ってあれ? 

 黒須君避ける動作をせず、剣を両手で構えています・・・まさかアレも受け止める気ですか⁉


『うおお‼』


<おお、野球のバッターみたいに剣でチェーンソーをはじき返したのです!>

 あんなに重そうな物を・・・。

 はじき返された巨大ロボットは反動でのけぞっています。

<黒須君はのけぞっている隙にジャンプして巨大ロボットの右肩に近づいて剣をブンブン振っているのです! 腕が何本も生えているように見える程素早い剣さばきなのです!>

 切り刻まれた巨大ロボットの右肩はあっという間にボロボロになって最後には大破、胴体から切り離されました・・・。

<斬り終えたらシュタッと着地・・・カッコいい!>


『ストク! ナササッナンバドソホシナキ! ペンチョクバキマネレケホキホニバ!』


<パイロットの人、何て言っているか分からないのです>

 私も言葉の意味は分かりませんが、かなりの早口で黒須君に文句か暴言を言っているのだと思います。

<ああ、今度は機体の口みたいな部分から直径2m程のレーザーを放ったのです!>

 これは剣だけでは防げないのです!

 でも黒須君は慌てずに剣の鍔の部分にある円い時計(文字は私の知らない字だけど、2本の針と文字の位置で時計なのは分かりました)を動かしています。


『ゲオヒサ・チーウボ』


 黒須君の剣から機械音が。

<あ、黒須君の剣がウニョウニョとスライムみたいに形を変えて直径2m程の盾になったのです!>

 盾は銀色の円盾で、盾の真ん中に虹色の羽の蝶が描かれている以外はシンプルなデザインで盾の回りには時代劇とかで忍者が使うクナイみたいな刃物が・・・にい、しい、ろう、や・・・計12個あります。

<お、盾の取っ手部分にあるボタンを親指で押しているのです>

 わわ、盾の回りのクナイみたいなのが一斉に外れました!

 それらはまるで1つ1つが意思を持っているかのように列を作ってロボットの左足に直進しました。

<本当にクナイに意思があるかのように1つ1つが順番にロボットの左足に体当たりをしているのです>

 というか切れ味がすごいのか、あっというまにロボットの左足がボロボロになりました。


『うおおお‼‼‼』


 あ、黒須君がまた前へ!

<ボロボロになったロボットの左足にパンチをお見舞いしたのです>

 ロボットの左足が衝撃で割れたガラスのように粉々に・・・。

 ロボットの体制は崩れ落ち、残った左手と右足だけでなんとか転倒を防いでいる状態になっています。


『ナキアンノ・グエーボ』


 また黒須君の武器から機械音が。

<盾の内側に付いている時計の針をいじって元の剣に戻したのです>

 ロボットの胸部に剣の連撃、そしてパンチ。

 ていうかパンチする時空中でダッシュしたように見えましたが・・・。


「7宝具には空を蹴る能力がある。その気になれば空を自由に飛び回る事ができる」


<空を飛び回るなんてカッコいいのです!>

 というか『7宝具には』って事はわたしの持っているテキンノ・ズオーグにもそれがあるのでしょうか?

<黒須君のパンチで胸部がバラバラと崩れ落ちて中のパイロットが丸見えになったのです>

 黒須君はコックピットに乗り移ってパイロットの胸倉をつかみ・・・外に放り投げました!


『きょああああああああ‼‼‼』


 パイロットの男性は女性みたいな甲高い悲鳴を上げて空高く投げ飛ばされました。

 一方、黒須君は腰にぶらさげている手榴弾の1つを手に取って巨大ロボットのコックピットに放り投げました。

 <即座にコックピットから離れて地面に着地、同時にロボットのコックピットから大爆発が起こったのです>

 コックピットの爆発に連動するように機体全体が爆発しました。

<本当に巨大メカをやっつけたのです!>


「おわあああああああああああ‼‼‼」


<あ、さっき黒須君が投げたパイロットが空から落っこちてきたのです>

 黒須君は地面に落ちるギリギリのところでパイロットの背襟を掴んで転落死を防ぎました。

<これで勝利なのです!>


『さ、大人しくしてもらおうか。お前には100件以上のテロ事件について聞きたいことがあるからな』


 黒須君は剣の鍔部分にある時計の針を動かして、


『カギツザン』


<武器の機械音と一緒に剣がスコープの付いていないライフル銃に変化したのです>

 長さは120cmくらいで全身が金色で、銃床(ストック)部分だけが銀色のデザインです。

 黒須君は巨大ロボットのパイロットの男性を放して地面に落とし、男性に銃を向けています。


『両手を頭の後ろにおいて言われた通り歩け』

『ひいィッ!』


<パイロットの男性は鼻水流しながら慌てて両手を頭の後ろにまわして情けないのです>

 黒須君は人差し指で耳に付いているインカムに触れています。


『ラウジー、ターゲットは確保した。これから合流地点に向かう』

「わかった。すぐに僕達も向かう」

「すぐに向かうって・・・僕『達も』って事はもしかして黒須君が今立っている異世界にわたし達は向かっているんですか⁉」

「いや、その異世界とこの世界を繋ぐ扉のある場所に向かっている。戦時中の日本で防空壕があった場所だ。時間的にクロス=リュウがターゲットを合流地点である世界を繋ぐ扉にたどり着くのが先だろう」

「じゃあ黒須君はテロリストの男性をその扉の場所に連行しているのですね」

「そうだ」

『さあ、歩け』


 モニターには黒須君が銃口をテロリストの男性の額に当てています。


『・・・カッ! カエマ⁉』

『?』


 テロリストの人が黒須君の背後を見て驚いています。

<黒須君もすぐさま背後を確認しているのです>

 黒須君の背後には・・・何もありません。

<あ、テロリストの男の人が走って逃走したのです!>

 逃げるための演技だったんですね。

<もうテロリストは逃げているのです!>


『逃がすか!』


<黒須君は銃を発砲したのです>

 銃口からは直径10cm程の光線が発射。

 その光線はテロリストの男性の右腕・・・を?


「キャ⁉」


 グロさに思わず悲鳴を上げてしまいました・・・。

<光線が男性の右腕に当たって腕が吹っ飛んだのです>


「ぎょごごごああああああああああ‼‼‼」


 男性は転倒して激痛で転げ回っています・・・。

 肘から下の無い右腕からは血が大量に噴出しています・・・見ているだけで吐き気が・・・。

<黒須君は怖い目つきでテロリストの男性を睨んでいるのです>

 鬼の形相って今の黒須君の事を言うと思います・・・。


『今度妙な真似をしたらもう片方の手と両足を撃つからな』


 そう言って黒須君は撃ち落としたテロリストの男性の右手を拾って・・・


『生け捕りにしろと言われているが逃がすくらいなら殺せとも言われている。今度妙な真似をしたら・・・分かったな?』


-ギュチャ‐

 柔らかいソーセージやバナナのように握り潰しました・・・。

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