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準魔法少女  作者: ザキ・S・レッドフィールド
第2章・Not A Hero
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準魔法少女のアフターケア

・PM1時10分:学校 理科準備室

「どうしたんだ黒場? 俺に用って?」

「黒須君が辛そうなので・・・」


〈どうして話す場所が理科準備室なのですか?〉

 普段人が通らないココで話がしたいと思いました。

 学校関係者でラウジーさんの息のかかった教員の方からココが一番人気が無い場所として教えてもらったのでここで話すのがベストでしょう。

【鍵も貰ってさらにやりやすいわね】


「・・・ソレは仕方ない。風一さんが殺されたんだからな・・・」


 風一さんが殺された・・・確かにその表現は間違ってはいないですけど正解でもない表現です・・・。

【もう彼の死を美化したいって感じね】


「辛いのは分かりました。ただ、それでも立ち直って欲しいので・・・。それにその方が風一さんも喜ぶと思います」

「風一さんが? つまり今のままなら風一さんが生き返って俺を叱ってくれるって事か。それなら尚更このままの方がいいな。風一さんが生き返ってくれるなら俺は世界中の笑いものにされてもいい・・・」

「そういう意味では・・・」

「・・・分かっている。死んだ人間が生き返るのが無理なのは分かっている。いつまでも引きずっていても無意味なのは頭では分かっている。分かってはいるんだが・・・」

「そう・・・ですよね・・・」


 やっぱり言葉だけでは無理・・・なら予定通り・・・!

〈ハルちゃん⁉ どうして7宝具を⁉〉

【もう装備して・・・何をするつもり⁉】

 エイリアちゃん、前にわたしの体を勝手に使って黒須君にキスをしようとした時、黒須君がドキドキしていたのは本当なんですよね⁉

【そ、そうよ。でもこの状況で?】


「く、黒場?」

「黒須君‼」


〈黒須君の両肩を掴んで何をするつもりですか⁉〉

【いくら黒須君の為でも強引な事したら嫌われるわよ⁉】


「おい、何を⁉」


 身体を動かして掴んでいるわたしの手を振りほどこうとしていますが7宝具で腕力の上がったわたしを今は一般人の黒須君が振りほどくのは無理です。

 ・・・ソレを利用して・・・。


「・・・今から黒須君にキスをします!」

「な、何⁉」


【ちょっと⁉ いくら好きな相手でもやりすぎよ!】

 大丈夫です。

 実際は顔を近づけるだけですから・・・。


「おお、お前何を言って⁉」

「屁理屈ばかりの黒須君にはこれくらいの罰は受けてもらいます!」


 徐々にわたしの唇を黒須君の顔に近づけて・・・。

【黒須君の顔との距離が10cmくらいまで縮まったわね】

〈黒須君、超焦っているのです〉


「クソ! どうなって・・・まさか、またマ・ペットか⁉」

〈アイちゃん達は関係何いのです!〉

【あら、もしかしてあたし等に責任転嫁してエロい事も考えてる?】

 そんなつもりはありません!


「くそッ! マ・ペット共め‼」


〈腰のポーチから何か取り出したのです〉

【あ、アレはマ・ペットを即死されるスプレーよ‼ 宿主の皮膚から体内のマ・ペットを即死させる新型よ‼】 

〈ヒィ~! ひ、避難なのです~!〉

 アイリスちゃんとエイリアちゃんがわたしの体の外に。


「ほ、ほ~ら。あたし達は無実よ!」

「アイちゃんも無実なのです~!」

「ま、マ・ペットじゃない⁉ じゃあ本当に黒場が⁉」


 さらにジタバタしてわたしの拘束から逃れようとしますが無駄です。

 今の黒須君は7宝具を装備していないのですから。

 そして今、わたしの唇と黒須君の顔の距離は5cm程に・・・。


「ぐぐッ・・・お前、やっぱりマ・ペットだな! スカート脱いでそんな痴女みたいな下着晒しているんだからな‼」

「え⁉」


 今のわたしの下半身は学校の制服をちゃんと穿いているしスカートの下にジャージを穿いているので黒須君の嘘・・・あ!


「テメエ!」


 一瞬の隙をついて黒須君は7宝具を装備、武器の剣を抜いてそれをわたしに向けています。

 表情は・・・いつもの戦場での表情です。


「何のつもりだ⁉ というかお前本物の黒場か⁉」

「・・・よかった。いつもの黒須君です」


 まずは7宝具を外しましょう。


「?」

「すみません。言葉だけでは励ますのは無理だと思ったので」

「だからってさっきのは何なんだよ・・・」

「風一さんの事を考えずに済む戦場に行くにしても本物の戦場より今みたいな戦場なら安全だと思ったので。現にさっき抵抗している時は風一さんの事を忘れていましたよね?」

「な・・・ぬぅ・・・ッ」

「黒須君、もし風一さんの事を思い出して辛いようでしたらまたわたしが襲います。今度は本気で・・・」

「ま、待て分かった! なんとか立ち直ってみせる! だからお前もそういうのを止めろ‼」


 よかった。

 黒須君を説得できた・・・。


「はい」

「・・・ハァ。まさかお前がこんな強硬手段にでるとは・・・」


 あ、黒須君も7宝具を外しました。

 わたしの主張も理解してくれたみたいで嬉しいです。


「すみません。こうするしか」

「いや、確かに変な励ましの言葉より効いたな」


 ああ、少し落ち着いた表情に・・・。

 まだ完全では無いですけどさっきのままでいるよりはマシだと思います。


「出来るだけ立ち直る努力をする。だからお前もこんな事は勘弁してくれ」

「約束ですよ」

「ああ。まさかこんな目的で理科準備室に呼ばれるとは・・・」

「さすがに人前では恥ずかしいので」

「恥ずかしい? いや、何か理由があって長野を呼んだんじゃねえのか?」

「・・・え?」

「は、ハルちゃん、けっこう大胆な事するんだ・・・」


 わたしの背後に唖然とした表情の長野さん・・・が⁉


「ななな長野さん⁉」


 どどどどうして長野さんが⁉


「ハルちゃんが黒須と一緒にココに行ったから気になって付いてきちゃったんだけど・・・」

「そそそソレじゃあさっきまでのやり取り全部見て・・・?」

「えっと・・・まあ、変な励ましよりは効果的だと思うよ。・・・うん」

「~~~~~~~~~~~~ッ」


 誰か、わたしのアフターケアを・・・。



・PM15時30分:埼玉県 警察署野外訓練所

「ふぬぬぬ・・・ッ」


 鉄棒での筋トレ・・・考えてみたら人生で初めてかも。

【普通の女子ならダイエットの為って割り切るけどハルちゃんは必要ないから本当に苦行よね】

〈もうハルちゃんの腕パンパンなのです〉


「いいわ。少し休憩しましょう」


【あら、ちょくちょく休憩させてもらえるのね。楽だけど訓練にならないんじゃない?】

 急な任務が入る事を考えるとある程度は休憩が必要なので。

 フラフラな状態で任務に行って失敗したり味方に迷惑をかけるわけにはいかないので。

【大丈夫よ。気絶してもあたしが身体操ってあげるから寝ててもいいわよ♡】

 言っておきますけど勝手に身体を操るのは禁止です。

 破ったらラウジーさんが居る場所で一週間寝泊まりしてもらいます。

 恥ずかしい恰好や台詞、犯罪行為をしたらエイリアちゃんの場合1年間食事は点滴で済ませてもらいます。

〈すごい厳しいのです〉

 アイリスちゃんも破ったら同じペナルティですよ?

〈え~~~⁉〉

【厳しいわね】

 当たり前です。

 もうあんな恥ずかしい恰好は絶対に嫌なので。


「あ、ハルちゃんに面会の人が来ているわよ」

「わたしに・・・?」

「ハルちゃん!」


 この声はエマちゃん⁉

【この車椅子の子が?】

〈わ~い! エマちゃんなのです~~~!〉

【アイリス、勝手に出ていっちゃった。ココに来るって事はあの子も異世界兵器関連の事知っているの? 背後に看護婦もいるけど】

はい。元々はアイリスちゃんの宿主だったんです。色々あって今はわたしが預かっている状態です。

【あら、まるで飼い主に再会した犬みたいに抱き着いているわね】


「エマちゃん、会いたかったのです~~~!」

「うふふ、アタシもだよ」

「エマちゃん、久しぶり! いきなりでビックリしました」


 背後に看護婦さんがいるけどこの前会った時も自力で車椅子を動かしていたので付き添いの方でしょう。


「やっと会える許可貰ったんだ。・・・もう学校の課題ばっかりで辛いよ~~~」


【メールとかで連絡とかしていないの?】

 エマちゃんの病院は電話やメール禁止の場所なので頻繁にやりとり出来ないので。


「はは・・・。さすがに欠席が多いからそうなっちゃいますよね」

「勉強するくらいなら身体動かすリハビリの時間増やして欲しいくらいだよ・・・」

「エマちゃん、リハビリも頑張っているんだ・・・」

「そう! まだ上手く歩けないから外への移動は車椅子だけど2年生になる頃には普通に歩けるようになれるように頑張っているよ!」


 ああ、すごく元気に・・・。

 去年まで余命半年と言われていたのが嘘みたい・・・。


「魔法少女のハルちゃんみたいにアタシも頑張っているんだよ!」

「ですからわたしは魔法少女ではありません」


【ハルちゃんのお友達、アイリスと同じ思想みたいだけど元から? それともアイリスの寄生の影響?】

 えっと・・・元々そういったアニメとか漫画が好きでコスプレの趣味もあるので・・・。


「ハル!」

「あ、レナちゃん!」


【レナちゃん嬉しそうな表情ね。隣には弟のボコ君もいるわね。2人の背後にいるガタイの良い男4名はボディガードね】

 ボコ君に時期最高位を継がせるから忙しくてしばらく会えないと思っていたので会えて嬉しいです。


「会いたかったぞハル! この世界(ロックギア)での用事を済ませたので良い機会だからハルに会いに来たのだ」

「そっか。これから忙しくなるからね」

「まあな。・・・客人か?」

「転校前からの親友のエマちゃんです。あ、異世界兵器関連の事はある程度知っているから」

「・・・ハルちゃん、この子達は?」

「黒須君同様に同じ7宝具を使って戦う子です。異世界の王女なんですよ」

「ハルちゃんと戦う異世界の女の子・・・しかもお姫様・・・凄い‼」


【まるで人気の有名人に会えたかのように目を輝かせているわね】

 エマちゃんの目には漫画とかアニメのヒロインに写っているのかも知れません。


「レナちゃんだっけ⁉ ハルちゃんと一緒に戦う魔法少女なんだね⁉」

「ま、まほう・・・しょうじょ?」


【レナちゃん、ややドン引きしているわね】


「妹ちゃんも⁉ 5才くらいなのに凄~い‼」

「え、エマちゃん、隣に居るのは弟のボコ君ですよ・・・」

「・・・え? 弟? このレナちゃんソックリなのに?」


【急にテンション下がったわね】

 エマちゃんの脳内ストーリーに男の子の戦士は居ないのでしょう・・・。


「ボコは私と同じく顔は母上に似たから仕方ないが・・・」

「あと、ボコ君は時期王位継承者で直接戦場に行く予定は無いですよ?」

「・・・」


【さらにテンション下がっちゃったわね】


「せっかくハルちゃんとお揃いの魔法少女服を2人に作ってプレゼントしようと思ったのに・・・」

「エマちゃん、残念ですけどあの服はお返しするので・・・」

「ええ~~~⁉ な、なんでえ⁉」

「ああいった服はコスプレ会場とか自宅で自分が楽しむ用で、戦場で着る服ではないので」

「黒場、もう訓練は終わ・・・レナ、来ていたのか。・・・ん? 南雲も来ていたのか」


【あら、黒須君、お友達の名前知っているんだ】

 以前、戦場で偶然会った事があるので。


「く、黒須君は男の子だからハルちゃんがかわいいミニスカ服着ていたら嬉しいよね⁉ ハルちゃんに着てほしいよね⁉」


 あ、一番助けを求めてはいけない人に・・・。


「・・・南雲、戦場にスカート穿いて出撃する女は馬鹿か痴女だ。俺は馬鹿や痴女は見るのも嫌だから黒場が戦場にスカートで来ても嬉しくねえ」

「ひ、酷い・・・なんでハルちゃん達、魔法少女の悪口を・・・?」


【あら、『達』って事は既にレナちゃんも対象に?】

 多分そうだと思います・・・。


「・・・黒場、お前コイツと縁切った方がいいんじゃねえか?」

「・・・・・・」


 えっと・・・どう返答すれば良いでしょうか?


「確かに、馬鹿な人間との交友関係は切った方が良いと僕も思うよ」

「ラウジーさん?」

「切れないなら僕が手伝ってあげるよ」


 ・・・手伝う?


「イテテテテ・・・ッ」


【あら、ハルちゃんと同い年くらいの男の子・・・ハルちゃんのクラスにも居た男子生徒ね】

 クラスメイトで黒須君の親友の永井君です。

〈身体の大きい警官2人に羽交い絞めにされてこちらに連行されているのです〉


「ケン⁉」

「ナガイ=ケンが女性用のシャワールームに忍び込もうとしていたから処罰をする」

「ち・・・違う・・・! こ、昆虫採集をしようと虫を追いかけていたら偶然シャワールームに・・・!」


 あの、本気でその言い訳が通用すると思っているのでしょうか?

【頭悪そうだから本気で思っていそうね】

 あ、ラウジーさんが携帯電話でどこかに連絡をしています。


「埼玉の人気ゲイバー店ゴールデンの店長か。今日から1週間中学生を1匹無報酬で働かせたい」


 げ、ゲイバー・・・?

【ゲイが集まる文字通りゲイのためのお店よ。オカマバーみたいな女装した男性を楽しむ店と違ってゲイのための文字通り女性の居ない空間よ】

 つまり永井君は死んだ方がマシと思える程ヒドイ目に遭うって事ですね・・・。



「ああ。遠慮なくこき使ってくれ」

「・・・・・・」


 永井君、ガタガタと震えていますね・・・。

【そりゃあ、貞操の危機だもん】


「連れていけ」

「「はい」」


【永井君を羽交い絞めにしている警官の1人がガムテープで永井君の口を塞いだわね】

 そのまま永井君をどこか・・・いえ、ゲイバーに連れて行ってしまいましたね・・・。


「ら、ラウジー・・・」

「大丈夫だリュウ。君の友人だ。今回も命『だけ』は保証するよ。もちろん君が縁を切ると言うなら別の罰も考えるよ」


【命『だけ』・・・ねえ】

 あ、黒須君がわたしに哀しみと絶望が混ざった表情を向けてきました。


「黒場、すまない・・・俺も人の事言えねえ・・・」


 黒須君は風一さんの事件から少し立ち直れて、レナちゃんもお兄さんの件が一段落、親友のエマちゃんは元気に。

 大切な人体が多く集まる素敵な場所、そんな空間なのにどうして幸せな気持ちになれないのでしょうか?

 平和は・・・やっぱり今戦っている異世界兵器関連のテロを完全に無くさないと訪れないのでしょうか?

【・・・違うでしょ】

第2章はこれで終了です。

ここまで見て下さってありがとうございます。

中には1話から最新話まで一気見して下さる人もいるので励みになります。

第3章も月1の投稿(不定期)になると思いますが見て下さると嬉しいです。

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