準魔法少女と非英雄・3
〈どうして黒須君が問題なのですか?〉
今度のレナちゃんのお兄さんの裁判、被害者は黒須君だから黒須君も呼ばれるんだけど、黒須君はレナちゃんのお兄さんを許すなって言っていたの。
「ファエストでも殺人は未遂でも重罪だ。被害者の意志や加害者の動機、殺人方法によっては減刑もあるが兄上の場合・・・」
「黒須君は7宝具を悪用しないだけでその人を信用する傾向がありますが、逆に言えば悪用しただけでその人を軽蔑しているって事でもありますし・・・」
【でも一応ダメ元で頼んでみたら? もしかしたら温情で減刑とか期待できるかもしれないわよ?】
この前、黒須君の家に7宝具を奪いに押し掛けた警官も動機が『7宝具を使用した時の快感が忘れられないから』という理由でしたし、それまでにも黒須君の家に押し掛けた警官の人達も同じような理由でしょうからそれを知っている黒須君が『7宝具悪用』『殺人未遂』の人を許すとは思えないですし・・・。
〈ならラウジーちゃんに相談なのです!〉
ラウジーさんは基本的に他人とのトラブルには無関心な人だから無理だと思います。
利益があるなら話は別ですがこの件に関してはむしろレナちゃんへの試練として見ている可能性もあるので協力は無理だと思います・・・。
「何とかリュウを説得する方法があれば・・・」
「黒須君を説得する方法・・・あ!」
〈どうしたんですかハルちゃん?〉
【スマホ・・・メール確認してどうしたの?】
昨日の黒須君が風一さんが合格した事を知らせてくれたメールです。
・PM10時30分:埼玉警察署 モニター室
〈モニターにレナちゃんが映っているのです!〉
レナちゃんの位置はわたし達の世界でいう裁判長の位置っぽいですね。
左側には学生服の黒須君、そして対面側の席・・・被告用の席と思われる椅子にレナちゃんのお兄さんが両手を拘束された状態で座らされています・・・。
〈化粧はしていないのです〉
さすがに法廷でこの前みたいな化粧は無理ですよ。
【ここがレナちゃんの世界、異世界の法廷・・・なんか、あたし等の世界の法廷に比べると少し質素な感じね。科学力は異世界の方が上なのに法廷はなんだか古臭さがあるわね】
ただ、壁などに立体モニターがあるなど高度な技術も挿入されています。
『これより裁判を開始する』
レナちゃんは異世界語を喋っているけどモニターに翻訳字幕が出ているので何を言っているかわかるので助かります。
『罪人バッツ=ブラック、立て』
〈レナちゃんの右の席に座っている50歳後半くらいの白髭おじさんの指示を聞いたらお兄さん立ち上がったのです〉
【その白髭の男は副裁判長かしら?】
『バッツ=ブラック、其方の罪は我がファエストの国宝でもある7宝具を悪用、さらに殺人未遂まで行った。異論は無いな?』
『・・・異論は・・・無い・・・』
【お兄さん、罪は認めているけど王族だったプライドが悔しさと無念を後押ししてソレが表情に出ている・・・って感じね】
『殺人関係の罪は王族とて許される事では無い。レナ様、最高位代理としての判決を』
【最高位『代理』? 両親は死んでいるし兄はもう地位は無いも当然だからレナちゃんがもう最高位じゃないの?】
この前、わたしと黒須君とレナちゃんの3人で食事に行った時に聞いたんですが、ファエストでは最高位は20歳からでないと正式に継げないそうです。元々はレナちゃんのお兄さんが20歳になったら継ぐ予定でしたが・・・。ちなみにそれまではお兄さんだけでなく継承権のある弟のボコ君も最高位『代理』だそうです。
【でもその弟君の姿が見えないわ】
・・・理由はこれからレナちゃんがやる事に支障がでる可能性があるので欠席するようにレナちゃんが直接言ったからです。
〈実のお兄さんの裁判なのにですか?〉
もちろんちゃんと理由があるので。
〈【?】〉
『では代理としての判決を下す』
〈レナちゃんが立ち上がったのです〉
【まるで戦場にいるかのような表情ね】
『最高位代理としてこの者の王位剥奪を言い渡す!』
その発言に迷いは無さそうですね・・・。
〈お兄さんを庇わないんですか?〉
【身内だからって贔屓はできないわよ】
『~~~ッ』
〈お兄さん、震えているのです〉
【自業自得とは言え、実の妹にあんな事言われたらねぇ・・・】
『レナ様、この者の罪に殺人未遂も含まれているのですが、まさか王位剥奪のみで済ませるつもりですか?』
『殺人未遂の罪は被害者のクロス=リュウの意見を聞きたい。・・・リュウ、意見を求む』
〈レナちゃん、途中から日本語で喋っているのです〉
『リュウ、この場に居る者達全員が翻訳機を持っているからロックギアの言葉で喋っても大丈夫だ』
〈さっきまで黙って聞いていた黒須君が立ち上がったのです〉
【なんか不満そうね】
『リュウ、要求する判決を述べてくれ』
『バッツのやった事は殺人未遂だ。しかも7宝具という危険な兵器で・・・だ。ファエストでの殺人未遂と危険物取り締まり違反、それらの最大級の罰を与えて欲しいな。私情が許されるなら死刑も要求したいな』
【あら、けっこうな罰を要求してきたわね】
〈レナちゃんはお兄さんを助けたいのにこのままじゃ・・・〉
『だが減刑の意見も聞くべきだと思う』
〈減刑の意見?〉
『風一さん、入ってくれ』
〈黒須君の席の近くにある扉から風一さんが出てきたのです!〉
【どうして風一君が?】
わたしが呼びました。
【ハルちゃんが?】
『風一さん、主張を』
『うん』
黒須君の意見に頷いた風一さんは歩いてバッツさんの傍に・・・。
『僕は彼が裁かれる『だけ』の人間じゃないと思っている。弟のボコ君と一緒に拉致された時に僕も彼に救われたから・・・』
【拉致された時ってアイアンズ教会の時よね。あの時はレナちゃんのお兄さんが後から来ただけだけど、何かしたのかしら?】
『実はボコ君が無線機を隠し持っていたんだ。ボコ君のお兄さん、ボコ君だけでなく僕の事も励ましてくれた。・・・本当に心強かった。いずれ助けが来るのは分かっていたけどそれでも怖かったから・・・。弟の事だけでも手一杯なのに僕の事まで・・・本当に感謝している。拉致される前に負った傷を拉致された後に付けられた傷と勘違いした時もこれ以上殴られないようテロリストを怒らせないコツとかも教えてもらったよ。実際に何回か話を聞く前は殴られそうになる事もあったけどコツを聞いた後は殴られる心配は無くなったよ』
拉致に遭う前から負傷していたのにその状態で殴られたりしたらと思うと風一さんにとってかなり救いだったと思います。
『救出された後も手紙が届いたよ。『ファエストのテロリスト被害に巻き込んでしまってすまない』って。『今度ファエストの名物料理をご馳走したい』とも書かれてあった。助けられたのは僕の方なのに・・・。まだその名物料理を彼から奢ってもらっていないし僕もお礼になにか料理をご馳走したい。無罪にしてなんて言わないけど、せめて更生のチャンスを彼に与えて欲しい』
【・・・弟君の無線機でのやりとりや、その手紙の件とか本当なの?】
わたしは風一さんに裁判でバッツさんを庇ってほしいとお願いしたのと、黒須君が重い刑罰を望んでいると伝えただけなので本当かは分かりません。
『黒須君、君を殺そうとした人を庇ってしまって申し訳ない。ただ、彼に償いのチャンスを与えて欲しい』
風一さんはそう言って黒須君に頭を下げ、それを見た黒須君は、
『ふ、風一さん! 頭を上げてくれ!』
動揺していますね。
【まあ、尊敬している人がいきなり自分に頭を下げてきたら動揺するわよね】
『・・・レナ、風一さんは嘘を言える性格じゃない。バッツの手紙の事や人質にされた時のアドバイスとかは本当だと思うが俺に頭を下げるように言ったのは・・・黒場だな・・・』
〈ハルちゃんが疑われちゃったのです〉
黒須君、やっぱり鋭いですね・・・。
【というか頭を下げたのは風一君の独断でしょ?】
はい。
〈なら濡れ衣なのです!〉
まさか風一さんがそこまでしてくれるとは思いませんでした・・・。
『リュウ、ハルは単に中立な立場で私に意見をし、そしてイロナシ=フウイチを呼んだだけだ』
・・・厳密にはレナちゃんを贔屓しているので黒須君には申し訳ない気持ちが・・・。
『仮にお前がイロナシ=フウイチの意見を無視して有罪を望んでいるなら私はそれを元に兄上に判決を下すつもりでいる』
『・・・そうか。ならお前の兄貴に死刑を要求しても構わないんだな?』
『もちろんだ』
返答するレナちゃんに迷いは見えないです・・・。
〈お兄さんが死刑になってもいいんですか?〉
いえ、そうならない自信があるのだと思います。
『・・・分かった。俺の意見を言う。本心は死刑にしてほしい・・・が、風一さんは俺にとって英雄だ。風一さんの意見の方を尊重したい』
『ならばイロナシ=フウイチの主張を考慮して、殺人未遂の罪は更生施設に1年入れる。施設内の職員達の評価で釈放か施設更生続行か刑務所行かを判断してもらう。それでよいか?』
【更生施設? もしかして未成年だから大人の刑務所には入らなくて済むのかしら?】
もしくは弁明の余地のある人が入る場所なのかも知れません。
『分かった。異論は無い』
異論は無いと言っても黒須君は少し不満そうですね・・・。
【風一君が擁護しなかったら納得しなかったのでしょうね】
『兄上も・・・異論はないですね?』
『あ、ああ・・・』
お兄さんは死刑も覚悟していたのか、拍子抜けって感じですね。
〈レナちゃんもなんだか嬉しそうなのです〉
『兄上、私は貴方が王位を取り戻して下さるのを待っています。そしてまた家族全員で仲良く食事が出来るのを。たとえ王位を取り戻さなくても、更生してくれるなら歓迎します』
〈レナちゃんの言葉に周りがザワついているのです〉
【そりゃあ、またあの兄が王位に就くって発言は驚くわよ。仮に努力して王位を取り戻せるとしてもレナちゃんという最大の王位継承者がいるのだからまたあの王子に戻られても困るわよ】
『どういう事ですレナ様⁉ 貴方が最高位を継ぐのではないのですか⁉』
『私は最高位を継ぐつもりは無い‼』
PS4とPS5にバイオハザード1(ディレクターズカット版)が配信されたのでしばらく投稿休みます。
各機種でクリスとジルで全ての難易度の無限ロケットランチャーのデータ作るので忙しいので仕方ない。
ラウジー「ケンジロウ、この底辺投稿者が君が1年間使い続けたバスマットの匂いを嗅ぎたいそうだ」
だ、誰か血清を・・・。




