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準魔法少女  作者: ザキ・S・レッドフィールド
第2章・Not A Hero
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準魔法少女と非英雄の妹

・AM10時40分:埼玉県 警察署前喫茶店内

〈またここでレナちゃんとお話なのです〉

【『また』って事は前にもここで何か相談されたの?】

 以前、服装の事とかで相談を・・・。

【服装?】

 レナちゃんのお母さんも同じ服を着て戦っていたみたいなのですが・・・同じ服で戦っていたレナちゃんに対して模擬戦中の黒須君に『戦場にスカートを穿く女性を馬鹿か痴女』と言われて・・・。

【そういえばそんな事をレナちゃんに言っていたらしいわね。で、その事をどう思うかってハルちゃんに?】

 ・・・はい。

 わたしは女の子がスカートで戦うのはスカートの中を周りに見せる事になるって言ったら一応納得してくれました。

【・・・で、スパッツ穿いた・・・と。それにしても黒須君は容赦ないわね。まあレナちゃんは10才だけど同い年や年上だったら少しは興味あるんでしょうけど】

 お同い年や年上でも多分戦場では興味を持たないと思います。

 黒須君はテロリストでも今まで殺めてしまった人数を数えている程です。

【あら、年頃の男の子にしては真面目ね。気疲れしそう】

 でも今は目の前のレナちゃんの方が気疲れしています・・・。


「・・・ハル・・・」


 まるで迷子の子供・・・。

【すでに泣き疲れたって様子ね】


「私はどうすれば・・・」


 間違いなく昨日のお兄さんの事ですよね・・・。

【ラウジー相手にすらタメ口な子が敬語使う人がアレじゃあねえ・・・】


「あの後お兄さんはどうなったんですか?」

「今はファエストの牢獄に居る・・・」

「どんな裁きを?」

「クロス=リュウが「絶対に無罪は許さない」「お前の世界での法律で決められた、殺人未遂の罰を」・・・と」


【まあ、殺されかけたからレナちゃんの兄でも無罪なんて許さないでしょうね】

〈王女のレナちゃんが言えばなんとかなるのでは?〉

 王女でも好き勝手できないと思います。

 日本でもアメリカでもトップの親族が殺人を犯して無罪とはいかないでしょうし。

〈でも黒須君も少しくらい許してもいいのです! 仲間のお兄さんなのに!〉

 ・・・黒須君は7宝具を使用して悪用や暴走をした人を見てきたので無理だと思います。

【確かにこの前も警官が自宅に銃持って奪いに来ていたしね。あんなのが1ヵ月に25人も来ていたら7宝具悪用だけで軽蔑したくなるわよね】


「あ・・・兄上は・・・」

「?」

「兄上は・・・昔からああだったのでは無いのだ・・・ッ」


〈ハルちゃん? 席を立ってどうしたんですか?〉

 レナちゃんの隣の席に移ります。


「あ、兄上は・・・勉強も分かりやすく丁寧に教えてくれた・・・ッ!」


【あら、レナちゃんの頭まで撫でるなんて、優しいじゃない】

 そうしないとレナちゃんの心が潰れてしまいそうだからです。


「母上が亡くなった時も兄上は私を慰めてくれた・・・兄上だって哀しいのに・・・」

「・・・うん。慰めてくれる人がいるだけで心強いよね」


 わたしのおばあちゃんも、哀しい事があった時もこうしてわたしの頭を撫でてくれました。

 不思議と落ち着けるのでレナちゃんも少しは落ち着いてくれるといいんですが・・・。


「父上が亡くなった時もそうだ。兄上だって哀しいのに私やボコを慰める事を優先してくれたのだ・・・」

「・・・そっか。本当に優しかったんですね」


 お父さんが亡くなるのはレナちゃんでなくても辛いと思います。

【というかレナちゃんの言っている事本当なの? 妹に劣るという現実に耐えきれず暴走した挙句7宝具という道具の力に頼ったダメ男が?】

 わたしはレナちゃんの言っている事を信じます。

 最初から狂っていたならレナちゃんだってあそこまで尊敬はできなかったと思います。

 アイアンズ教会で弟のボコ君が無事だと分かった時のお兄さん、ホッとした感じでしたし。


「今のハルくらい優しくしてくれたのだ・・・ッ、信じてくれ・・・ハル・・・!」

「うん、信じるよ」


〈ハルちゃん、レナちゃんの頭を強く撫ですぎじゃないですか?〉

 コレでも控えめなくらいです。

 今は空いている時間ですがいつ混むか分からないので。


「王女として・・・私は兄上を裁かねばならない・・・ッ。兄だからと言って減刑は許されないのだ・・・!」

「偉いねレナちゃん、お兄さんの事も仕事の事もちゃんと考えている。・・・だから・・・」

「・・・?」

「だからこそ自分の気持ちも尊重しなきゃ」

「・・・・ハル?」

「レナちゃん、見せたい人がいるの」


〈ハルちゃん、誰を見せるんですか?〉

 ・・・わたしの、実のお母さんです。



・PM12時20分:東京都 葛飾区刑務所

「黒場ハルさんですね。ラウジーさんから話は聞いています。コチラです」

「ここにハルの母上が?」

「うん。今は服役中」

「服役? 一体何を?」

「わたしを殴ったりしたのが原因」

「⁉」


〈レナちゃん、まるで殺人現場を目撃したみたいな表情なのです〉

【母親に優しくされた事しか無いからねえ。しかも姉みたいに慕っている優しいハルちゃんの親が暴力人間なんて信じられないでしょ。まあ、信じられないのはあたしもだけど】


「こちらです」


 この取調室にお母さんが・・・。

〈ここ来る前にコップや野球のボールなどを部屋に用意して欲しいと言ったのは何故ですか?〉

 恐らくわたしに投げつけるからです。

【ど、どういう事よ? まるでハルちゃんが何かしたみたいじゃない?】

 まあ、ある意味わたしも悪いですが。

【〈???〉】

 さあ、お母さんが居るドアを開けますよ。

〈な、なんだか入るのが怖いのです・・・〉


「・・・誰?」

【中にはハルちゃんと同じ銀色の髪と瞳の外国人・・・もしかしてあの人がハルちゃんのお母さん? 綺麗な顔立ちだけどハルちゃんのお母さんって事は30代半ばくらい?】

 はい。

 25歳でわたしを産んでくれたので38歳です。

【あら、26~29歳と言われても信じられる綺麗な顔立ちね】

〈髪型も同じショートでハルちゃんにソックリなのです!〉


「お久しぶりです」

「⁉」


〈ハルちゃんの声と顔を見た途端、超不機嫌そうになったのです・・・〉

【不機嫌というか憎悪剥き出しって感じね・・・】


「何しに来たこの出来損ないッッッ‼‼‼‼」

「・・・ッ!」


 ・・・やっぱり痛い・・・。

〈ひ、酷いのです! いきなり近くのテーブルの上にあったガラスのコップをハルちゃんに投げつけてきたのです!〉

【てかハルちゃんの顔に当たったじゃない⁉】


「どの面下げて帰ってきたッッッ‼‼‼‼」

「・・・まだ暴力を止められないのですね」

「何を偉そうに‼‼‼‼‼」


〈こ、今度は花瓶を投げてきたのです!〉

【というかハルちゃんもなんで避けないのよ⁉】

 お母さんが変わっているか確かめたかったからです。

 変わっていなくてもレナちゃんにも本当の姿を見せたかったからです。


「・・・お母さん、わたしはもう、暴力を振るわれても従うつもりはありません」


 そう、以前のわたしはお母さんの暴力が怖くて怯えながら従っていました。

 その事で庇ってくれるお父さんとの関係も悪化、そのうちお父さんとお母さんに仲直りして欲しいと思うようになりましたけど、もしお父さんが庇ってくれなかったら今でも従う人形になっていたと思います。


「なんだその態度は‼‼‼‼‼‼」

「ッ・・・」


〈今度は野球ボールを投げてきたのです!〉

【今度は目に当たったわよ⁉ だ、大丈夫なの⁉】

 痛いですけど、失明はしていないので大丈夫です。

【そういう問題じゃないでしょ・・・】


「お母さん、また会いに来ます。その時はわたしも何かお母さんに誇れる人間になるのでお母さんも1人の人間として変わっていて下さい」

「誰に向かって・・・あ」


【もうテーブルの上に投げるものが無いから一瞬戸惑ったけど・・・】

〈こ、今度はテーブルそのものを持ち上げたのです!〉


「おいやめろ!」


〈近くに待機していた警官の人が止めてくれたので今度は大丈夫なのです〉

【というかなんでコップとか投げた時に止めてくれなかったのよ】

 ラウジーさんにメールでお母さんの暴力をできるだけ黙認してくれるように頼んだので。

【ここに来る前に『母の行動をできるだけ許してもらうよう現地の警察の方にお願いしていただけないでしょうか?』ってメールはこのため⁉】


「さようなら、お母さん。また会う日までお元気で」

「二度と来るな‼‼‼‼‼‼‼」


〈ハルちゃんの本当のお母さん、怖すぎなのです!〉

【怖いというかヤバすぎでしょ・・・。警備の人達が止めなかったらどんな暴力振るっていたか・・・】


「・・・は、ハル・・・大丈夫なのか?」


 部屋を出たと同時にレナちゃんが心配してくれて少し嬉しいです。

 心配してくれているって事はわたしの事を慕ってくれているって事でもありますし。


「ごめんねレナちゃん。ビックリしたよね」

「いや・・・そうではなく怪我が・・・」

「大丈夫だよ。後でアイリスちゃんの液体で治すから。それに一緒に暮らしていた時はもっと酷かったから」

「もっと・・・? ・・・どうしてハルの母上は?」

「わたしがテストで0点取ったのが今でも許せないのかも」


 レナちゃんには全部話しました。

 お母さんが過去に学歴で苦労した事、それを理由にわたしが良い学校へ進学できるよう厳しくした事、その事でお父さんとの関係が悪化した事、そしてわたしがテストで0点を取った事を。


「そんな・・・いくら理由があっても実の娘に・・・」

「お母さんはお母さんで必死だったんだと思うの。ただ、やり方が間違っていたのに気付けなかっただけだと思うの」

「だが限度という物が・・・」

「そうだね。レナちゃんのお兄さんと同じかもね」

「うぅ・・・」

「レナちゃん、実はわたし、まだお母さんの事諦めていないんだ」

「・・・?」

「わたしが何か頑張った成果を見せてお母さんに認めてもらおうと思っているんだ。お父さんとの再婚はもう無理だけどまた仲良くなるのは可能だと思うの。また家族で笑いながら食事とかできたらいいなって思っているの。わたしが6才くらいの頃までは厳しさはあったけど笑って皆でご飯食べていたから無理じゃないと思うの」

「・・・ハルは強いな」

「ううん、レナちゃんには偉そうな事言っていたけど、お父さんと離婚してから会うのは今日が初めてなの。会おうと思えば会えたのに会わなかったのは自信が無かったのと怖かったから。レナちゃんのおかげで会う決心ができたの。結果は散々だったけど、レナちゃんには感謝しているよ」

「私の為に・・・。ハル、私も兄上の事を諦めるのは早いと思うか?」

「そんな事は無いと思うよ」

「・・・そうだな。私が諦めたら誰も兄上を救えない」


〈いつもの強気な表情のレナちゃんになったのです〉

【さっきまでのお通夜状態が嘘みたいね】


「問題はリュウだな・・・」

「そうですね・・・」

数少ない見て下さっている方達はもうお分かりかと思いますが更新ペース的に今年最後の更新です。

たまにでも見て下さるのありがたいです。

・・・というか今年も最後の更新がクリスマスか・・・なら言う事は1つ!!!


メぇぇぇ~~~リぃぃぃぃクリっスマぁぁぁーーースぅ‼ ひゃーーーはっはっはっはっはぁーーーーっ


ラウジー「ケンジロウ、この無能投稿者が君の抱き枕の匂いを嗅ぎたいそうだ。カエデ、君が去年食べ忘れた七面鳥も生で食べてくれるそうだ」


 ・・お、鬼?

 目の前が暗く?

 なるほど、オレは死んだのか。

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