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準魔法少女  作者: ザキ・S・レッドフィールド
第2章・Not A Hero
37/54

準魔法少女と人質・3

 ふ、風一さんに勢いよくビンタ・・・するつもりみたいでしたけど黒須君が男性の腕を掴んで阻止してくれました。


「おいテメエ・・・なんで風一さんを叩くんだ?」


【黒須君、侮蔑というか敵意に近い表情を向けているわね】

まだ7宝具を装備している状態だから男性は腕を振りほどけないでいます。


「は、放せ!」

「ああ放してやる。風一さんに暴力や暴言を吐かないと誓うならな」


 暴力や暴言?

【普段から暴言吐いているのかしら?】


「く、黒須君⁉」

「安心してくれ風一さん。アンタの父親だ。ラウジーにはバレているだろうが罰は無いよう頼んでおくよ。ラウジーは何故か俺を買いかぶりしているからな」


 父親⁉

〈お父さんなのに殴ろうとしていたのですか?〉

 明らかに息子・・・風一さんへの嫌悪むき出しでした・・・。


「僕はクロス=リュウの事を買いかぶりした覚えはないけどね」

「ら、ラウジーさん⁉ 姉の明さんの元へ行ったのでは?」

「彼の問題行動を聞きつけてね。この市警察署の副所長は異世界兵器に関与しているのにもかかわらず、そこに居る息子イロナシ=フウイチに護衛を付けず、このテロリスト達に誘拐された事に気付くと今度はその事を隠蔽しようとした。結果は知っての通り『不幸中の幸い』で済んだけどね」


 息子の命より自身の地位を優先したって事ですか⁉

【とんでもないクズ親ね】


「・・・ラウジー・・・」

「分かっているよ。本来なら相応の罰を与える所だけど、君に免じて『何もしない』でおくよ」


 何もしない・・・ラウジーさんが普段から問題行動を起こした人への対応としては相当軽いですね・・・。

【下手すると処刑だもん】


「そうか・・・」


 それを聞いた途端、黒須君も副所長の腕を放してくれました。


「く・・・」


【あら、何か言いたそうだけどラウジーの手前だから何も言えないって感じね】

 ラウジーさんの場合、下手な事を言ったら本当に命に関わりますからね・・・。


「イロナシ副所長、今度は息子に警備を付ける事だ。今度息子に何かあったら君への制裁を希望する人間が大勢出てくるよ」


〈顔は笑顔だけど目が笑っていないのです・・・〉

【怖・・・】


「ふ、風一、帰るぞ・・・」

「うん」


 風一さんは父親の対応を気にしていないのか、お父さんの後を追っていきました。

【おや? 黒須君に向かって笑みを見せているわね】


「じゃあね黒須君。合格発表の場でまた会おう」

「ああ」


 合格発表?

〈黒須君もその言葉を聞いて嬉しそうなのです〉

 風一さんはお父さんの車に乗って行ってしまいました。


「黒須君、風一さんの合格発表ってどういう事ですか?」

「風一さんは一流の国立高校を受験するんだ」

「一流の国立高校を?」

「ああ。もう試験は受けたから後は発表を待つだけだ。合格発表は来月の2日だ」

「今日は1月の27日ですからもうすぐです」

「ああ。風一さんが真の英雄になれるかが分かるからな」

「真の英雄?」

「・・・風一さんは学校で不良グループに暴力を振るわれている・・・」

「ええ⁉」

「風一さんは『イジメ』とオブラートに表現しているが内容は完全な暴力犯罪だ・・・」


【なんだか黒須君、自分の事みたいに苛立っているわね】


「殴る蹴るはあいさつ代わりに受ける毎日らしい。大量のガラスの破片や釘などを詰め込んだストッキングを風一さんの顔に当てる『遊び』も毎日受けている」

「・・・ソレ、黒須君の言う通り犯罪では?」

「ああ。あまりにも酷過ぎて俺も本当かどうかラウジーに頼んで調査してもらった。そしたら風一さんが語った事以外の暴力も受けていた事も分かった。小便器に血が出るまで顔を叩きつけられるとか、金魚が入った水槽に窒息寸前まで顔を入れられるとか・・・な」

「・・・想像しただけで吐き気が・・・。ご家族は・・・あの様子では助けてくれなさそうですね・・・」

「ああ。母親もあの父親に近い性格らしく、むしろ「警察の息子なのに情けない!」・・・とか言われたらしい」

「実質、息子の風一さんの虐待を黙認しているのと同じ・・・学校の先生は対応してくれないんですか?」

「それも聞いたらどうやら風一さんが通っている中学校は過去に生徒が風一さん同様、暴力が原因で自殺した事件があって、発覚したら困ると表向きはアンケートを取ったりイジメ撲滅の講義を開くなどの対策を今でも取っている『フリ』をしているだけで実際は黙認状態だそうだ」

「・・・学校側も風一さんの虐待を黙認しているんですね・・・」


〈ヒドイ環境なのです!〉

【クズばっかりね】


「だが風一さんは凄い人だよ」


 また黒須君が嬉しそうな顔を・・・。

【まるで自分の事みたいね】


「風一さんはそんな地獄に耐えながらレベルの高い国立高校の受験を頑張っている。国立高校に合格する事で不良グループは追ってこれないし見返す事になる・・・そう言っていた。スゲエよ。俺だったら耐えるしかできない・・・」

「それで合格発表の場で会う約束をしていたんですね」

「ああ。合格したら風一さんは本当の英雄だ。過酷な現実に耐え、栄光を掴むんだから」


 黒須君、過去に一生懸命頑張った努力が報われなかったから頑張っている風一さんには報われて欲しいんですね・・・。


「風一さんは言っていたよ。『たとえ力が無くても現実に耐えて頑張って栄光を掴めたなら誰だって英雄になれる』・・・ってな。初めて俺と会ったのは風一さんの父親がいる警察署に応援に行った時に偶然会った。顔の傷を見て転んだとかの傷じゃないのはすぐに分かった。敵地で拷問を受けた捕虜を見る事も多いから誰かに意図的に付けられたのはすぐに分かった。今日、人質にされていた時の傷も拷問じゃなく学校でのだろう・・・」

「ええッ⁉」


〈テロリストにやられたんじゃないのですか?〉

【そういえばレナちゃんの弟君は無傷だったけど・・・】


「憶測だが、『いつものように』学校で暴力を受けて帰宅途中に拉致されたんだろう・・・」

「親からも学校からも助けてもらえないのに頑張って・・・凄いですね」

「ああ。だから、ああするしかなかったとは言え、人質にされた風一さんを無視して攻撃した俺を許してくれた。・・・器のでかい人間だよ。俺からすればもう英雄だ。合格発表の日に合格が確定したら何か奢らないとな」


【なんか奢るのが楽しみな感じね。というかもう合格するのが確定しているかのような言い方ね】

 それだけ風一さんを信頼し、尊敬しているんですよ。


「ボコ‼」


〈また別の男の声なのです〉

【風一君と同い年、15歳くらいの少年ね。服装もレナちゃんの弟ボコ君をスケールアップさせた感じね】


「兄上!」


〈あ、レナちゃんのお兄さんだったんですね〉

 身内だからか、レナちゃん嬉しそうです。

【王女のレナちゃんのお兄さんって事は彼も王族ね。色仕掛けとかでお金とか土地とかもらえないかしら?】

 エイリアちゃん、そういう事は禁止ですよ・・・。

【冗談よ】


「レナ、ボコは無事か⁉(ボコマプヂサ⁉)

「はい。それと兄上、ボコの救出に協力してくれたロックギアの仲間達も一緒なので、ロックギアの日本語で話していただけないでしょうか?」


 れ、レナちゃんが敬語で話しているのに違和感が・・・。

 ラウジーさん相手でも強気な口調だったのに・・・。

【王族だから身内・・・親や兄や姉には敬意を払うのは当たり前な教育を受けてきたんでしょうね。実際の地位や発言力関係なくレナちゃんにとって兄の方がラウジーより上なんでしょうね】


「ん? あ、ああ。初めまして。レナの兄、バッツ=ブラックです。弟を救出していただき感謝いたします」


 そう言って首を垂れる動きは上品でスローなダンスのようで優雅です・・・ってアレ?

〈どうしたんですかハルちゃん?〉

 確かレナちゃんのフルネームはレナ=クロード・・・兄妹なのにファミリーネームが違うのは何故でしょう?

【聞いてみれば?】

 う~ん・・・もしご両親の不仲などの深い事情とかだったらこの状況では望ましくないので今は聞かないでおきましょう・・・。


「あ、兄上・・・⁉」


【あら、ボコ君、急に困惑した表情になったわね】


「う・・・ご、ゴ迷惑ヲオカケシテ、申シ訳ゴザイマセン・・・」

「いや、いいんだ。お前が無事で」


 そう言ってお兄さんはボコ君の頭を優しく撫でてくれています。

【あら、優しいじゃない】

〈それでも気まずそうなのです〉

 弟のボコ君に罪は無いとはいえ、身内に心配をかけた事はボコ君なりに感じているので優しい言葉がかえって苦痛になっているのかも知れませんね・・・。

【幼いのに・・・】


「それにしても兄上、どうして剣技訓練施設に向かう筈のボコが人質に? 進行中に護衛は何をしていたのですか?」

「あ、そ・・・ソレは・・・」


【あら、お兄さん急にイタズラが親にバレたかのようになったわね】


「レナ様より目立ちたかったからですよ」


〈今度は執事風なおじさんが出てきたのです〉

【年は40代半ばくらいね。少しやせ型で金髪のオールバック、顔も年の割には良いし若かったら人気俳優にもなれそうな容姿ね】


「キノック? どういう事だ?」

「・・・お知り合いですか?」

「ああ。私の国の補佐官、キノックだ」


〈レナちゃん達補佐官って事は偉いって事ですか?〉

 そうなりますね。


「それでキノック、兄上が私より目立ちたいというのはどういう事だ?」

「その言葉通りです。国で妹に劣る王子と言われ続けて焦って前王女のファリス様が設立された女性部隊クロードを護衛に付けず、バッツ王子が最近設立した護衛部隊『ギルバード』を代わりにボコ様の護衛に付けたのです」

「あの部隊は確かに優秀な人材を集めた集団だが、まだ設立されたばかりでテロリスト達との戦闘経験も浅い。・・・どういう事ですか兄上?」

「うぅ・・・」


【あら、お兄さんレナちゃんから目を逸らしているわね。図星だったのかしら】


「国民から妹のレナ様の方が最高位に相応しいとの声が多いから焦って設立した私部隊を使ってご自身の存在をアピールしようとしたのです。まあ結果はご存じの通りですが」


 そういえばラウジーさんが故国のファエストではお兄さんよりレナちゃんの方が王位に相応しいと言われているって言っていましたが・・・。

【つまり今回の弟君誘拐は妹への嫉妬と焦りが原因って事ね】

 というかこの補佐官の人、レナちゃんのお兄さんに恨みがあるのでしょうか?

【きっとこの人もレナちゃんが王位に相応しいと思っている派閥なんじゃない?】


「・・・本当なのですか兄上?」

「あ・・・う・・・」


 レナちゃんに見つめられてさらにしどろもどろに・・・。

〈つまり本当にレナちゃんのお兄ちゃんが原因だったのですか?〉

 そうなりますが気になるのは補佐官ですね・・・。

〈?〉


「・・・そうか。それでキノック、お前はそこまで知っていて何故私に知らせなかった?」


 やっぱりレナちゃんも気になっていましたか。


「え? そ、それはバッツ王子が自信満々だったので・・・」


【急に自分に疑惑がかけられてさっきまでのエリートっぽさが消えたわね】

〈この人も悪さがバレた子供みたいなのです〉


「それでもボコの命に関わる事だ。実際同じ7宝具を使う仲間達が居なかったら私やボコは命を落としていたかも知れない。そんなに兄上の判断に不満があるなら兄上の見ていない所で私に連絡すれば良い話では無いのか?」

「ぎ、ギルバードの部隊も優秀な人材を集めていたので大丈夫かと・・・」

「先程は兄上の設立した部隊を『焦って設立した部隊』と揶揄していたが?」


【レナちゃん、まるで汚物を見るかのような目ね】

 レナちゃんの言う通り、本当にお兄さんに不信感があったとしてもレナちゃんに一報入れるくらいはできたと思います。

【そんな事に気付かない補佐官はアホなのかしら? それともレナちゃんがまだ10才だから上手くコントロールできると甘く見ていたのかしら? もしかして、お兄さん追放して10才のレナちゃんを利用して自分の思い通りに国を動かそうとしていたのかしら?】


「貴様のした事は王族である私と兄弟への反逆だな」


 レナちゃんは腰のポーチから形も大きさもスマートフォンと同じくらいのガラス板らしき物を。

〈ガラスに向かって声をかけたのです〉


「ククル!」


 一瞬でガラスに人の顔が。

〈20歳くらいの綺麗なお姉さんがしっかり写っているのです〉

【厚みはスマホの三分の一くらいなのに画質も音質もかなり良いわね】


『どうしました⁉』

「補佐官のキノックが謀反を起こした。余罪もあるかも知れないから連行してくれ。確保は私がする」

『ハイ! 直ちに向かいます!』

「ひヒィッ!」


 補佐官の人は大慌てで逃げ出しましたね。

【でも逃げ出すのが分かっていたのか、レナちゃんも同時に走り出したわね】

〈しかもあっという間に補佐官の人の前に先回りしたのです!〉

 追い抜いたと同時に足払い、補佐官の人が立ち上がる前に銃を眉間に・・・。


「運動不足だな。頭だけでなく体も鍛えるんだな。我が国の刑務所なら強制肉体労働もあるから運動不足の心配はないぞ?」

「レナ様!」


 さっきレナちゃんが電話で会話していた女性です。

【もう来たの? 近くで待機していたのかしら?】

 他にも年齢が近い女性が10人くらい居ます。

【全員レナちゃんと同じ感じの服装ね。もしかしてアレがレナちゃんの母親が設立した部隊?】


「おお、早いな。早速連行してくれ」

「はい!」

「お任せを!」


 隊員の人達は物凄い速さで補佐官の人を拘束して連行・・・手慣れていますね。

【補佐官は何か異世界語で何か騒いでいるけど隊員の腹パン喰らって黙ったわね】

〈一件落着なのです!〉

 ・・・いえ、まだです。

〈どうしてですか?〉

 レナちゃんがお兄さんとどうするかです。


「兄上!」


 一瞬ビクリとするレナちゃんのお兄さん、それに対してレナちゃんの表情に悪意や侮蔑の感情は含まれているようには見えないです。

〈むしろ泣いている子供をあやすお姉ちゃんみたいなのです〉


「キノックの言ったことを兄上は気にする必要はありません。ボコの命を危険に晒したのは私も一緒です。現にボコが人質に取られているにもかかわらず私はテロリストを攻撃しました。もしどちらが悪いか決めるおつもりでしたらボコに私と兄上のどちらが悪いか決めてもらいましょう」

「⁉⁉⁉」


 弟のボコ君、いきなり自分が判決を下す役割を振られてかなり動揺していますね・・・。


「あ、アノ・・・ご、ゴ迷惑ヲカケタノハ僕デ・・・」


 それを見たレナちゃんは嬉しそうな表情に・・・。


「そうか。なら誰が悪いか決める必要は無いな」

「え? れ、レナ・・・?」

「さ、兄上、ボコと一緒に故国に帰りましょう」


【・・・レナちゃん、まだ10才なのにすっごいリーダーシップね。あの補佐官の肩持つつもりは無いけど本当に王位に相応しいわね】


「ハル、リュウ、そういう事だ。すまないが後の報告などは2人に頼む」

「は、はい。レナちゃんも帰路には気を付けてね」

「もちろんだ」


 そう言ってお兄さんと弟さんの3人でレナちゃんのお母さんが設立した女性部隊の人達が用意したと思われる私達の世界の自動車・・・6~8人乗れる大きい車に乗って、同時に車が発進しました。

【車の前後には護衛部隊の隊員が乗った同じ車が走っているからそこそこ安心ね】


「さて、レナの注文通り鈴警部に報告・・・と言いたいけどもう俺達がやった事は全て話したから報告する事と言ったらレナが先に帰ったと伝えるくらいだな」


【あら、噂をすればご本人がやってきたわ】


「みんなありがとう! おかげで一般人と警察共に無被害よ! あら? レナ王女は?」

「帰宅・・・いや、帰国しました。王女だから色々国へ報告もあるみたいでしたし」

「・・・そう。後でお礼の連絡入れなきゃね。黒須君もハルちゃんもありがとう。後始末は私達警察がするから2人はもう休んで。本当にありがとう!」


 まるでわたし達が命の恩人みたいな反応ですね・・・。


「自宅までは警察のパトカーで送るわ」

「ありがとうございます」

「待ってほしいハル。少し春日部の警察署に付き合ってもらえないかな?」

「ラウジーさん?」

「見せたい物がある」

ゲームのセーブデータ整理していたらバイオ以外のゲームの一部を消してしまった・・・。

まあバイオハザードじゃないからいいか・・・アレ?

手が勝手にクリアデータを勝手に作ろうと・・・。


ラウジー「カエデ、この底辺投稿者が消費期限が過ぎた牛乳を飲みたいそうだ」


ま、待て・・・既に固形物になってるし色も黄色n


(黄色い液体で汚れていてここから先は読めない)

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