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準魔法少女  作者: ザキ・S・レッドフィールド
第1章・準魔法少女の始まり
19/54

準魔法少女の初任給

・PM15時15分:千葉県 某森林地区

「くそッ! 離せ!」


 わたし達が捕まえたテロリストは唯一抵抗できる口で暴言を吐きながら駆け付けた地元警察の人に連行されています。


「ちゃんと専用手袋を忘れるな。感電死しても知らないからな」


 大破した有人型巨大兵器『だった』残骸を回収する人達が細かい破片は自力で運び、ある程度原型を留めたかなり重い物はクレーン車でそれを拾い上げて回収して少しずつこの場所がキレイになっていきます。

<ハルちゃん、ラウジーちゃんと黒須君が何か話しているのです>


「リュウ、どうだった? クロバ=ハルは?」

「ああ。残念ながら合格だ・・・」


<黒須君、言葉通り残念そうなのです>

 やっぱりわたしの事を気遣ってくれているんでしょう。


「合格なら問題ない。クロバ=ハルの参戦でもう君が敵を殺す事が無くなるかも知れない」


 わたしもそう願いたいです。

 ・・・ところで・・・


「あの、マーロヒィ・ポーウはどうやって外すんですか?」


 さっきから体中が漫画とかで感電した人みたいに電流がバチバチ音を立てているし、このままでは日常生活も送れなくなってしまいます。


「コレを使うといい」


 ラウジーさんが持っているのはマーロヒィ・ポーウ?

<色が透明で中身には何も入っていないのです>


「コレを力強く握るといい」


 きっと何か意味があるのでしょうから、ラウジーさんから空(?)のマーロヒィ・ポーウを受け取ってそれに力を入れて握ると・・・


「わ!」


 わたしの右手からポップコーンが弾けるかのように体内に入ったマーロヒィ・ポーウが飛び出てきました!


「人間がマーロヒィ・ポーウを使う場合は1時間で効果は切れて自然と出てくるが空のマーロヒィ・ポーウを使えばすぐに取り出せる。空のマーロヒィ・ポーウも1分程で手から出てくる」


<ハルちゃんが元の魔法少女に戻ったのです!>

 ですからわたしは魔法少女じゃないです。


「さてハル、次の土曜日から警察署の訓練所に通ってもらうよ」

「訓練所?」

「ああ。7宝具は強力だが、素体の人間が未熟じゃ性能を活かせない」


<訓練なんて必要あるんですか? 今のままでもハルちゃんは最強の魔法少女なのです>

 いえ、基礎は重要です。

 わたしはそんなに運動は得意ではないですし、任務中に息切れして足手まといなんて事も考えられますし、鍛えてもらえるなら喜んで訓練を受けます。


「それと報酬も出さないとね」

「報酬?」

「今回は君のおかげでクロス=リュウはかなり楽ができた。そうだろう?」

「ああ。こんなに安心して任務を遂行できたのは初めてだ」

「あの、別に報酬が無くても・・・」

「ハル、仮にも最高峰の兵器を使う身ならそういう考えはしない方がいい。ボランティア精神は悪い事では無いがあまりそれをアピールしているとその力を私利私欲な事に利用される事だってある。君だって他国のくだらない戦争に出るのは嫌だろう?」

「・・・そうですね」


 ラウジーさんの言う通りです。

 確かに7宝具の力を利用して敵国を圧制・・・なんて事を考える人もいるでしょうし、断ったら「何故この要求は聞けない?」とか「ほかの依頼は受け付けるのにコレは差別だ!」みたいな事を言われるでしょうし・・・。


「クロス=リュウも報酬を貰っている。1日の任務で最低50万円だ」

「ご、50万円⁉」


 1日でって・・・前にテレビで並のサラリーマンの月給の平均が35万って聞いたんですけど、それって1日で並のサラリーマンさんの月給以上貰っているって事ですよ⁉


「警官や刑事が殉職した場合、階級に応じて数千万がその遺族に支払われる。異世界兵器関連の事件は死亡ケースが後を絶たない。何十億の資金が失われている。それを50万で防げるなら安いと警察側も考えている。実際、クロス=リュウと出撃した刑事は現在1人も殉職者が出ていない」


<凄いのです! これでハルちゃんは大金持ちなのです!>


「そんなに貰ってもどう使ったら・・・」

「まあ、今回は初任務、初任給は金銭では無いけどね」

「金銭では無い?」

「もう出てきてもいいよ」


 ラウジーさんがそう言うと砂利道を車輪が通る音が。


「ハルちゃん!」

「!」


 この声は・・・まさか・・・!

<あ、エマちゃんなのです!>


「よかった。魔法少女として頑張っているんだね」


 自分の心臓が急に激しく動くのを確かに感じます。

 目の前に親友・・・最後に会った時は呼吸器を付けてかろうじて会話できるのがやっとだった親友のエマちゃん・・・!

 車椅子に座っているけど元気そうなエマちゃん・・・。

 後ろに誰もいないのを見ると自力で車輪を動かして来たって事・・・⁉


「わ~い! エマちゃ~ん!」

「ふふふ、久しぶり、アイリスちゃん」


 わたしの身体から出て飛びつくアイリスちゃんの頭を撫でるエマちゃん・・・どうしてそんなに元気に・・・?


「ナグモ=エマの病気はこの世界(ロックギア)では不治の病でも異世界のラクーンやファエストでは治療法がある。来年の4月には学校にも通えるだろう」

「それじゃあエマちゃんは死ななくて済むんですか⁉」

「ああ。ナグモ=エマの死の危険性は取り除いたよ」

「あ、あああ・・・」


 嬉しすぎて声が出ないです・・・。


「それと、もう1人君に会いたいという者がいる」

「もう1人?」


 シェリーさんと一緒に誰かが・・・あ!


「・・・は、ハルちゃん・・・?」

「な、長野さん⁉」


 どうして長野さんが此処に⁉

 しかも申し訳なさそうな表情で・・・。


「ハル、君に謝罪したいそうだ」

「謝罪?」

「・・・ハルちゃん、その・・・ごめんね。今日はヒドイ事言って・・・」

「え?」

「ハル、ナガノ=カグヤに君が戦っている映像を見せた。彼女は一般人だけど君がナガノ=カグヤや多くの人間が泣かない為に戦っているのを理解してもらう為に特別に映像を見せた」

「うん。映像見たよ。ハルちゃん必死な表情だった。あたしや皆のために・・・。なのにあたしは慰めてくれたハルちゃんにヒドイ事言って・・・その・・・」

「わ、わたしの事を許してくれるんですか⁉」

「許す? いや、ヒドイ事言ったのはあたしの方で・・・」

「いえ、わたしこそ長野さんの気持ちも考えないで・・・。謝るのはわたしの方・・・わ!」


 な、長野さん、急にわたしを力強く抱きしめて・・・⁉


「ありがとう! ハルちゃん!」


 ちょうどわたしと長野さんと頬と頬が重なって、直後わたしの頬に水滴の感触が・・・。

 長野さん、涙を流してわたしに・・・。

 長野さんの気持ちも考えない気の利かないわたしを許してくれたんですね・・・。

 ああ、わたしも涙が流れて・・・。


「ハル、今回は初任給だから君の友人の命と友情の修復が報酬だ。他にリクエストはあるかい?」

「貰いすぎなくらいです・・・!」


 友情や友達の命はお金では買えません。

 たとえ何十億円とどちらがいいかと言われてもこの『報酬』を選びます!


「・・・ところで黒須君」


 わたしが感激していると急にエマちゃんが初対面の黒須君に声を。


「黒須君は男の子だよね?」


 この状況で何故そんな質問を?

 というかエマちゃんは何故不満そうなのでしょう?


「南雲って言ったな。お前視力は大丈夫なのか? ラウジーと違って俺は男にしか見えないだろ」


 黒須君の言う通り男子中学生にしては小柄で体つきも細めだけど女の子と見間違う事は無いと思います。

 というかラウジーさんと違ってと言うって事はもしかしてラウジーさん本当に男性で性同一性障害というのは義兄の思い込みって事・・・?


「え~~~・・・・」


 エマちゃん、何故さらに不満そうな顔を?


「だって、魔法少女のハルちゃんと一緒に戦う人が男って夢が無い・・・。 こういうシチュエーションって同じ魔法少女の女の子がやるべきだと思うんだけど・・・」


 不満そうに言うエマちゃんの意見を聞いた黒須君は顔をエマちゃんではなくわたしの顔に向けてすごく不満そうに言いました。


「黒場、お前友人は選んだ方がいいぞ」

「え・・・ええと・・・」

「クロス=リュウ、その言葉は君にも言える事だよ」

「?」


 黒須君のお友達も何か問題が?


「痛タタタ!」

「ラウジー、連れてきたぜ」


 悲鳴を上げある男子の声とラウジーさんの部下のハンクさんの声が。

 男の子の方はわたしと同じクラスの永井君です。

 ロープでグルグル巻きにされ、ハンクさんに連行されています。


「ケン⁉」


 永井君を下の名前で呼ぶって事はかなり親しいみたい。

 そういえば体育の授業でも永井君は黒須君を下の名前で呼んでいたのでお互いかなり仲がいい親友と呼べる関係なのかも。


「コイツ、警察署の女子更衣室に入ろうとしていた」

「ち、違う! ば、バードウォッチングをして鳥を追っていたら偶然女子更衣室に・・・」


 なんでもう少しマシな嘘が付けないのでしょう?


「ナガイ=ケンには1、5ℓの献血に協力してもらうとするか。シェリー、手配を頼む」

「分かったわ。千葉県の大学病院でO型RH+の血液が不足しているらしいからそこに連れて行くわね」


 な、何か地味に恐ろしい会話をしています・・・。


「永井! この前体育の授業で中安の下着の色知っていたって事はやっぱりあたし達女子の着替えも覗いたって事だな! この変態!」

「ま、待てッ・・・プロレス技はやめ・・・ぐごご・・・」


 長野さんは即プロレス技を永井君に・・・。


「・・・黒場、ラウジーの言う通りだった。俺も人の事言えねえ・・・」


 ・・・皆さん、さっきまでのわたしの感動を返してくれませんか?

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