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準魔法少女  作者: ザキ・S・レッドフィールド
第1章・準魔法少女の始まり
18/54

準魔法少女、初実戦へ・2

「⁉」


 背後から人の声が⁉


「誰だ!」


 すでに黒須君は咄嗟に振り返って銃を声の方向に構えます。

<背後にいるのは・・・あの緑色の肌の人なのです!>

 人・・・なのでしょうか?

 一見、肌の色以外は30歳前後くらいの年齢の男性ですけど背中から黒い触手が8本伸びていますし、体中から電気がショートしたかのように火花がバチバチと音を立てています。


「黒場、こいつは指名手配されているテロリストだ‼」


 指名手配って事はやっぱり人間なのですか?

 人間だったらあの触手や体中から出ている火花は一体・・・。


「このテロリスト、今はマ・ペットに完全に寄生されて操られている‼」

「黒い触手とかもマ・ペットの影響なんですか⁉」

「ああ。多くはああいう風に身体が変化する」


 し、知らなかった・・・。

<アイちゃんも知らなかったのです>

 なんで当の本人が知らないんですか?


「さあ、悪い子達は私の能力でお仕置きしないとね~」


<両腕を広げたのです!>

 な、何をする気でしょうか・・・?


「黒場‼ こっちだ‼」


 急に黒須君がハルちゃんの腕を引っ張ってきたのです!

 どうして急に・・・あ、よく見るとテロリストの人の両手から電流が放たれてこっちに向かっています!

<足元に落ちた電流はヒーロー番組でよく見る地面の爆発が起きているのです!>

 黒須君が手を引っ張ってくれなかったらその爆発にわたしも巻き込まれていたと思うと恐ろしい・・・。

<ラウジーちゃんは?>

 ラウジーさんはさっきまでいた場所に立ったままなのに無傷なのですが・・・何かバリア的な物か何かで防いだのでしょうか?


「避けちゃダメだよ・・・」


 それは遠回しに『死ね』と言っているのと同じです・・・。


「この野郎!」


 黒須君は銃で反撃しています。


「ぬ・・・くく・・ッ!」


 でも自分の電流と両腕でガードして防いでいるのです。


「黒場! お前も攻撃するんだ!」

「え? あ、はい!」


 そうだ、わたしも今は戦場にいるんだ・・・!


「えやああああああああああああッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼」


<おお、カッコよく光弾を連射! カッコいいのです!>

 カッコいいかなんて今はどうでもいいです!

 今はただ黒須君を、そしてもう友人の長野さんみたいに泣いて苦しむ人がいなくなるように努力するだけです!


「ぼごふぉ⁉」


<ハルちゃんの攻撃で吹っ飛ばされて近場のでかい木に叩きつけられたのです!>

 木が折れて倒れたので自然破壊とか叱られそうですけどテロリストを捕まえるためには仕方ない・・・と思いたいです・・・。


「ぐぐ・・・よくも・・・」


<あれだけ攻撃を喰らったのにまだテロリストが立ち上がるのです!>

 それにさっきまでの笑みが悪鬼の表情になっています・・・。


「よくも・・・よくも俺の身体に傷を付けたな・・・親にも触られた事の無い俺に傷をおおおおおおおおおお‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」


<さりげなくすごい事言いながらこっちに向かって突進してきたのです!>


「ハル!」

「ラウジーさん?」

「7宝具の攻撃をアレだけ喰らって立ち上がれるという事は身体の強化手術もしている」


<確かに以前黒須君が戦場で剣や銃で簡単にロボット兵団を倒していたのにこの敵はなかなか倒れないのです>

 それに銃攻撃に関してはわたしの武器の方が威力が高そうなのに倒れないのですから相当強化されているのだと思います。


「7宝具の時計の短針を3時に合わせた状態で攻撃すれば、相手の動きを封じられる」

「動きを・・・? はい、やってみます!」


<でもエマちゃんが使った時は何も起こらなかったのです!>

 でもラウジーさんが言うなら何か意味があるはずです!

 錫杖の真ん中にある時計の針をいじって・・・。

〈ズアピニィ〉

 3時に合わせたら女性声の機械音が錫杖から聞こえました。


「にゅおッ⁉」


<敵の動きが止まったのです!>

 膝と両手を地面につけているのを見ると、止まったというより体が重くて動けない・・・といった感じに見えます。

<アイちゃんがラウジーちゃんに重力攻撃された時みたいなのです>


「トドメは俺に任せろ!」


 黒須君は銃のグリップ部分にある時計の針の長針を回して構え、


「終わりだ!」


 直径20cm程の光線を発射、


「うぉおおおおおおおおおおおおおおお⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉」

 敵テロリストの腹部に直径20cmの穴が金属の板をドリルなどの道具でくり抜いたかのようにできました。


「ごご・・・ぶ・・・」


 テロリストは仰向け状態で地面に倒れました。

 体中痙攣していてこのままじゃ死んでしまうのは素人のわたしでも分かります・・・。


「・・・黒場、さっき戦場で人間を殺す覚悟があると言ったな?」


 黒須君、すごく険しい表情で怖いです・・・。


「は、はい・・・」

「なら早速このテロリストを殺してもらう」

「え?」

「このテロリストは完全にマ・ペットと融合していて引きはがせないし、引きはがせたとしてもこれまでの犯罪行為を全て、マ・ペットのせいにして罪から逃げる恐れがある。コイツがただの人間『だった』頃に殺した罪のない民間人は100人を超えている。既に射殺対象だ。そんな奴が罪から逃れる事などあってはならない。そうならない為にも今のうちに射殺する必要がある」

「それを・・・わたしがやるって事なんですね・・・」

「そうだ」


<そんな、別にハルちゃんがやる必要は・・・>

 い・・・いえ、わたしがやるべきです!

 今後も戦場に足を運ぶ以上、こういう事は多々あると思います・・・!

 黒須君はわたしにそれができるかを試そうとしているのでしょう・・・。


「コレを使え」


 黒須君が手にしているのはオートマチック式の拳銃・・・。


「これは異世界兵器にも通用する銃弾が入っている。好きなだけ撃つといい」


<受け取っちゃダメ・・・ってなんでもう受けっとっているのです!>

 ここで撃てなきゃ今ここに居る意味がありません。

 ・・・う、撃たなきゃ・・・。

<だ、大丈夫ですかハルちゃん⁉ 手がブルブル震えているのです!>


「・・・黒場、無理はするな。撃てないなら俺がやる」


<く、黒須君もそう言っているのでここはお言葉に甘えて・・・>

 そそそ、そうはいきません!

 黒須君はわざと甘い言葉でわたしが撃てるかを試しています・・・!

 ううう撃たなきゃ・・・ううう撃たなきゃ・・・。

<は、ハルちゃん・・・>

 そう、ここで撃たなきゃ・・・多くを救えない・・・!


「撃たなきゃ!」


 ‐カチャリ‐

<ああッ撃っちゃったのです!>

 ・・・アレ?

<発砲音がしないのです>

 あ、アレ?

 試しに2、3回引き金を引きましたが銃弾が出ません・・・。


「弾はここだ」


 黒須君の手には弾薬の入ったマガジンが。


「すまねえ黒場。お前が本当に撃てるか試させてもらった」


 もしかしてテストとわたしが汚れない為に・・・?


「黒場、お前は弾が入っていると思っていた銃の引き金を人間相手に引いた。悪く言えば殺人未遂だ。お前はもう清潔な人間じゃなくなった」


 確かに殺意を持ったのは否定できないです・・・。


「もし今後本当に相手を殺す必要がある時が来たら今の事を思い出せ。そうすれば撃てるだろう」

「でもこのテロリストの人は・・・?」

「ああ、今回はいい状況だからいい物がある」

「いい状況? いい物?」

「ラウジー、構わないな?」

「ああ。このテロリストはその方が良い素材になりそうだ」

「素材?」


 黒須君は腰にぶら下げている10cm程の布袋の中からビー玉くらいの大きさの球体を取り出しました。

<黒須君はそれをテロリスト相手に投げつけたのです>

 投げ方はダーツを的に当てるかのようです。


「お・・・お・・・」


 球が当たった途端、嗚咽を上げながらテロリストの人が球の中に吸い込まれていきます!

<テロリストの人は掃除機に座れる埃のように球の中に消えてしまったのです!>

 ‐ポッポッポッ‐

 球は何度かバウンドして地面の上で動きを止めました。

<黒須君はそれを何も言わずに拾ったのです>


「これはマーロヒィ・ポーウと言って生物を吸収できる」

「吸収?」

「ああ。この球の中に封じ込める事が出来る」


 球体の中にはさっき黒須君とわたしで倒したテロリストの人が棺桶に入っているかのように目を閉じて永眠しているかのように動きが止まっています。


「その中で生きているんですか?」

「ラウジーによると中では意識が無いらしいが・・・」

「僕は生きているとは言えないが死んでいるとも言えない状態だと思うな」

「それはどういう意味ですか?」

「封じ込めた力を利用できるから完全に死んでいるとは言えないからだ」

「利用?」

「ああ。体内に取り込めば封じ込めた生物の長所だけを身に着けることが出来る」

「体内に取り込む?」

「取り込み方は後で説明する」

「と、とりあえずこのマーロヒィ・ポーウで相手を捕らえる・・・いえ、封じ込める事が出来るって事ですね?」

「そうだ」

「そんな物が・・・」


<そんな便利な物があるなら最初から教えてくれてもいいのに!>

 いえ、黒須君やラウジーさんはわたしの為にワザと教えなかったんだと思います。

 もし知っていたらさっき銃を撃てなかったと思います。


「ただし、封じ込められるのは身動きが出来ない生物だけだ。最初からマーロヒィ・ポーウを使ってなんて楽な事はできないよ」

「はい」

〔よくも俺の部下を殺したな‼〕


<大音量のスピーカー音の怒鳴り声が聞こえるのです!>

 地震・・・?


〔皆殺しだあ‼〕


<地面から全長20Mくらいのロボットが怪獣みたいに出てきたのです!>

 蟹のような容姿で両腕が大きなハサミになっています。


「ハル、あの兵器のパイロットは別件での容疑を聞く必要がある。生け捕りにしてほしい」


 ラウジーさんが生け捕りにしてほしいって事は相当な余罪がある犯罪者って事ですよね。

<でもどうやって捕らえるんですか?>


「黒場、俺に任せろ!」


 黒須君はそう言うと武器の時計の短針を9時に合わせました。

<いったい何を・・・って武器がでっかいハンマーに変化したのです!>

 ハンマーのヘッド部分の大きさは直径1Mくらいの大きさでとても重そうです。

<あ、黒須君が消えたのです!>

 ‐ブゴン‐


〔ぐおおおおお!!!〕


 大きな衝撃音と共に一瞬で巨大兵器全体に何かの衝撃を受けたように凹みだらけになりました!

<まるで廃車寸前の自動車みたいなのです>


「アレはクロス=リュウが使う7宝具の能力の1つだ。時計の短針を9時に合わせる事で機動力、破壊力、防御力を数万倍にする事が出来る。クロス=リュウには世界の時間が止まって見えるかのように見えている」


 数万倍・・・時間が止まったように見える・・・凄い・・・。


「黒場! さっき封印したコレを使え!」

「え? わッ!」


<いつの間にかに武器を銃形態に戻した黒須君がいきなりさっき使ったまーろひぃ何とかをハルちゃんに投げてきたのです>

 でも7宝具を装備して動体視力が上がっているからなんとかキャッチ出来ました。

 球体の中にはさっき黒須君とわたしで倒したテロリストの人が。


「そいつを力強く握りしめろ! そうすればさっきラウジーが説明したとおおり、中身の生物の長所だけを身につける事が出来る!」


「長所を?」


<どんな状態になるんですか?>

 分かりませんけど、やってみましょう!


「・・・え?」


<球がハルちゃんの手の中に入っちゃったのです!>

 まるで落ちた氷が溶けて地面に溶ける動画を倍速で見ているかのようです・・・。


「わわわッ!」


<ハルちゃんの体中に電流がバチバチ音を立てているのです!>

 わたし自身は特に痛くも苦しくもないですけど・・・。

<ハルちゃんは電気人間になっちゃたんですか!?>


「黒場! そのまま強烈なパンチかキックを敵にプレゼントしてやれ!」

「え?」

「7宝具で既にお前の筋力は桁外れになっている。それにさっきの電気男の電流体質が加われば効果は倍増だ!」


 7宝具の力と電気の力を合わせて攻撃しろって事ですね。

<ハルちゃん、どういう攻撃をするんですか?>

 どうって・・・黒須君の言う通り思いっきり力を込めたパンチを・・・。

<なら口だけ貸して欲しいのです!>

 口だけ?

<せっかくだから技名を叫ぶのです!>

 ・・・技名?

<名付けて、『ライトニング・ハルちゃんパンチ』なのです!>


「わたしの身体(からだ)で恥ずかしい恰好と恥ずかしい台詞は禁止です!」


<おお、見事なパンチなのです!>


〔うおおおおおおおおおお⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉〕

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