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準魔法少女  作者: ザキ・S・レッドフィールド
第1章・準魔法少女の始まり
12/54

準魔法少女、勝手に戦場へ・2

「ハルちゃんパ~ンチ!」


<怒りの鉄拳! あ、しゃがんで避けられたのです>


「この野郎!」


<今度はアッパーまで! でもバク転で回避なのです!>


「もう許さないのです!」

「それはこっちの台詞だ!」


<あ、今度は女の子に向かって発砲したのです。手動で5発発射、でもこれくらい避けるのは楽勝なのです!>

<でも避けているばかりじゃ勝てないのです。そうだ、手袋の右手に錫杖の形をした金属を外せば武器になるのです!>

<エマちゃんが使っていた時もそれで暴走族のバイクや車を破壊していたのです。手袋に付いている錫杖型金属をキャストオフ!>


「む、それは⁉」


<ふふふ、突然全長2M程の錫杖サイズになって黒須竜も驚いているのです。でも驚くのはまだ早いのです>

<錫杖の中心部にあるボタンを押せば先端にある宝石から直径30cmの光線が発射されるのです。黒須竜めがけて発射!>


「何⁉」


<ふふふ、黒須竜も驚いているのです>


「コイツ!」


<また発砲したのです。でも威力はこっちの方が上なのです! アイちゃんの光弾は黒須竜の撃った光線を跳ね飛ばして突き進むのです>


「ぐッ」


<黒須竜はすばしっこいのです。またアイちゃんの攻撃を避けたのです。

 でも当たらないならこっちは当たるまで何度でも撃ちまくるのです!>


『ゲオヒサ・チーウボ』


<む、黒須竜は銃を盾に変化させてアイちゃんの攻撃を防いだのです。あ、盾の周りに付いているクナイみたいな刃物が全部盾から外れてアイちゃんに向かって襲って来たのです!>

<あのクナイは小さいけど破壊力は意外と高いから当たったら大変なのです。全部避けて見せます! よし、回避成功!>


「喰らえ!」


<あ、黒須竜が盾本体をブーメランみたいにこっちに投げてきたのです。でもこれもちょっと体をリンボーダンスみたいに曲げて回避!>


「はあああ!」


<あ、今度は黒須竜本人が突っ込んできたのです! でもこれも避けて・・・ってアレ?>

<体が急にバランスを崩し・・・何でですか⁉>

<あ、さっき黒須竜が投げた盾がブーメランのように戻ってきてアイちゃんの膝裏に当たって膝カックン状態にぃ~!>


「馬鹿野郎‼」


<黒須竜はその状態からボディブロウ・・・お、女の子にやる技じゃないのです!>


「はうッ!」


<警察署の入り口付近の壁に叩きつけられてしまったのです。マ・ペットは寄生しても痛みは共通しないから痛くないけど思いっきり攻撃を喰らって悔しいのです!>

<すぐに反撃開始なのです!>


「ゲホッゲホッ・・・ッ」


<? 勝手に咳が出たのです>

 イタタタタ・・・。

<おや?>

 う、うう・・・、お腹が・・・痛い・・・。

 なんでしょうこのお腹の痛み・・・病気とかの腹痛じゃない・・・まるで鉄球やボーリングの玉が凄まじい速度で当たったみたい・・・。

<あ、ハルちゃん目を覚ましたのですね。ならバトンタッチなのです! 目の前の悪党をやっつけるのです!>

 目の前の・・・悪党?

 何を言って・・・っていうかここはどこですか⁉

 なんでわたし家の外に?

 さっきまで寝ていて・・・って・・・


「うわあああああああ⁉⁉⁉」


<ど、どうしたのですか⁉>

 ななな何この格好⁉

 どどどどうしてこんな恰好を⁉

<この服はこの前説明した通りエマちゃんが悪党をやっつけているときに着ていた魔法少女服なのです>

 そうじゃなくてなんでわたしが着ているのか聞いているんです‼

<ハルちゃんは平和のために戦いたいけど乗り気じゃなさそうなのでアイちゃんが代わりに引き受けたのです。だから服装も魔法少女らしくしているのです>

 だからって勝手にわたしの体でこんな恥ずかしい恰好をしないで下さい‼

<恥ずかしくないのです! エマちゃんだってこの服を着て戦っていたのです! さあ、スカートから手を放して戦うのです!>

 この風の強い状況で手を放したら大惨事です‼

 それにエマちゃんは平気でもわたしは平気じゃないんです‼

 というかこんな格好、誰かに見られたら・・・。


「ん? ・・・黒場の様子が・・・?」

「くくく黒須君⁉」


 どどどどうして黒須君が目の前に⁉

<この男はこの姿を痛い子と貶したので処刑中なのです。だけどドロップキックは躱されてしまったのです>

 きききキックゥ⁉

 ななななんてことをしてくれたんですかあ‼

 それじゃあ黒須君にスカートの中が丸見えじゃないですかあ‼

<大丈夫なのです。この男はこれから処刑するのでなんの問題も無いのです>

 大問題です‼


「なんだ? 急に人が変わったように大人しく・・・?」


 黒須君は怪訝そうにわたしを見ていますが、それよりも黒須君に聞かなきゃいけない事が・・・。


「・・・黒須君、聞きたいことがあります」

「・・・なんだ?」

「黒須君はわたしのスカートの中、見たんですか?」


 わたしがそう言うと黒須君は哀れみ3割、呆れ7割の表情を・・・やっぱり・・・ッ


「お前、そんな短いスカートで暴れ回った上に足技までやって何も見えないとでも思っているのか?」


 ~~~やっぱり・・・見られ・・・ッ


「い、いやああああああああああああああ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」


<ハルちゃん、叫んでいる場合じゃないのです! スカートから手を放して武器を持つのです! そして立ち上がってあの悪党をやっつけるのです!>

 もうダメ・・・もう外歩けない・・・

 黒須君に一生痴女扱いされるんだ・・・。

<ハルちゃんが完全に恥じらう乙女モードになっちゃったのです>


「やはり問題行動を起こしたな」


 ・・・この声はラウジーさん?

<隣には直実さんもいるのです>


「メイ、見ての通りだ。あのマ・ペットを実戦で使うのは危険だ。諦めた方がいい」

「・・・そうね」


〈なんだか直実さんは残念そうなのです〉


「クロバ=ハル、これを着るといい」


<ラウジーちゃんは大きなコートをハルちゃんの背中に乗せてくれたのです>

 この恥ずかしい恰好を隠せるからありがたいです。


「すまなかったクロバ=ハル。君の体内にいるマ・ペットが自由行動でどう行動するか知りたくて強力な睡眠薬を渡した」


 もしかしてアイリスちゃんがわたしの体を使うのを見越して?

 7宝具を返却しなくていいって言ったのもアイリスちゃんが7宝具を使うのを予想していたって事?


「ここにいるナオミ=メイがマ・ペットを戦力として迎え入れたいと言うからテストをした。それにクロス=リュウの訓練相手にもなって欲しかったからね」

「黒須君の訓練相手?」

「ああ。クロス=リュウは模擬訓練もしているし実戦でもかなりの経験をしている。しかし実戦では格下の相手ばかりだからある程度実力の近い相手と戦ってもらおうと思ってね」

「ちょ、ちょっと待てラウジー! 俺は希望の首飾り(ホープ・ペンダント)を使っていない状態で襲われたんだぞ⁉ 避けるの失敗したらどうするんだよ⁉」

「僕は君なら避けられると思っていた。それにいざとなったら、僕なら防げるのは君も知っているだろう?」

「ぐッ・・・ぬう・・・」


 黒須君、何か言いたそうですけど全く反論しない・・・。

<ラウジーちゃんは超能力でもあるのでしょうか?>


「それに、マ・ペットのテストもできた。結果、不合格だ」


 不合格?


「性格に問題あり、7宝具を無断で使用、殺人未遂、殺処分だ」

「え? 殺処分?」

「そうだ。マ・ペットは本来発見次第殺処分の存在だ」

「発見次第殺処分って、どうしてですか?」


<そうなのです! アイちゃんは善良なマ・ペットなのです!>


「・・・ハルちゃん、もし連続殺人犯を捕まえたらどうすればいいと思う?」


 答えたのは直実さん。

 なんだかとても残念そう・・・。


「どうって・・・やっぱり動機や証拠とかを調べて裁判で相応の判決を下してもらうべきでは・・・」

「そうね。普通なら犯行動機や証拠があればソイツを有罪にできるわ。・・・でもね」


 直実さんは大きな溜息を吐きました。


「もしその殺人犯が『俺は()っていない。マ・ペットに操られただけだ』・・・って言ったらどうする?」

「あ・・・つまり、マ・ペットの犯行という事にして罪から逃れるって事もできる・・・って事ですよね?」

「そうよ。最悪、連続殺人犯を無罪で釈放しなくちゃいけない場合もあるの。厄介な事にマ・ペットは体内にほとんど痕跡を残さない上に数日もすれば痕跡が自然消滅する性質なの。痕跡が消えた後では事実確認が難しいの。マ・ペットの存在を世間に知られるって事はそう言った危険も孕んでいるのよ。それだけは絶対に阻止しなきゃいけないのよ」

「でも、アイリスちゃんはそういう犯罪は・・・」

「しただろ。先程、クロス=リュウを殺そうとした」

「違うのです!」


 アイリスちゃん、わたしの身体からでてきてラウジーさんに猛抗議をしています。


「こ、コレが黒場の中に入っていたマ・ペットか・・・?」


 さすがの黒須君も全長1mのカマキリさんには驚きを隠せないみたいです。


「この黒須竜は魔法少女を貶したのです! だから制裁を加えただけなのです!」

「君の言っている事は悪口を言ったから相手を殺害しようとした、だから殺人は許されるという事だよ」


 ラウジーさん、もうアイリスちゃんを完全に犯罪者扱いをしている目です・・・。

 しかも殺処分する気満々です・・・。


「高いスキルはあるが、これだけ性格に問題があるのなら味方にするのは危険だ。このまま放置も危険だ。生かしてもこちらに損害が出るだけだ。ハンク、『SK-18-12』を」


 いつの間にかにラウジーさんの隣に高校生くらいの男の人・・・この人がハンクって人でしょうか?

 身長は180cmくらい、ロシア系な顔立ちで男性にしてはややスリムな感じです。

 右手には注射針、もしかしてアイリスちゃんを即死させる薬⁉


「ヒィ~‼ 避難なのです!」


 アイリスちゃんは猛ダッシュ、だけど1Mも走らないうちに地面に這いつくばりました。


「はうッ、か、体が重いのですッ・・・」


 身体の上に重くて巨大な岩が乗っかっているかのようにアイリスちゃんは腹這い状態になっています。


「無駄だ。僕は半径10kmまでの距離までなら好きな場所の重力を操る事が出来る。最大1万倍まで重力を上げる事が出来る」


 重力を操作・・・?

 そんな事が・・・と言いたいけど、ラウジーさんは自分の見栄を張るような人じゃないしアイリスちゃんが身動きが出来ないのを見ると、言っている事は本当でしょう・・・。


「ハンク、早速『SK-18-12』を。シェリー、このマ・ペットが何秒で死ぬか計測を」

「ええ」


 いつの間にかに今日の下校中に長野さんを保護したシェリーという名の女性もハンクって人の隣に。

 シェリーさんの左手にはストップウォッチらしき物、ハンクさんの右手には緑色の液体が入った注射針が・・・アレってやっぱりマ・ペットを即死させる薬⁉


「ま、待って下さい‼」


 まずはアイリスちゃんの前に立ってハンクさんの処刑を止めないと‼


「確かに問題行動は起こしました。けど、普段からこういう事をする子じゃないんです!」

「つまり、日頃の行いがいいから殺人未遂はしてもいい、死刑は免除しろと?」

「そ、そういう訳じゃ・・・」

「このマ・ペットは短慮な思考で殺人未遂を犯した。また同じ事を繰り返す可能性は高い。誰かが死んでからでは遅い」

「なら、わたしがちゃんと見張って・・・」

「君が眠っている時はどうする? 寝ている隙に今日みたいな事があるかも知れない」


 ああダメだ、ラウジーさんに何を言っても論破されてしまう・・・。

 このままじゃアイリスちゃんが・・・。


「なら、わたしになにか出来る事は⁉」

「君がテキンノ・ズオープを使って戦場で多くの功績を残せるのならそうしたいが、君は人を殺せない。それじゃあ、できる事は限られる。宝の持ち腐れだ」

「それじゃあ、どうすれば・・・?」


 わたしは7宝具が無ければただの人間・・・アイリスちゃんもいなければラウジーさんにとって・・・いえ、ラウジーさんじゃなくてもわたしは何の価値もない・・・。

 無力な自分が情けない・・・。

 でもこのままじゃ本当にアイリスちゃんが・・・ッ。


「クロバ=ハル、このマ・ペットとの融合で得られる治癒能力の高い液体は1日にどれくらいの量が出せるか分かるかい?」

「え? あの液体ですか? アイリスちゃんが前に1度に500㎖出した事があると・・・」

「なら警察側に1日500㎖提供する、それが生かしておく条件だ」

「え?」

「君のクラスメイト、ナガノ=カグヤに付着した液体をサンプルに調べたらこのマ・ペットの液体は微生物を除くほとんどの生物に適合する治癒効果があると分かったかなり利用価値がある」

「それじゃあ・・・・」

「拒むならここで処分するだけだ」


 つまり、協力すればアイリスちゃんは助かるって事!


「アイリスちゃん、もうわたしの身体を勝手に使わないって約束できますか?」

「しないです~!」

「ラウジーさん、アイリスちゃんは嘘をつかない子です。どうか信じてくれないでしょうか?」

「分かった。ハンク、『SK-18-12』の投与は中止だ」


 よかった、ラウジーさんの指示でハンクさんは薬をケースの中に閉まってくれた。


「あ、体が動くのです! 自由になったのです!」


 アイリスちゃんがジャンプをしているのを見るとどうやらラウジーさんは重力を操作するのをやめてくれたみたいです。

 良かった、アイリスちゃんは死なずに・・・


「代わりに『TG-17』を」

「ああ」


 え?


「痛い!」


 ハンクさんは何か別の注射針を⁉


「ひィ~~~! な、何を打ったんですか~⁉」

「マ・ペットを24時間後に死滅させる薬だ」

「嘘つきなのです! さっき助けるって言ったのに~!」

「誰が君を『無条件』で助けると約束した? 君は悪口を言われただけで殺人を犯す程の凶悪なマ・ペットだ。猛獣を飼う際に近隣に被害が出ないよう鉄の鎖で繋ぐのと同じだ」


 そ、そんなそれじゃあどの道アイリスちゃんが死んじゃうって事⁉


「で、でもラウジーさん、それじゃあ1日に500㎖液体を寄付するのは・・・!」

「『良い子』にしていたら今打った薬の効果を24時間止める薬を打ってあげるよ。ちゃんと僕の指示に従い、1日問題を起こさなかったら死ぬ心配は無いよ」


 つまり、ちょっとでも命令無視や問題を起こしたら命の保証は無い・・・という事ですよね。

 ・・・やっぱりラウジーさんは少しの悪事も許さないしさせない性格だしそれを実行する凄まじく行動力のある人だ。

 自分の管轄内の問題は一切許さない人なんだと痛感させられます。


「さ、今日は解散だ。クロス=リュウも帰宅して良いよ」

「え? 暴走族の討伐は?」

「ソレは嘘だ。このマ・ペットの全てを証明するためにだ」

「なッ・・・ハァ。分かったよ」


 黒須君、ラウジーさんのこういう行動に慣れっこなのか、嫌そうだけど全く反論しません。


「クロバ=ハル、君も帰宅するといい。液体の提供は明日からだ。学校の登校前に北総合病院に来るといい」

「はい」


 確か義兄が2ℓの強制献血をしに行った場所ですね。


「それとマ・ペットのアイリスは今夜僕と一晩過ごしてもらおう。君には出生から現宿主のクロバ=ハルや前宿主ナグモ=エマと出会うまでの経緯をじっくり聞きたいからね」

「そ、その目は食材になる生き物殺す人の目なのです~!」

「君に食材になる『価値』があるならそれもいいな」

「ひいい~! ハルちゃん、助け欲しいのです~!」

「そう言われてもアイリスちゃんがラウジーさんの言う通りにするしかないですし・・・」

「そ、そんな~!」


 それより明日から少し早起きしなくちゃ。

 この恥ずかしい服も脱ぎたいですし。


「ハルちゃん、アイちゃん死にたくないのです~~~!」

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