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準魔法少女  作者: ザキ・S・レッドフィールド
第1章・準魔法少女の始まり
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準魔法少女、引っ越し先へ・1

「ふざけんな‼ 戦場にスカート穿いて出撃する女なんざ馬鹿か痴女だあ‼」


<むむむ、黒須(くろす)(りゅう)はまたしても魔法少女への悪口を言っているのです!>


「中学生にもなってそんなミニスカなコスプレしているテメエは馬鹿だ‼ 痴女だ‼ 変態だあ‼」


<ハルちゃん、かまう事は無いのです! あの悪党を・・・黒須竜をやっつけるのです!>


「・・・どうして・・・どうしてこんな事に・・・」


 わたしはただ、眠っていただけなのに・・・。



 ・PM5時5分:黒場家玄関前

「ハル、着いたぞ」


 お父さんに言われてわたしは窓の外を見ました。

 目に入るのは赤い屋根の普通の一軒家。

 今日からわたしが暮らす家です。

 お父さん、そして『新しいお母さん』と・・・。

 『お義兄さん』もいると聞きました。

 わたしの名字も東雲(しののめ)から黒場(くろば)に変わるし、新しい生活に馴染めるか正直不安です。

 新しい中学校も馴染めるかも不安です。

<・・・う~ん>

 アイリスちゃん、起きたんですか?

<はい、よく眠れたのです>

 車の運転中はずっと寝てましたね。

<退屈対策は寝るに限るのです。ところでもう着いたのですか?>

 はい。

 家の前で出迎えてくれている女性が多分私のお義母さんになる人でしょう。

<あの女の人は50歳くらいなのです>

 年相応に老けてるけど顔立ちが綺麗です。

 この人がお義母さんになる人・・・。

 とりあえず車から降りて早速挨拶をしなきゃ。


「は、初めまして。東雲・・・いえ、黒場ハルといいます。よ、よろしくおねがいします!」


 ふうぅ、緊張して声がうわずってしまいました・・・。

<そのくらい気にする必要ないのです。新しいお義母さんになるその人も気にしてないみたいですよ>


「いらっしゃい、ハルちゃん。今日から私があなたのお母さんよ。困った事があったら遠慮なく

言ってね」


<ほら、大丈夫なのです>

 はい、とっても優しそうな人でした。

 温かい笑顔は見ていてホッとします。


「さ、中に入って。さっそくお茶を出すわね」


<お、家の中から男の人が出てきたのです>

 私のお義兄さんがいるって聞きましたから、その人でしょうか?

<昼寝をしていたのでしょうか、なんだか眠そうなのです>


「ふぁ~。あ、もう着いたんだね」


 中から出てきたのは20代半ばくらいの男性で優しそうな雰囲気の人ですね。

<この人がハルちゃんのお義兄さんになる人ですか?>

 外見年齢的にそうだと思います。

 身長は180cmくらい、自分のお義兄さんになる人にこんな事いうのは変かも知れないけど、顔は優男系で良い顔立ちだと思います。

<そうですか? アイちゃん的には並みよりちょっと上程度だと思うのです。それよりこの人普段何やっている人ですか?>

 確か刑事さんだと聞きました。

<刑事⁉ すごいのです! カッコイイのです!>

 それにしてもなんだか眠そう・・・というより寝起きのように見えますね。


「やあ(がい)君、久しぶり。眠そうだが昼寝でもしてたのかい?」


<ハルちゃんのパパはあの男性と知り合いみたいなのです>

 確か再婚前から知り合いだと聞きました。


「お久しぶりです、(げん)さん。今日は夜勤だからさっきまで寝ていました。あ、お義父さんって呼んだ方がいいかな」

「気にする事は無いよ。今まで通り『元さん』でもいいよ。さ、ハル、彼が君のお義兄さんになる人だ」


 どうやって挨拶しようかな。

 鎧さんって呼べばいいのかなぁ。

 それとも『義兄さん』みたいな呼び方の方がいいのでしょうか・・・。

<ハルちゃんが悩んでいるのを見透かしたのでしょうか、鎧って人の方から声をかけてくれましたのです>


「初めまして、ハルちゃ・・・え? ラウジー君⁉」

 

 わたしの顔を見た瞬間、少し驚いた表情をしました。

 まるで「何故君がここに?」と言いたいかの様な表情なのです。

 態度からして嫌いな人を見る目ではないようですが・・・『ラウジー君』と君付けで呼ぶって事は男の子と間違われたのでしょう。

 髪型がショートだし、わたしが男の子っぽいからかも知れないですけど・・・。

<そんな事はありません! ハルちゃんは未来の魔法少女なのです! その鎧って人の目が悪いだけなのです!>

 未来の魔法少女って・・・。


「どうしたんだい鎧君?」

「あ、すみません元さん。職場に彼女にソックリな子がいるのでその子かと思ってビックリしてしまいました」

「そうだったのか。ハル、お前も挨拶しなさい」

「はい。黒場ハルといいます。よろしくお願いします」

 

 よかった、今度はしっかり言えました。


「よろしく、ハルちゃん。さっきは『君』付けで呼んでごめんね。女の子に『君』は人違いとはいえ失礼だったね」

「い、いえ。気にしていません」

「そうか。それならよかった。あ、でも心配しないで。ラウジーって子はかわいい女の子だから君が男の子っぽいって訳じゃないよ」

「え? その人、女性なんですか?」


 女性なのに君付けで呼ぶのはどうしてでしょうか?


「ああ。その子、性同一性障害の子なんだ」


 性同一性障害って自分の性別を別の性別だと思いこむ、心の病気・・・。

<そんな病気があるんですか?>

 はい。

 それで学校とかで制服を男子用にするか女子用にするかで揉める事もあるとか・・・。


「だから女の子扱いするとすごく怒るんだ」


 鎧さんは少し困った表情をしています。

 きっとその女の子に日頃からかなり怒られているんですよ。


「それで君付けで呼んでいたんですね」

「さ、立ち話の続きは家の中でしよう。いつまでも外で立ちっぱなしという訳にもいかないだろう」

「そうね。さ、みんな中へ入って。お茶を入れるから」

「あ、わたしも手伝います」


<あのおばさん・・・じゃなかった、ハルちゃんのお義母さんがやってくれるって言ったんだからやらなくてもいいのですのに>

 いいえ、やっぱりなんでもやってもらうのはよくないと思うんです。

 それに家事は前の家ではあんまりやってなかったので覚えるいい機会だと思います。

<それじゃあレッツゴーなのです!>

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