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傷だらけのバンビーノ  作者: 川崎殻覇
交わる世界、翡翠樹の元に集うのは何者か?
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「親父…何してんの?」


 改めて聞いてみる…こう見てみると事案にしか見えねぇな…。


 親父の見た目は…あれだ、筋骨隆々で、顔が厳つくて、そんな見た目の人間がボロボロの人間を踏みつけている…傍目から見ると裏社会の人間にしか見えねぇな…。


「見たらわかんだろ?うちの可愛い早苗を傷付けたクソ野郎をボコしてんだよ」


「あ、そうなの?ならいいや」


 うちの妹を傷つけるとは太ぇ奴だ…。それと、よく見たら塀とかボロボロになってんな…あとで直しとこ。


「護君!?無事だったんですか」


「おう…あの、何で輪廻がここに?」


 威勢よく返事したが…まだ授業中の筈では?


「まりんさんが突然教室を飛び出したので、心配ですから私も追いかけてみたんです」


「あぁ…それはまりんがお騒がせを…だけど、何で俺の家に?まりんを追わなかったのか?」


 輪廻がまりんを連れ戻そうとしたならそっちに入る筈では?


「それはですね…まりんさんが『樹海の導き』に入るのと入れ違いに。護君の荷物を持っていた人がいたんです。そちらを追いかけてみたところ、護君の家に着いて…少し戦闘になったというわけです」


「ん?…もしかして、俺を心配してここに?」


「えぇ、そうですよ?…最近は何か大変そうでしたから…でも、一つだけ言わせてくださいね?」


 すると、泣いている早苗を抱っこし、俺に迫ってくる…近くね?


「…少しは、私のことも頼って下さいね?…護君が借りを作りたくない人ということはわかっていますが…少し寂しいです」


「……あー、うん、わかった。次からは相談するわ」


 こんなに近くに迫られたからか、自然と輪廻の顔に視線を寄せてしまう。


 そして、その表情があんまりに悲しげな表情をしてるもんだから、ついそんなことを言ってしまった…。


「そうして下さいね?…ん?…あ!忘れてました!」


 突然、輪廻が声を上げる。なんだ?


「実は他にも追っ手がいたんですが…護君の家から出て行った人を追いかけてしまったんです…」


「え?…あぁ、あまりにショッキングすぎてあいつらの存在忘れてたわ…」


 親父なんてまだ踏んづけてるし…いいぞ!もっとやれ!


「私もすぐに追いかけたかったんですけど…その時は少しピンチな状況でしたので、追うに追えず…それに…」


 そして、視点を抱いている早苗に向ける…。


「あー、言わんでいい。…むしろありがとな、早苗を見てくれて…あとは俺達に任せろ」


 泣きついている早苗を剥がせなかったんだろうな…。本当に申し訳ない…。


「あ、護?件の追っ手だがな、近くの公園の方に走って行ってたぞ?」


 男を踏むのに飽きたのか、親父が会話に入り込んでくる…うわ、めっちゃボロボロ…可哀想とは思わんが。


「近くの公園って…熊公か?」


 熊の像がある公園だから熊公…正式名称は知らん。


「確かそこだったな…俺は母さんから連絡を受けて、急いで家に向かってる最中に見た…結構前に見たから…お友達危ないんじゃないか?」


 あまりに能天気に行ったもんだから情報を飲み込むのに数秒掛かった…は?


「それを早く言えよな!まりん、行くぞ!」


「えぇ、わかったわ」


 急いでまりんを連れて走り出す。…あいつら、無事だといいんだが…。




 ────


「行ったか…やれやれ…」


 護君のお父様は走り去っていく護君達を尻目に、先程まで踏んづけていた男の人達を紐で縛っていく。


 …『テメェら!うちの娘に何してんだ!あぁ!?」


 あの危ない状況…突然尋常ではない怒声が護君の家の周辺に広がりました。


 私はその時のお父様の姿を見ていたんですが…本当に申し訳ないんですが…正直怖かったです。


 そんな怒声が響き渡り、ボウガンを構えていた流石に振り向いてしまったようで…。


 私達を狙っていたボウガンを持っていた男も、お父様の姿にビックリしたのか慌てて矢を射ってしまいました。


 危ない…!と声に出す前に、お父様はその放たれた矢を手刀で叩き落としてしまいました…矢の数、複数本あった筈なんですけど…。


 そして、そのままの勢いで男達に迫り、襟首を掴んだかと思うと…。


 そのまま強引に投げ飛ばし、結構な速さで塀にぶつけていました…あの投げ方、ボールを投げる様な感じでしたね…とても真似出来ません。


 そして、次々と敵を無力化しているのをぽかんと眺めていたら…。


『これで最後…っと…早苗ッ!無事か!…って、輪廻ちゃん?』


 …………これがさっきまでの顛末。そのあとは、落ち着いたお父様がにこうなるまでの経緯を話したら、お父様は更に怒ってしまい、襲ってきた人達を踏んづけてしまいました…。


 止めようとはしましたが…あの雰囲気のお父様を止める勇気は私にはありませんでした。…これでも人と喋れる様になったのは最近ですので…。


「あの、お父様?…護君を行かせてしまってよかったんですか?」


「ん?…あぁ、心配してないのかってことか?」


 最後の一人を縛り終え、こちらに振り返るお父様。


「まぁ心配してないって言ったら嘘になるけどよ…俺ぁあいつの父親だからな!俺の息子ならこんぐらい対処できるだろ」


 ガハハ!と豪快に笑いながら、そう言うお父様には、護君に対しての絶大な信頼が見て取れました。


「そうですね…護君ならきっと大丈夫ですね…!それにまりんさんもいますし…あ、すみません…一つ質問いいですか?」


 少し気になってしまったので聞いてみます…失礼だとは思うんですけど…。


「ん?なんだい?」


「その…お父様は昔ダンジョン探索者をしていらしたんですか?」


 お父様の動きは明らかに素人ではない…しかし、武術をやっている人間の動き方とはまた違う。


 何と言うか…戦うことに手慣れている様に感じます…なのでダンジョン探索者をしていたんだと推測したのですが…。


「いんや?俺はダンジョン探索者じゃねぇな、ごく一般的な自営業だな。あと、勘違いしてるかもだが、俺は異能持ってねぇぞ?」


「え!?」


 多分、人生で一番びっくりした瞬間だったと思います。


「何だっけか?…ミオ…なんたらかんたらっていう体質でな…生まれつき力が強えんだ」


 …おそらくお父様が仰っているのはミオスタチン関連筋肉肥大…遺伝子の異常により筋肉が異常発達してしまう現象ですね。


 だからあんなにも軽々と人を投げ飛ばせたんですね…。


 お父様の場合は体格がいいのも関係しているでしょうけど…身長が目算で…大体百九十後半ぐらいでしょうか?…それでいてこの体格…。


「そのせいで昔は苦労したが…今こうやって美聖やガキ共を守れるならこの体質でよかったさ」


 護君とそっくりに豪快に笑うお父様…うーん。本当にいい人なんですけど、周りから誤解されそうなタイプですね…。


 …あれ?だけど何であんなに戦闘慣れしていたんでしょうか?


「さて…手持ち無沙汰になったところで…よかったら護が帰って来るまでうちに寄ってきな!早苗を守ってくれたお礼もしたいし」


「え?…い、いえ、一応早退したとはいえ、今日は授業のある日ですから…今日はもう帰ろうと…」


「いいじゃねぇか!早退したんなら何しようとも学校は何も言えねぇよ!ささ、入って入って!」


「あ、あのー…!」


 強引に引き止められ、家の中に案内されます。…護君のお父様に対しての疑問はその勢い押され、何処かに行ってしまいました…。


「あ、それと。一々お父様って言うの仰々しくて嫌だからよ、義時って呼んでくれや」


「わ、わかりました…義時…さん」


 本当に…いいのかなぁ?

ここで初登場。護の父親こと、桐崎義時です。

存在としては結構出てきてはいましたが、話したり、名前が出たりするのは初めてでしょうか?

他の兄弟なんかもいつか出したいですね…今んところ出すことが決まっているのは姉だけですけど。

それと、護達の正確なプロフィールを出していなかったのでそのうち出そうと思います。いつ書くかは…わかりませんけど…。

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