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傷だらけのバンビーノ  作者: 川崎殻覇
永遠に抗うサブマリン
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33

 石鹸で体を清めた後、心情的に先に進めなかったので、今日のところはここで探索を終える…。


 あの血飛沫は本当に酷かった…だって羅刹のチャージ?がもう一回貯まるほどの血液の量を一身に受け止めたんだ…酷いにも程がある。


 しかし、辛いことは溜めないでリフレッシュ!リフレッシュ!ははは!……はぁ。


 ダメだ…自分の体が一回汚物まみれになってしまったことに耐えきれない…これが食えるものなら別にいいんだ…食物ならね?


 しかし俺の身に襲ってきたのは汚物を超えたナニカ…あぁ…!思い出すのも嫌だ…寝よう。


 一度寝ることにより気分も少しは治り、ダンジョン攻略を再開する…昨日はショックを受けすぎてあの大爆発クソクジラを相手するだけで終わってしまったからな…ここからは更にペースを上げよう。


 相変わらず雑魚敵はそこまで脅威ではない、だから、印象に残ったモンスターだけモンスターだけをピックアップする。


 三十五層、見た目は巨大なシャコガイだな。羅刹の攻撃が全く通じず本当に焦ったが、そういえばチャージが溜まっていたことを思い出して一閃…綺麗に割れた。あのクソクジラのとの戦いの負の遺産を吐き出せてスッキリ出来た。その際中々にデカい真珠?を取り出せたので二人に進呈する…途轍もなく喜んでくれた。


 四十層、これをクリアすればD級ダンジョンならばクリアとなる。モンスターはあのクジラよりもデカい魚で、あれ?これ倒せるわけなくね?という感情とクソクジラを思い出して、一瞬本気で諦めかけたが、よくよく見てみると、正体は沢山の魚が集まった魚影だった…いや、普通一匹一匹の魚マグロ並みにデカいんですけど…。


 つまり、あれだ…。ス○ミーだな。しかし大量の質量という点は間違いない、これを一匹一匹倒していたら餓死することはないが、遥かな年月が過ぎたことだろう…それは困る。


 最初はちまちまと倒していたが、倒していくうちに、魚影の中に明らかに目立つ存在がいた。


 いや、別に派手な形ではない、むしろ地味だ。だが他の魚達とは違い、少し体が大きい、他の魚は微妙な差はあれど、そこまで体の大きさに差はなかったからな。


 しかしこの魚影の中に入るのは自殺行為…すぐさま引き千切られてしまうだろう、なので、この仮称ヒュージス○ミーの行動パターンを三十分程観察し、大凡の事がわかったところで、あるタイミングで『フィーッシュ!』と大きく叫びながら羅刹を思いっきり突き刺す…思いっきり釣りをしてる気分だったな、これが釣りなのかは定かではないけど。


 別に叫ぶ必要はなかったけど、気分的にね?まぁ、叫んだ効果かどうかは知らないが、目的のボスス○ミーを釣り上げられた。


 その瞬間、ヒュージス○ミー達は統率力を失い散り散りになり、次の階層の扉が開いていた…多分だけどあのボススイミーを倒した時に開いたんじゃなかったか?


 言うのは容易いが、本当に集中力を使った…この大量の群れの中にある、特定の一匹に気を配りながら、攻撃を避け、そのタイミングを把握しなければならない…ひっさびさに脳味噌全開で使ったわ…。


 しかし成功した時の快感といったらね?……二度とやりたくはないが、そこだけは良かったな。


 次、四十五層…この時点でC級以上ってことが確定してしまった…ま、頑張るしかない…んで、四十五層は……特に特筆することないな、めっちゃグロい見た目した軟体生物だった。捌いて終わり、ちなみに美味しかった。


 五十層、見た目は本当に小さなクラゲだった。しかし最初の選択肢がよくなかった。羅刹で一刀両断してやったんだが、そしたら体が二倍に膨張して二匹に増えやがった…その時点で攻撃をするのを止めた…これが正解だったな。


 その後はヒュージス○ミーを倒し続けているうちに溜まった血装(羅刹の吸血チャージを使う大技)を使って二匹同時にこの世から消滅させた…もしあのまま攻撃してたらと思うと…考えたかねー…。


 そして…現在……。


「キッ……………ついわ!ボケ!」


 つい最近の海の覇者である白黒の模様のつぶらな瞳を持っている海中最強生物。シャチさんと戦っていた。


 唯のシャチだったら別にいいんだ…。それだったら今の俺でも対処できる。問題は………。


「なんだよっ!そのオプション…!」


 なぜか!このシャチは腹部に少し出っ張りがあり、そこから子シャチをミサイルのように発射していた…なーんでシャチにミサイルを発射する機構があるんですかねぇ…!


 しかもその子シャチミサイル、追尾してくんだよ…そりゃ生き物?だと思うから自律的に動くのは別に不自然じゃない、でも…。


「本体も一緒に突っ込んでくるのは可笑しいだろぉ!ミサイルいらねぇじゃん!」


 子シャチミサイルと親シャチのコンビネーションが本当に厄介…しかも…。


「親シャチが二匹もいるなんて…これ無理臭ぇな…!」


 シャチは確か群れを作るんだったか?親シャチ二匹と子シャチ四匹…合計六匹のコンビネーションに翻弄されまくっていた…なんならこいつら俺の動きを段々予測してきている…!


 シャチは恐ろしく頭がいいらしいからな…俺の動きを読むなんざ容易いんだろう…なんとか打開しなければ…!


 本気で集中する…先ずは一匹…一匹でいい、一匹始末してしまえば状況が変わる筈だ…今はそれ以外のことは無視していい…。


 悪いな…爺さん…、少し約束破るぜ…!


 この子シャチも中々に頭がいいが、それでも親シャチほどでは無い。それに多分だが、この子シャチは親シャチの命令を受けて行動している。なにせ、俺が羅刹を構えて斬り掛かろうとしても一切の動揺が見られなかった。こんなに頭が良い生物がだぞ?


 知性を持つ生物は多かれ少なかれ様々な恐怖を持つ、痛みへの恐怖、死への恐怖…それが見られないってことはその恐怖すら上回る何かがそいつの頭の中を占めてるんだろ。


 でもな、人間はその恐怖すら飲み込み前に進む、恐怖を知らないのではなく、恐怖を知りながら進むのは人間だけの特権…!


 親シャチ二匹が計四匹の子チャチを飛ばしてくる…一対の子シャチは何とか避けたが、もう片方の二匹は避けきれなかった…いいだろう、それは甘んじて受けてやる…!だが………。


 本命は…!


「テメェだぁぁ!!」


 俺が避けきれず子チャチの攻撃を受けたのを確認した親シャチの一匹が止めを刺すべく、俺の顔…頭を食い千切ろうと突進してくる…そこが狙い目!


 頭に顔を顰めながら親シャチの攻撃をスレスレで避ける、そしてこの一撃で仕留めるべく首元…まぁ取り敢えず首だ!


 何度も何度もネチっこく攻撃してきやがって…このイライラの対価はテメェの首で勘弁してやる。


 円を描くように羅刹を振るう、その円弧は親シャチの首を正確に捉え、首と胴体を別れさせる…っしゃ!先ず一匹!


 そして腹に噛み付いている二匹の子シャチの挙動がおかしくなる、やはり超音波かなんかで意思の疎通をしてたっぽいな。


 子シャチ達をを無理矢理引き離す、その際多少肉が千切れたが、こんくらいの痛みなら屁でもねぇぜ……あ、でもやっぱ痛い…ちょっと後悔。


 子シャチと暫定的に言ってるけど、普通に大きいからな?あとミサイルのような速さで噛み付いてくるし…肉が繋がってるだけでも有難いと思おう…。


 なんとか子シャチの内、一匹の首を縊り落とせたが、もう一匹には逃げられてしまった。


 さてさて…これでだいぶ楽になる筈…と思ったが…。


「ピィィエエエエェェェ!!!」


 残った親シャチが甲高い奇声を発する。うるせぇ!


 あまりの爆音に耳を塞いでしまう…だが目は離さない。


 これは…番を殺された悲しみなのか、子供を殺された悲しみなのかどうかは分からないが、様子からしてこれまでと変わってくる気配がビンビンする…ゲームで例えるなら発狂モードか?


 その甲高い音が鳴り止むと同時に、親シャチがとんでもない速さで突っ込んでくる。


 素早く横に避けようと思ったが…体がうまく動かない…あ?もしかしてあの奇声か?


 考えてる時間は無い、少々無様な格好だが、なんとか体を動かして避ける。


 その際親シャチの歯が少し掠る…掠っただけなのに、俺の体を大きく吹き飛ばした。


「く……そがぁぁ!」


 なんとか受身を取り、体制を直す。掠るだけでこの威力ならとてもじゃないが受け止められんな…。


 視界の隅にもう一度こちらを俺に向かって来る親シャチの姿が…。


 舐めんなよ?テメェがキレただけで実力が増すなら俺だってブチギレてやらぁ!


 今の俺の体には血が滴っている。久々に発動するぜ…!


 流血により先程よりも力が増すのを感じる…それに、もう逆転の為のタネは撒いた…!


 それを確実にするためには…最低でもあと一回は受けなきゃならんか…仕方ねぇ!ここが勝負所だからな、甘んじて受けようじゃねぇか。


 親シャチの突撃…頑張れば避けれはするが、心意を押し潰し、そのまま棒立ちになる。


 そして、親シャチは俺を食い千切る…わけではなく、そのまま咥え、猛スピードで部屋中を泳ぎ回る。


「ごぉっ………がぁ…!」


 噛まれた腹を起点にくの字に体が曲がる程の空気抵抗を受け…そしてときおり親シャチが頭を激しく振る…グゥぁ!…この野郎…仲間が殺された腹いせに俺を徹底的に痛めつけようってか…。本来なら余裕で体を引きちぎられているのに、俺の胴体が繋がっているのが証拠だ。


 いいぜ…付き合ってやるよ…我慢比べなら得意だからよ……!


 四方八方、景色が上へ下へ…体の中の液体という液体が激しく流動しているのがわかる…。


「ぐぅぉぉぉおおお……!オォエ!ゴボォッ…」


 視界が真っ赤に染まる…クソ…信条として食ったものは絶対に吐き出さないという誓いも果たせそうにない、吐瀉物と血をミックスさせたものを吐き出している感覚がある。


 耐えろ…耐えろっ!…あ?


 揺れる視界。俺へと駆けつけようとしてくれているまりん?…の姿が見える。


「ガホッ……まりぃぃん!!!テメェは…!グッ…裏葉を見てろ!…敵は…こいつ一匹じゃねぇ!!」


 血管という血管がブチ切れる感覚を嫌というほど味わいながら、まりんに向けて叫ぶ。


「…………も……!」


 まりんの声が遠い、あん?鼓膜も破れたか?だが何かを訴えかけているのはわかる。


「こいつ……は…!俺に任せ……ろ!ォォエ!……いいから…ゴボッ…すっこんで……ろ!」


 まだか?まだなのか?我慢比べにも限度があるぞ…!?


 まだ意識は保てている、全力で握力を込め、羅刹も握っている…この二つを落としてしまったら本当に勝機が消え去ってしまう…!


 そして遂に…その時が来る。


 途端に襲って来る浮遊感…重力という当たり前の事象に従い、俺の体は地面に落ちる…へ、へへ…!やっとか…!


 地面にぶつかる衝撃に耐えようとするが…その衝撃はいつまで経ってもやってこなかった。


 いつの間にか、まりんが俺の真下に移動していたようだ…俺のことを優しく受け止めてくれる。


「…!……………!!」


「ぁあ?……ありがとよ…」


 羅刹を支えに、立つ…がぁあ!内臓系のダメージは洒落にならなぁって前にも言ったよなぁ!


 しかし、これで終わりではない…今が最大の好機…俺ぁこの為に、んな自殺者向けジェットコースターを耐え切ったんだ。


 前を見る…親シャチが激しく苦しみながら悶えていた。


「……あぁ?俺の血は美味かったか?仲間を殺した敵の憂さ晴らしができてよかったか?……俺をさっさと殺さなかった…それがテメェの敗因だぜ?」


 よろよろと、しかし着実に前に進む…。


 シャチはそんな俺の姿が見えているのか、逃げようとするが…出来ない。


 俺の血液は俺が敵と認識した奴に付着すると弱体化の効果を与える…少し付着するだけでもスライムが死に、モブゴブリンが激しく苦しむ…じゃあそれを大量に摂取したらどうなると思う?


 答えは簡単、弱体の効果が強まる…だ。それも摂取したら量に応じてな…!


 俺に直接食らいついたんだ。その傷から流れる血液は全てテメェの腹の中…俺の血は飲ませても効力を発揮する…流石にモブゴブリンとは格が違かったからか、弱体化の効果が出るのはちと遅かったが…今、この状況になったならば他のことは全て些事だ。


「本来の予定だったら…うし、……俺の体を何回かに分けて食いちぎらせようと思ってたが…まさか報復をするなんてな…正直驚いてる」


 振り回されて、ぐちゃぐちゃになっていた体がだんだん治る。視界はまだ赤いが、それもじきに晴れるだろう。口元腕で擦り洗う…あ、鼻血も出てたんか…。


「仲間の…家族の仇を苦しませて殺す…いいぜ?俺は賛成だ。きっと俺だって家族の仇が目の前にいたら苦しませて殺そうとするだろ…でも、引き際をお前は見誤ったんだ…テメェのその高い知性が…今からお前を殺す」


 根性で握っていた羅刹を構える…さぁ、もう間合いだぜ?


 子シャチが遠巻きに俺を見ている……悪いな、お前らには恨みはないが、こいつを倒さないと先に進めないのは事実…少々やりずらいが…それでも。


 羅刹を振るう…その軌跡は正確に親シャチの首を捉え、確実にその命を終わらせた…。


 その瞬間、次の階層の扉が開く音がする。


「………ふぅ…んで?お前らはどうする?親の仇を討つか?それともこっから消えるか?」


 子シャチは動かない…親の死を悲しんでいるか、それとも何も考えていないのか…俺にはわからないが、何か意思があるということはわかる。


 子シャチの一匹…最初に殺した親シャチが打ち出していた子シャチがこちらに近づいて来る…お?やるか?


 実は疲労でここから戦うのは少々…かなり?厳しいが…そこはなんとかするしかない。


 子シャチは俺の腹に少し頭突きする…ぐへ…でも、あれ?


 一発は受けてやろうと攻撃を放置したが…何やら敵意がない、むしろ、ってうわ!


 子シャチは俺の腹を頭で持ち上げるようにして、どこかに連れて行く。


 抵抗しようと体を動かそうとするが、それを他の二匹の子シャチが抑える。


 そのまままりんのもとに連れて来られる…あわわ。


「ま……!だい………!?……なに……き…け……し……」


「あー……悪い、今鼓膜破れてるから何言ってるか分からん、もうちょいしたら治ると思うから待っててくれ」


 そう言うと慌てたように俺を寝かせる…あ、子シャチが枕になってくれている…自分で言うのも俺仇だぞ?いいの?


 目で訴えかけると、『気にすんな…弱肉強食は自然の摂理…お前は勝者なんだから私達の事は気にするな…』と応えてくれている気がする…まぁ俺の妄想なんだけど…。


 好意に甘える…あ、ひんやりしてて気持ち良いな…。


「護……ちゃん!大丈…!早く…を治さ……と!」


 何やら必死に訴えかけて来る…ええと?多分だが『護お兄ちゃん、大丈夫、早く、傷を治さないと』かな?


「ん?…おう……あれ?言ってなかったっけ?」


 俺は放っといたら勝手に傷が治るんだが……あれ?そういえば、俺このダンジョンに入ってから碌に異能を使ってなくね?


 記憶を遡ってみても…うん、やっぱり使ってないわ、これまでは爺さんとの訓練で培われた経験と、羅刹の性能のゴリ押しでなんとか出来ていたからな…いや、俺本当によく頑張ったな。


「護…!やっぱりあの時引き止めればよかった…!それならこんなに傷つくこともなかったのに…」


 どうやら鼓膜が治ったようだ…それと同時に二人の悲痛な声が聞こえる…そうか、そんなに心配させちまったたか…。


 何故か、爺さんの顔が浮かぶ。俺がこの戦い方を効率的と言った時、爺さんも少し悲しげな顔をしていた気がする…はっきりと見ていないから朧げだけど。


 もしかしたら…爺さんはこの事も考えて俺に自傷前提の戦い方を止めろって言ったのかもな。


 周りの人間が心配する…頭からすっぽり抜け落ちてたな…でも。


 俺のスタンスはきっと変わらない。使えるものはなんでも使う。それで後悔したら嫌だから…。


「ごめん……ごめんね?…ぁあ…こんなに血を流して…止めて…お願い…死なないで…!」


「あん?当たり前だろうがよ、俺は死なねぇ…ヨっ」


 大体体が治ったことを確認して立ち上がる。ありがとうな子シャチ、枕になってくれて。


 俺が軽快な動きをしたのが信じられなかったのか、


「え?…あれ?け、怪我…」


「護お兄ちゃん!安静に…して…なきゃ?」


「言ってなかったが、俺は異能で自分の怪我が勝手に治るんだ…悪かったな、余計な心配をかけて…先に言っときゃよかったな」


 そう言うと裏葉は。


「あれ?確かに護お兄ちゃんの異能の内容知らなかった…そっか、体に問題はないんだね…よかったぁ…」


 と、安心したようにへにょっと床に倒れるように座る。


「本当に…本当に怪我はないの?我慢とかしてるんじゃなくて?」


「おう、安心しな…つっても、流石にこれ以上の戦闘は厳しいが…」


「当たり前よ!あんな身体中から血を流しているのを見たのに、これ以上戦わせるわけないでしょ!?…まだ心配だから横になって!」


 口調が激しくなったまりんに無理矢理横にさせられる…ま、今はこの心配を甘んじて受けるとするか…。


 このダンジョンに入ってからおよそ四日目、そして一番の戦闘だっただろう。…この勝利の余韻に、今しばらく浸っているのだった……というか、この子シャチ、結局どうするの?

設定吐き出しのコーナー、親シャチ…正式名称、ジャベリン•オルカは二対四匹が基本的な構成です。戦い方は二匹の親シャチのコンビネーションと四匹の子シャチが動き回り翻弄するのが基本戦術です。そして獲物が翻弄されているうちに、本命の親シャチが獲物を仕留めます。親シャチにとって子シャチはよく言えばお気に入りの道具、悪く言えば使い捨ての道具と認識しています。というのも、親シャチは基本的には番しか大切と思っておらず、子供に関しては別にそこまで重要と考えていません、ジャベリン•オルカは長寿ですが、子供は割と頻繁に出来ます。そして子供をミサイルのように扱う性質上、愛着を持つ事はないのです。子供はそんな環境で過ごすので、死亡率は高いです。その環境で生き延びることができた子シャチのみが大人へと成長することができます。

そして同じように生き残った別のジャベリン•オルカの子シャチ同士が番となります。そして大人シャチになる母数が圧倒的に少ないので、ジャベリン•オルカは番をとても大切にします。詳しく言うと出会った番と絶対に添い遂げようとするくらいには大切にします。もし片方が死んでしまった時は発狂し、その殺した相手を必ず苦しませて殺そうとします。恨みは深い…。その時の奇声は対象を麻痺させ、動きを封じます。それらを掻い潜らないと次の階層に行けないなんて…ダンジョンは厳しいですね、頑張れ、主人公!


……因みに、ダンジョンの中でも普通に社会は形成されます。ボスモンスターは挑戦者が扉に入る前は別の空間で生活しており、挑戦者が扉に入ると定位置にワープします。そして挑戦者が逃げるor死ぬなりして部屋から消えた際は別の空間へと帰還します。

ダンジョンのモンスターはそのことを自然と理解しており、不思議とも思いません。生物として地球のものとは違うんですよ。…しかし別の空間にモンスターが溜まりすぎる…。つまり、挑戦者が来ないダンジョンは定期的にダンジョンの中にモンスターを吐き出します。それらがダンジョン内で増え、ダンジョンを圧迫すると…?……とても大変なことが起こります。詳しい話は追々。

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